高校を中退してアルバイトでボードゲームカフェの店長代理をしている常盤孤太郎は、バイト仲間で女子高生でギャルの小鳥遊みふるさんに片想いをしている。でもその想いを伝えることは出来ない。彼女には自分なんかとも仲良くしてくれる宇佐くんという完璧な彼氏が居るし、自分はひょんなことから天才女流棋士・歌方月乃に片想いしている「設定」になっていて……。
すれ違いだらけの複雑怪奇な三角関係(?)ラブコメ!!
読み終わってとりあえずプロローグの宇佐君とバンジョーのイチャコラにときめいた私のときめきを返してほしい(実質ネタバレ発言)。いやでも最後まで読んだらこれはこれで美味しいというかこの設定を1巻の時点で明かしてくれるの優しいなというか……何冊か引きずられたらツラいやつだった……。良くも悪くも昔ながらのオタクで恋愛感情に疎い主人公のバンジョーと、そんなバンジョーを振り回すヒロイン・みふるさんの関係性がとてもかわいくてよかった!!相手に興味がないと装いながらもよそから見たら漏れ出すぎてる好意が微笑ましすぎるし、みふるさんが絶妙に小悪魔でえっちで可愛い。そしてそんなふたりがバイト先でボドゲを遊ぶだけのラブコメ……という時点でも大変美味しいのですが、そこからものすごい勢いで複雑怪奇に絡まった三角関係にしてくるの最高だった……。優しすぎて優柔不断気味なオタク男子とそのオタクに「何故か」優しいギャルのコメ強めのラブコメで片付けるのでなく、そこに激重なバックグラウンド入れてくるのが私の読みたい葵せきなという感じで好きすぎる。
長過ぎるあとがきの終盤でチラっと言われてたけど実質的にメインカップルの二人ではなく蚊帳の外であるはずの歌方月乃こそが真主人公でしたよね。でも確かにこの二人の複雑怪奇な関係性、一周回って第三者の視点からじゃないと描ききれなそうというか、コトがコトだけに当事者視点だと重くなりすぎたりいつまでも核心に触れられないままになりそうである……。時系列をあれこれすることで最初は普通に楽しく読んでただけの場面に全く別の意味が生えてくるの面白かったし、それに気づいた時には声だして笑ってしまった。いやこの三角関係の正しい構図、そんなことってあるぅ!?
否応なくふたりと「あそびのかんけい」になってしまった月乃が、否応なく彼らの間にある秘密や複雑怪奇な関係性を解き明かしてしまって抜け出せないくらい二人の関係に(二人の知らぬ所で)踏み入ってしまう展開がめちゃくちゃ楽しかったです。いや、月乃にとっては知らないほうが良い事実だったかもしれないけど……。
いつかこの関係性が正常化してふたりが無事にお付き合いできるようになる未来は果たしてくるのか。月乃が報われる未来はあるのか。いやでも最後まで正常化しないでギリギリの所で攻防戦を繰り広げてほしい気持ちがなくもない。楽しかったです!!
ところで「ゲーマーズ」の店舗特典が「生徒会の一存」とのコラボ小説だったらしくてめちゃくちゃ読みたかった。電子書籍で買ってるとこういう特典にうとくなりがちで……。