異世界に召喚され、勇者として世界を救った善七。ところが、異世界での生活の間にその倫理観はねじ曲がり、正義のためなら人殺しも厭わない乱暴者になってしまっていた!?ふたたび始まる現代での生活を前に、彼を召喚した女神は「一日七善さもなくば死」というとんでもないノルマを課してきて……!?
たよれるなかまは みんな倫理観が死んでる
異世界での戦いによって倫理観が狂った主人公が平和な現代でドタバタ騒ぎを巻き起こす……だけでなく、そこに主人公を慕う善人ヒロインやそれ以外の異世界帰りのメンツが絡んでくるのが面白かった。頼れる仲間は(善人ヒロイン以外)みんな倫理観がしんでる!聖女先輩は元から倫理観狂ってそうな気がしなくもない!!事あるごとに「よし悪人は殺そう」となってしまう主人公を筆頭に、外面は良いけど中身は悪魔な聖女先輩(骨を折る(物理的に)のが趣味)や悪事の出来ない元魔王……などなど、いろいろな意味でクセモノだらけな異世界帰りの登場人物たちが自分たちに課せられた「ノルマ」を果たすべく法のギリギリを攻めながら(!?)所狭しと現代の学園を舞台に暴れまわる姿が面白かった。
というか普通に主人公の「1日7善」ノルマがきついんですよね。一週間に7善とかじゃなくて1日に7善なので割と普通に毎日大変だし、それでさえ学校がなくて普通にしてたら善行のチャンスが少ない休日に突如としてノルマが増えるキャンペーンが始まったりするのソシャゲのログボじゃないんだから!?となる。他の異世界帰りの面々に与えられたノルマを見ていても思うんだけど、そもそもノルマを与えた女神自身が全然善意からこのノルマ設定したんじゃないと思うんですよね……女神、ただの愉悦民だとおもうんだよな……。
そんな最初から最後まで狂った世界観と倫理観の中で、少しずつヒロインの影の助力によって強制されてではなく自然に『善行』することの小さな喜びを思い出していく主人公の姿が印象的でした。なにより「善行」として事あるごとに主人公に甘えてくるヒロインちゃん可愛いし、ノルマ達成後にうっかり甘えてすげなく断られるヒロインちゃん可哀想可愛い。
まだまだ真人間には相当遠そうではありますが、これからの成長を期待して見守っていきたくなるお話でした。