“しらび” の検索結果 | 今日もだらだら、読書日記。

キーワード:しらび (4 件 / 1 ページ)

ラノベのプロ!2 初週実売1100部の打ち切り作家

 

「俺と、結婚してくれ」アシスタントで幼馴染みの結麻に、長年の秘めたる想いを告白した神陽太。もう二度とただの幼馴染み同士には戻れない。陽太の踏み出した一歩は二人の関係を決定的に変えていく―変わり始めた関係の気恥ずかしさに悶える陽太だが…一方で“業界の不条理さ”から後輩・小太郎を救う特訓を始めて!?残業代なしで多忙を極める、ラノベ作家青春ラブコメ! (「BOOK」データベースより)

甘ぁぁああああい!!!!!!!!

 1巻から幼馴染大勝利ラノベだったけど1巻ラストの展開(=告白)を経て、お互いの関係の変化に迷い戸惑いつつも顔を合わせればもはや無自覚でイチャイチャしはじめる二人のやりとりがくすぐったすぎ!!!少女向けラノベもびっくりの圧倒的な糖度に震えました。早く結婚してほしい。でも新作執筆の為にわざわざ自分からギャルのコスプレしてくれるのもう結婚済といっても良いのでは???

 そんな幼馴染カップルのイチャイチャを交えつつ、第二巻ではようやく発売された陽太の弟子・小太郎のデビュー作を巡ってシビアな話が展開されます。デビュー作を人気イラストレーターに頼んだお陰で発売が伸びまくり、話題作としてガッツリ部数増やされて、そのやっと発売された本も肝心の挿絵が間に合わず……って、もう読者から見てもわかりやすい打ち切りコースじゃないですかー!!

 1巻打ち切りを喰らってからの迷走劇がとてもつらい。「打ち切り」の悲しさをしった小太郎が陽太の作家としてのスタイルを学ぼうとするんだけど、もうほんと小太郎みたいな閃きと勢いで生きてるタイプは真似したからって堅実な陽太タイプになれるわけじゃないんだよ……書きたくないものを無理やり書く羽目になり、気持ちはついていかず、日々疲弊していく姿に心が折れる。

 そんな彼女が生み出し、「死なせて」しまった物語の「再起」を賭けて、小太郎と陽太のふたりが職業作家生命を掛けて挑んだ編集とのギリギリの駆け引きが熱かったです。しかし、作家も編集も「この本を売りたい」と思ってプロデュースした結果がこれ……というのが、そこまでの道に誰の悪意も存在しないのがやるせない(無能編集だなと言う気持ちはあまりにも揺らがないけど)(イラストレーターにもきっと悪意はないんだ……たぶん……)。

 好きなことを職業にすることの難しさ、読者に届かなければ書くことすら許されない世界で、様々な形で生き抜いていく作家達の物語が熱かったです。綺麗に2巻で終わったような、でもまだ掘り下げの余地はあるようなという終わり方だったのでちょっぴり3巻が出ることを期待してしまいます。

 それにしても、作中一番刺さったのこの台詞だったとおもう。とてもつらい。

 売れていない作品は、つまらないから売れてないわけではない。
 読まれてすらいないから売れていないのだ。


ラノベのプロ! 年収2500万円のアニメ化ラノベ作家

 

「バッキャロウ!こういう人気作は、発売日に買いたくねえんだって。俺より売れてる作家の初動に貢献したくないの!」アニメが爆死した、意識高い系ラノベ作家・神陽太の年収は2500万円。アニメがコケてもこれぐらい稼ぐことはできるが、この業界では全然たいしたことはない。上には本当に上がいる。そんなシビアな業界で陽太は“プロ”らしい日常を心がけるが―税金対策として雇った幼馴染み・希月結麻はラノベ知識ゼロ。後輩作家のJKとJCの才能には焦らされ、担当編集からはダメだしの嵐…。それでも野望達成のため、今日も執筆で金を稼ぎ続ける!望公太が贈る『日常系』のハイエンド登場!!(「BOOK」データベースより)

 高校生でデビューしたがデビュー作は打ち切り、なんとかアニメ化まで漕ぎ付けたがアニメは爆死……というラノベ作家の神陽太が、税金対策で雇ったアシスタント兼おさななじみの結麻や後輩作家の女の子達に振り回されたり、自分より売れてる作家に嫉妬しながら売れ筋作家目指して頑張る日常ラブコメ。

 ラノベ作家系日常コメディと聞いて勝手に昼夜逆転で締め切りに追われる修羅場生活を想像していたら主人公が早寝早起きで朝にジョギングまでしちゃう意識高いストイックな作家生活してて謎のダメージを受けた。作家生活を脅かすと思えば好きだったゲームも封印するしソシャゲにも手を出さないとかストイックすぎて眩しい。

 ラノベ作家の年収の話とか編集者との話とか打ち切りやら延期の話とか絵師の話とか業界関係の生々しい話も結構あるんだけど、それよりも「自分より才能のある作家を妬まずにいられない」あたりの話の方がなんだか生々しく感じました。でも、同時にその妬ましさを「強さ」として自分を律することが出来て、自分の芯を曲げない主人公なんだよなあ。だからこそ作家仲間達も彼の周囲に集まるんだろうと(基本ぼっちだけど)。作品を生き残らせるために妥協しろ、の話は凄く説得力があったし、厨二病作家であるエマならではのルビ振り談義で盛り上がるシーンとかものすごく楽しかった。それにしても藤川先生(男)と陽太の間にナニがあったんですか?私気になります!!!

 一方で、オタクに興味も理解もない幼なじみヒロイン・結麻が、オタクのノリを理解できない事をもどかしく感じながらも彼らのノリには染まらず、それでいて一番の理解者として主人公の隣にいるという関係性が美味しかったです。すれ違うこともあるけれど、お互いが大切で仕方がない関係性がニヤニヤしてしかたない。そして、終盤で明かされる主人公のまっすぐな好意が眩しい。素直になれない事は数あれど、ラノベ作家としての仕事意識と同じくらいストイックに彼女の事を一筋に思っている姿が心地良かった。なんという幼なじみヒロイン大正義ラノベ。

 ラストシーンの告白の行方やら陽太のアニメ化周りのあれこれとか、まだ色々隠されている物語がありそうで、この雰囲気だと上下巻完結とかになるのかな?続きも楽しみにしてます!

 それにしても望公太先生がリアルで幼馴染とゴールインされたときいて……


ご覧の勇者の提供でお送りします2

 

「勇者テレビ」での大活躍で、初のコンビ勇者として認知されたフウトとフィオーレ。だが、人気が高まったことで、パパラッチに狙われることになったフウト。ついには、勇者アナスタシアとの「深夜の密会!?」というゴシップ記事を掲載される。自身の不注意で迷惑をかけてしまったことを謝罪するフウトだが、逆にアナスタシアから“本当のデート”の誘いを受けることに。初めてのデートに右往左往のフウトと、どこかぎこちないそぶりのアナスタシア。ふたりの初デートの結末は?一方、ふたりのデートを知ったフィオーレは、なぜかイライラを抑えられず。さらなる波乱のニュー勇者ファンタジー! (「BOOK」データベースより)

 フィオーレとともに初の「コンビ勇者」として活動をはじめたフウト。ところが、早速ゴシップ誌にあることないこと書き立てられてしまい、憤る羽目に。記事の中にアナスタシアとの恋愛報道があったため、謝罪するために騎士団に出向いたフウトだが、何故かアナスタシアと本当の「デート」をする羽目になって……というお話。

 発売日に買ってたんですけどあとがきだけ読んで死んでた(お察しください)。

 アナスタシア&フウトの急接近と、ふたりの関係に無自覚でヤキモチを焼くフィオーレの三角関係がとてもかわいかった。相変わらず本意が見えづらいフィオーレの行動と、一直線すぎて周囲の気遣いが伝わらないフウトのすれ違いっぷりに気をもむ場面もあったけど、なんだかんだでコンビとしての意思の疎通が出来ていくのにニヤニヤする。

 「勇者」ではない、騎士団団長としてのアナスタシアや、年相応の少女としての彼女の一面も見れたのが楽しかった。ヒーローでありながら騎士団のアイドルというか、ヒロインのようにかわいがられる彼女の姿がほほえましい。というか騎士団の男衆のお姑さん具合笑った。

 各勇者に焦点あてた話をのんびり読んでいきたい物語だっただけに、ここで打ち切りというのが残念すぎる富士見絶対に許さない。明らかに2巻殆ど書いたところで打ち切り決まったんだろうなあというか、エピローグで強引に落としました感がまた切なすぎるというか……。


ご覧の勇者の提供でお送りします

 

ゼルニア王国に突如として出現するモンスターと戦う勇者たちの活躍を放送する人気TV番組―「勇者テレビ」。騎士団、魔術結社、職人、教会などそれぞれの組織の代表として街を守りながら、組織の宣伝と人気を獲得し、トップ勇者を目指す6人の勇者たちに新たな仲間が加わることに。伝説の勇者の息子で、学生でありながら、勇者に選ばれたフウトは、学園代表として異例のタッグを組んでデビューを飾ることになるのだが…。そのパートナーは―「めんどくさいし、勇者だったら、一人でいいじゃん」やる気のない美少女で!?波乱のニュー勇者ファンタジー! (「BOOK」データベースより)

 どこからか現れるモンスター達を倒す「勇者」達の活躍を中継する「勇者テレビ」。番組に登場する勇者達は様々な団体と契約して支援を受けてその名を背負い、「スキル」と呼ばれる特殊能力を持って戦う。かつて魔王を倒した「伝説の勇者」の息子・フウトは狭き道を突破して通っている学園の「勇者」として活動することになったのだが、彼とコンビを組むことになった生徒会長の少女・フィオーレには全くやる気が見られない。デビュー戦で大失敗をしてしまった彼は、人気を取るために他の勇者達の戦略を学ぼうといいだしたフィオーレにつきあわされ、他の勇者達を訪問することになったのだが!?

 行動の結果の称号としての「勇者」に憧れるフウトが、職業としての「勇者」になってやる気のない相棒に振り回されたり、上手く戦うことが出来ずに葛藤したり、理想と現実の差に思い悩んだりしながら成長していくお話。勇者に憧れながらも能力を上手く発現させられないが故に上手く戦えない少年と強大なスキルを持ってしまったが故に戦うことを忌憚する少女が、お互いの存在や他の勇者達の「勇者」としてのあり方を知りながら少しずつ折り合いを付けていく姿がアツかった。恐らくまったく同じ原風景を胸の中に描きながらも、対称的な道を歩もうとしている2人の姿が印象的でした。

 特殊能力「スキル」を持つ人間達とそれ以外の人間達の微妙な温度差が引き起こすトラブルがあったり、なんか胡散臭い話が裏で渦巻いているようだったりと、世界観そのものはかなり重たいのに、その重たさを感じさせないあったかいお話。勇者達が仲間でありながら一種の「商売敵」としてお互いを切磋琢磨していく関係もなんだか心地良いものがありました。

 バトルメインというよりも人々の絆がメインと言う感じのお話でとても好き。そんな物語を象徴するようなフウトの「スキル」にも思わずにやにやしてしまいました。面白かったー!!しかし、細かい所できっちり差別化してるとはいえ、どうしても基本設定のところで今劇場版やってるあのアニメを彷彿せざるをえないのちょっと損してる気がする……。