事前情報ほとんど確認せずにいったら表紙がカモフラージュすぎて5分くらい探してしまった件。この人の作品で萌え表紙とかトラップすぎる。そして中身は異星人から突然「娯楽」のためにリアル武器を用いた人間同士での戦いを強制されたり、虫が体内這いずったり流血したり内臓はみでたり……という安心のエグさ。戦うために「セクト」と呼ばれる虫を体内に入れて身体能力・治癒能力を高めているから基本的に戦いでは死なない……という設定を逆手に取って割とやりたい放題でした。
突然そんな戦いに巻き込まれて、たとえ死ぬことがないとしても他人を傷つけることにどうしても抵抗を覚える主人公が、6年前に失踪した妹の手がかりを見出し、その手がかりを追うためには勝ち上がらなければならないと知っても、それでも人を傷つけることに踏み出せないのが普通の少年らしくて良いなあ。そんな彼が背中を押してくれる人たちの存在を自覚して(たとえそのうちの1人が自分を巻き込んだ張本人だとしても)、妹の為でなく彼女たちの為に戦おうと決意するのがなんか良かったです。
物語としては完全に序章といったところなので、今後この設定でどこまでエグいことになるのか大変楽しみです。……続編出るよね!?ナンバリングされてないけどこれ2巻出るよね!?
あとがきによると、元はと言えば電撃文庫コラボレーション企画「まい・いまじね?しょん」に寄稿した物語を真面目に書いたら……というコンセプトだったらしいです。こちらはレトロゲームネタが大量なギャグっぽい短編なので、未読の人は読み比べてみると面白いかと思います。
まい・いまじねーしょん?電撃コラボレーション (電撃文庫)