バカテス最新刊は明久達のいつものドタバタや、本編完結後の後日談を描いた短篇集です。
『僕と聖夜と渦巻く陰謀(前)』
学園長の余計なお世話のおかげでFFF団と明久雄二とヒロイン達(別勢力)が全面戦争!な話。「ヤドリギの木の下にたったらキスを拒むことができない」って凄いロマンチックな文面に見えるのにめちゃくちゃ強制執行&壮絶な羞恥プレイだったこれはひどい。しかしFFF団はどんどん突撃!パッパラ隊のしっと団になっていくな……
各キャラの思惑と欲望が交錯する展開がとても楽しい。FFF団はもちろんだけど、美春や玉野さんのぶれなさときたら…。恋心なのかそうじゃないのかギリギリのところでじゃれ合ってる工藤愛子とムッツリーニのやりとりも可愛かった。明久が姫路さん、雄二が翔子と両想いになったり、美波が明久に思いを伝えたり、教室の設備が整ったりと環境に大きな変化があったけど、いつもとおりなFクラスのドタバタなのが嬉しい。
そしてまさかの明久・雄二・久保の共同戦線(ただし時間は短い)にテンション上がらざるを得なかったんですが、あわよくば吉井君と不可抗力でキスできる展開だというのに自分の見たものに正直であろうとする久保君が可愛すぎる。しかも自分の見たものに正直だけど残念な気持ちもまるで隠せてない。明久そろそろ気づいてあげて!!(お約束)
『僕と同志とスカートめくり』
日頃のヒロイン扱い(違)に業を煮やした明久達が女子たちに意趣返しをしてやろう!!と思いたち、スカートめくりをしようと必死になるお話。もはや明久・雄二にスカートをめくられる程度では全く動じなくなっている姫路さんと翔子さんの両ヒロインが男前すぎて震える。そして翻弄してやるつもりが翻弄されている男子達のヒロイン感……。
個人的に明久の女装にイラストがつかなかったのが本当に残念なのですが!!!嬉々として明久を女装させる秀吉が小悪魔可愛い。
『僕と聖夜と渦巻く陰謀(後)』
学校でのクリスマス会の後、いつものメンツでクリスマス会at明久宅なお話。姫路さんが持ってきたプレゼント(推定食べ物)を巡って水面下で火花を散らすバカルテットのお話。お、おらこんな展開以前にも見た!!(闇鍋で)
姫路さんのプレゼント(危険物)を葉月ちゃんには渡さずに自分たちの誰かにおしつけようと必死になる4人が可愛すぎたというか4人とも容赦無い!明久と雄二が悪知恵に関しては突き抜けてるイメージだったけど、むしろムッツリーニと秀吉の容赦なさが地味に光る。明久達はことあるごとに秀吉を女子扱いする割に、こういう展開になると容赦なく同性の友人として蹴落としにかかるの思わずニヤニヤするなあ。
『私と卒業式と贈る言葉』
姫路さんの視点からの、卒業式のお話。2年生の警戒ぶりも大分おもしろいけどその期待にこたえる3年生の外道ぶりも容赦無いというかあの挿絵やめて!しかし、あのまま海外に渡った高城といい、結局あれきりの出番だったリンネといい、終盤登場のラスボス格キャラの扱いの悪さはちょっとこう……何らかの形であの2人にはフォローがあってもよかったなあ。
新学年への不安を覗かせる姫路さんに向けた明久の言葉がまっすぐすぎて眩しい……。1年を経て大きく変わった二人の関係がとてもまぶしくて、そしてこの後に控えているクラス替えという小さな別れを思うと、どこか甘酸っぱかったです。
そして新1年生・良光の視点から語られる新学年の入学式。新入生の口から語られる3年生の武勇伝と、主人公かっていうくらいの巻き込まれ体質を発揮する良光の姿にニヤリとしました。良光主人公の新学年編お願いします!!!って思ったけどこのままでは明久×良光になってしまう(真顔)
っていうか治安維持生徒会ってなんですかそのへん詳しく!!!!!雄二と久保がツーカーすぎて萌える辛い可愛い。雄二のクラスを明かしながらも明久のクラスは明かさないあたり、色々想像しがいがあって嬉しいなあ。多分普通に考えたら別々のクラスなんだろうけど3学期の間に学力つけて同じクラスになってるのかもしれないし。あと、雄二は本当に翔子と向き合えるようになったんだなあとクラスを見て感慨深く思う。以前の雄二だったら絶対にそのクラスにだけはならないように水面下で策をめぐらしただろうから。
しかし、なんというか本当に「ああ、終わるんだなあ」と実感させられてしまうお話で。12巻が凄くFクラスは不滅ですみたいな終わり方だったので、2年生の終わりと、3年生になった彼らが公式で描かれることに物凄く、物語としての一区切りを感じる。終わってしまったんだなあ……。
特装版オマケのドラマCD。良光主役の物語でメインキャラ達の出番はちょびっとしかないのですが、久しぶりに彼らの声が聞けてとても嬉しかった(というか11巻のドラマCDが出てからもう2年なのか……)
個人的にはいままでずっとこの手の企画モノでは出番のなかった久保君役の寺島さんがキャストトークに登場するのに思わずニヤリとしました。ほんと、今回の物語と言い久保君の躍進具合ときたら。