ふおおおおおおおおおエイゴおおおおおおお!!!!!!!
絶大な魔力を持ち「魔人」と恐れられる子供達と、彼らの「先生」としてやってきた軍人の青年の心の触れ合いを描くファンタジー、急展開の第四弾。大人たちの思惑に巻き込まれたアプリールが引き起こしてしまった「事件」をきっかけに国中の目が魔人の子供たちに向いて……というお話。
自分のしてしまったことへの責任に押しつぶされそうなアプリールが押しつぶされそうになっている姿が痛々しい。そして彼女が「なにかしよう」と動くたびに事態が悪い方へ悪い方へと動いていくのがもどかしかった。
街に集まった義勇兵達の言動や行動にはいちいちイラっとするものがあるんだけど、その一方で街の人々の態度に胸が熱くなりました。3巻以降、どんどん事態が悪化して行ったのは確かだけど、その一方でエイゴが築き上げた物が確かにそこに在る気がして。どうにもできない事態を打開するためにエイゴが選んだ「選択」と、絶望的な状況の中でも彼等が勝ち取った「信頼」という小さな希望に泣かされた。あと伯爵のかっこよさが異常。
あと1冊でシリーズ完結。エイゴの選んだ道はどうしようもなく険しく、先の見えないものではありますが、それでもエイゴと子供たちが幸せな未来を掴む事が出来ますように。最終巻が本当に楽しみです。
それにしても、今回は挿絵にドキっとさせられることが多かった!かつての朝未さんの挿絵も非常に好きでしたが、鉄雄さんの挿絵のショタショタしいエイゴのナマイキそうな表情が正直たまりません。特に後半2つのエイゴの挿絵にはごろごろ転がらざるを得ない。エイゴって……エイゴってこんなに可愛かったのか……っ!!!
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魔王城二限目
[著]田口 仙年堂 [絵]朝未 “魔人”の子供たちの教師となったエイゴは、彼らと町の人々が少しでも理解し合うために、彼らが人の中で生きていくことが出来るように「社会見学」を計画する。なんとか町の人を説得し子供達を連れて町を訪れるが、町の子供たちの嫌がらせが思わぬ事態を招いてしまい…!? |
今回は表紙の通りキサラとマルスのターン!!社会見学をきっかけにして絵の才能を持つキサラと、不思議な音楽を奏でるマルスの才能がとある人物に認められて…というお話。町の人々と打ち解けるのには予想通りに様々な難題が立ちふさがるのですが、本当に僅かながら“魔人”である彼らと打ち解けようとする人々がいるという事に、なんだかほんわかしてきます。
そして、伯爵、本当に良いキャラだ…!!てっきり権力者にありがちな、横暴な頭の固い貴族かと思いきや、“魔人”達の力を危険視しながらも、評価できる才能があるなら偏見を持たずにきちんと評価し、それを生かさせようとするという、正しい意味で「貴族の誇り」を持った好人物でした。伯爵いい男だよ伯爵。エイゴとの関係にもにやにやします。
しかし一方で「魔人」を排除しようとする軍の上層部の人間…というよりもかつての「英雄」を妄信する狂信者的存在が動き出してなんだかきな臭くなってきた感じ。件の人は「ガーゴイル」でのレイジ的な存在になるのか、それともこの人はまだまだ前座でその上に更なる巨悪が立ちはだかる感じなのか。今後の展開が楽しみです。
それにしても、あとがきが色々凄い。初コミケが夏コミで一般入場っていうのは最大級にきついパターンだと思うんですが!あれ以上にキツかったコミケは、雪が降った年にコミケ一般参加したときくらいだなあ…。
魔王城一限目
「吉永さん家のガーゴイル」の田口仙年堂さんの新シリーズ。家族を"魔人"の暴走によって失い、軍人となった熱血直情型の青年が"魔人"の子供たちと出会うというお話で、「ガーゴイル」とはうってかわってかなりシリアスな雰囲気のファンタジー作品です。
熱血で直情的で一見ちょっと子供っぽいエイゴがその一方で着実に人間不信気味だった"魔人"の子供たちを手なずけていく手段が実に巧妙で、そのギャップが非常に魅力的。とにかく次の行動が読めないキャラで、エイゴが次に何をやらかすのかとワクワクしながら読み進んでいきました。子供たちに悪戯を仕掛けられたら「悪戯は楽しいものだと教える、でもそれはそれとしてちゃんと叱る」というような、柔軟な姿勢が面白かったです。子供たちだけではなく、"魔人"への偏見や恐怖に縛られてしまっている部下・バズのわだかまりも少しずつ解いていってしまうのだから凄い。天職としか思えないエイゴの先生っぷりから目が離せませんでした。
しかしその一方で、魔人への差別の問題や戦争中という時代背景もあり、エイゴたちにはしょっぱなから残酷な事実ばかりが降りかかっていきます。「ガーゴイル」で言うと9巻・10巻の頃の雰囲気に近いものがあるかも。あれを読んだときにも思いましたが戦争という存在のおぞましさとかその中で必死に生きる人々の描写がとてもリアルで、重い。自然に「戦争って嫌だなあ」と思わせてしまうような何かがあると思う。
ただ、救いの無い展開の中でも根底に流れるどこか優しく暖かい雰囲気があって、それがとても心地よかったです。ガーゴイルやコッペもそうだったけど、敵にも味方にも基本的に「悪い奴」がいないんですよね。魔人たちは好きで魔力を暴走させるわけじゃないし、軍人達にしても妙に人間味溢れていて、憎む気持ちになれない。ああ、でも、子供たちの不幸な境遇に対する怒りをどこにぶつけたらよいのやら…心はぽかぽか暖かいけどとてももどかしい!!責任転嫁できる悪役が居ないのが地味にもどかしい!!
子供たちを守ると決意したエイゴたちの前にはこれからも様々な困難が立ち向かっていきそうですが、どんな奇策でその困難を乗り越えていくのか、とても楽しみです。二限目が楽しみ…!!
ああ、その前にガーゴイルおるたの続きよまなきゃ…(と1月の刊行予定見てちょっと思った)