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ROBOTICS;NOTES 3 キルバラッド・オンライン

   
原作
5pb.×ニトロプラス

関東を襲った大規模な太陽嵐。その直後、東京でロボットの反乱が発生する。失踪した母の残したメッセージ、そして君島レポートの予言がついに現実となったのだ。しかもその実行犯としてネット上には神代フラウの名前が出回っていた。仕組まれた陰謀に次第に追い詰められていくフラウだったが、そんなフラウの前に八汐海翔が現れ!?閉ざされた電脳空間で始まる、二人だけの孤独な最終決戦―フラウ編感動のクライマックス。(「BOOK」データベースより)

 「Robotics;Notes」の物語を登場人物の1人・神代フラウの視点から追うノベライズ完結編。フラウの個別ルート終盤を追う内容に加え、淳和視点から淳和の個別ルートを描いたスピンアウトも収録されています。

 フラウの、母親である古郡みなみと彼女の遺した「ガンヴァレル」への強い想いが胸に痛い。ゲームで若干唐突感のあったお風呂場のシーンや「ガンヴァレルが汚されちゃう」という発言を更に補強するような、作品への強い想いを感じる場面の数々がとても好きでした。元々“母さんの残したガンヴァレルを忘れられたくない”という目的の為にあんな凄いゲームを作ってしまうような彼女が、自身の行動が原因で母親とガンヴァレルまで汚されることになってしまうという絶望はいかばかりのものか。自分自身がけなされるよりも悲しいことって、あるよね。

 個別ルートが終わるところまでしか描かれないので、このノベライズ単品で追っていると「俺たちの物語はここからだ!!」で終わってしまうのが若干面白味に欠けるかも。角川スニーカー文庫のノベライズはこれに限らず原作を全て読んでいるの前提の副読本みたいな役割をするものが殆どなのでその辺は割り切って読むしかないけど。あとがきでも言及されているとおり、この後の愛理ルートでのフラウの暗躍とか、ゲーム終盤であき穂と海翔が東京に行ってる間の種子島の様子とか凄く見たかった気はするんですが…。

 ただ、神代フラウという引きこもりが八汐海翔というゲームオタクと出会い、1人の少女らしい恋愛感情を自覚する事で引きこもりを脱するという成長物語としては物凄く面白かった。奇天烈な言動の裏で物凄く緊張してたり、幼馴染のあき穂との関係を気に掛けていたり……みたいな部分がとてもとても可愛かったです。

 後半に収録された淳和ルートの物語は、正直ページ余ったのでとりあえず入れましたみたいな感じが強くて正直…な部分はあるんだけど、元のシナリオ自体が単独でとても良い話なので、物語を復習する的な意味で、面白かった。海翔が大徳寺一家と邂逅する話がカットされてたのが本当に残念なのですが……というか大徳寺父・祖父のツイぽアカウント酷いwww



40887956874088794842しかし、フラウ関係のメディアミックスは全体的に恋愛色自体が薄いロボノの物語の中でひときわ糖度が高いので良いですね。ノベライズは原作をやったひと/アニメを最後まで見た人への補強シナリオの側面が強いので未読者にはあまりオススメできませんが、フラウ視点から少しだけ原作の展開を変えつつ展開するコミカライズ版のほうは、原作未経験者にも満面の笑みでオススメできます。

 原作よりも若干マッドプログラマー度強調(だけど恋する乙女)なこなちゃんとか、原作よりも更に格ゲーバカ一代な海翔さんがとても良いよ!!「多少特殊な能力を持つ普通の少年少女達がロボットを作るため頑張る」な原作に対し「ちょっとおかしな一芸秀でた秀才達が華麗に魅せる」物語になっていてこちらもあわせてオススメしたいです。


ROBOTICS;NOTES 2 キルバラッド・ファントム

 
bun150
 
原作
5pb.×ニトロプラス

八汐海翔といっしょに、残りの君島レポート探しを始めた神代フラウ。愛理も加えて賑やかな日々を送るフラウだったが、東京の仲間から思わぬ知らせが入る。なんとネット上にアニメ「ガンヴァレル」の最終話が流出したというのだ。母親についての思わぬ手がかりに驚きを隠せないフラウだったが、そこから人類滅亡を予言した君島レポートと共通するメッセージを発見し!?世界を巻き込む巨大な陰謀が動き出す、緊迫の第二巻。 (「BOOK」データベースより)

 「Robotics;Notes」の物語を登場人物の1人・神代フラウの視点から追うノベライズ第2巻。さりげなく出てくる「栗御飯とカメハメ波」の名前にふきだしたのは私だけじゃないはず。

 原作ゲームでいうとフラウの個別ルート入る直前くらいまでのお話。個別ルートに入ってしまうと、基本的に海翔・アキとメインとなるヒロイン以外の動きが見え辛くなるので、物語の中でも特に殆ど動きのみえなかった淳和ルート間の彼女の動きが見れたのがとても面白かった。いつも通り変な事を言ってるフリして内面では深く動揺し、傷ついていたんだなあと思うと胸が痛い。そして彼女の気持ちを敏感に察するとか当然できなくて、すげない態度を見せる海翔がさすがすぎました。

 あと、ちょくちょく挿入される過去のフラウ母の視点が…!!原作と某ノベライズを呼んでいるとあの黒幕さんめが!!という気持ちになること請け合いなのですが、ほんと、びっくりするほど何もかもが黒幕である彼の元に集結するようできているのが改めて……。

 次巻ではいよいよフラウルートでの物語に踏み込んでいくのでどうやって物語を補完してくれるのか楽しみです。しかし、他のキャラクターのスピンアウトが入るってどれのことなんだろう。個人的には愛理ルートでのフラウの動きとか見たいんですがそういうのこないですか。

 ゲジ姉たんにオススメの薄い本教えてもらいたい。


ROBOTICS;NOTES 1 キルバラッド・アノテーション

   
原作
5pb.×ニトロプラス

2019年、夏。失踪した母親を捜して種子島にやって来た神代フラウ。大ヒットゲーム「キルバラッドON‐LINE」を制作した美少女天才プログラマー(そして真正の腐女子!)である彼女は、巨大ロボット製作に関わる地元の少年・八汐海翔と出会い、協力関係を結ぶ。だが人類滅亡を予言した「君島レポート」との出会いが二人の運命を大きく変える―。大ヒット作『STEINS;GATE』に続く「科学ADV」シリーズ最新作が遂にノベライズ。 (「BOOK」データベースより)

 科学アドベンチャーシリーズ第三弾「ROBOTICS;NOTES」の物語をヒロインの一人・神代フラウの視点から追うノベライズ。角川スニーカーのノベライズでは定番ですが原作を知っているの前提+原作の隙間を補完するタイプのノベライズになっていますので原作未プレイのかたはご注意ください。(特にこの物語の場合、フラウは物語の途中から現れる設定のため序盤のシナリオはかなりすっとばして描かれてます)

 フラウ視点のメディアミックスはウルトラジャンプではじまったコミカライズの第一話も読んだんだけど、地文でじっくり心理描写の入れられるノベライズのほうがしっくり来る気がする。原作でも「ツイぽ」や彼女自身の発言でぽろぽろ露出していた腐萌え語りがだだもれになっているのはもちろん、典型的な非コミュオタな彼女が@ちゃんねる用語で覆い隠している本音がだだもれ状態になっているのが楽しくてたまらない。ロボ部の中で一番自由奔放な発言をしているようにみせかけて、単に他人とコミュニケーションとるのが苦手なだけだったり、結構うろたえたりしているのが可愛くて堪らない。

 海翔視点からはなかなか見えてこない、母や『ガンヴァレル』や『キルバラ』への強い思い入れが透けて見えるのも良かった。「キルバラのリーダーボード5位」というのは自分が作り上げた大切な作品にどれだけ思い入れを持っているのかの証というわけで。母の手がかりを追うための人脈作りといいながら必死にその繋がりを維持しようとして、どうしたらよいかわからなくて内心テンパる姿が可愛すぎました。

 しかし、一番このノベライズで面白いなあとおもったのは原作でも登場する「ツイぽ」の扱い。ゲームと同じフラウの発言に、ゲーム中では見えることの無いフラウのフォロワーからの反応(主にフラウのサークル仲間からのレス)がついて海翔のそれとは全く違うTLになっているのが面白かったです。