GoRA | 今日もだらだら、読書日記。

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K SIDE:RED

 

“赤の王”周防尊が束ねる、炎の“徴”を刻む少年たちの集団“吠舞羅”。彼らのホームである鎮目町の一角にあるバー『HOMRA』に、周防の高校時代の担任教師・櫛名穂波が、姪・アンナをともなって現れた。両親を事故で亡くし、病のために施設に入院していたという無表情なその少女は、青い服をまとい、めずらしいものを見るように“キング”周防を凝視する―。「ミコト」。周防の夢の中で彼の名を呼ぶアンナ―彼女は“王のなりそこない”だった。 (「BOOK」データベースより)

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 青を纏うストレインの少女・櫛名が“吠舞羅”と出会い、赤のクランズマンとなるまでを描いたアニメ「K」の前日譚。

 不在の続く「青」の王の器になれると見込まれ、周囲を傷つけない為に大人たちから押し付けられた運命を受け入れようとするアンナが少しずつ“吠舞羅”のメンバー達に心を開いていく姿が微笑ましい。最後は少し切なかったけど、自分の意思で周防についていくと決めた彼女の姿には胸が熱くなるものを感じました。

 アニメ版を見ただけでは解り辛い“吠舞羅”の面々の素顔が浮かび上がってくるのがとても面白い。特に、アニメ本編のしょっぱなで死亡している十束が“吠舞羅”においてどんな立ち位置の人物で、その存在が草薙や周防にとってどれだけ重要だったのかがわかるのは凄く良かった。いまいち興味が沸ききらなかったキャラクター達の動きに興味が沸くし、アニメ見直したくなってくる……っていうかアニメ本編は本当もうちょっとこの辺しっかり掘り下げられなかったんですかねえ……(1クールアニメの限界といわれたらそこまでなんですけど)

 ダモクレスの剣というわかりやすい「結末」が見えている周防・十束・草薙がどこかでそれを意識しながらもせいいっぱい楽しくやってる感じや、亡くなった青の王のクランズマン・塩津に、周防がいなくなった後の己を重ね合わせる草薙さんとか物凄く好きなんだけど、もう一組、八田と伏見が奏でる不協和音が凄くて読む度にぞわぞわする。“吠舞羅”の中に居場所を作り、周防に心酔する八田に対して複雑な感情を抱く伏見と、疑うことなく「伏見は自分と同じ気持ち」と信じきっていて、伏見の執着と苛立ちにまるで気づかない(気づけない)八田のすれ違いぶりが凄かった。この辺は最近出たばかりの「Lost Small World」でもっと詳しく語られるけども、伏見の一番近くに居た筈の八田が、十束や草薙さんが気づいていた事にすら気づけなかったのは最大の悲劇だと思う。

 しかし、個人的には最後の伏見と十束のやりとりがヤバかった!!熱くなりやすい“吠舞羅”の面々の中ではどこか穏やかで執着の見えてこない十束が、伏見に対して一瞬だけ覗かせた周防への強い執着にキュンとなる。ある意味、“吠舞羅”の面々の中で伏見と一番似てるのは十束だったんだろうなあ。

「馬鹿言っちゃいけないよ」
 十束の、笑みは含んでいるが真面目な声が響いた。
 伏見は怪訝に眉を寄せて十束を見た。
十束は笑っていたが、それはいつもの人好きのする笑顔とは少し違って、どこか酷薄にも見える笑い方だった。
「何かに執着しているような奴は、王になんかなれない」


 アニメから大分遅れて読んだのですがとても面白かったです!あと、合わせて読みたいコミック版「メモリー・オブ・レッド」。アニメでは出てこないメンバーにスポットが当たったり、夏の激ヤセ状態になる鎌本が大変ウザカッコよかったり、八田と伏見のギスギス具合に転がったり、終盤になるほど抉ってくる十束の行動に転がったりしました。面白かった!


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K -メモリー・オブ・レッド-(1) (KCx ARIA)

黒榮 ゆい、来楽 零(GoRA)、GoRA・GoHands
講談社
発行日:2012/10/12


K -Lost Small World-

 

中学一年の八田美咲は、寡黙な同級生、伏見猿比古に惹きつけられていた。この偏食の眼鏡少年は、八田にはない聡明さを持っていたから。伏見もまた、次第に八田を必要とするようになっていった。この小柄な少年は、伏見の持たない不思議なエネルギーと優しさを持っていたから―。彼らの小さな冒険。そして、より大きな力への憧れ。だが、彼らが少年だけの世界から抜け出した時、待っていたのは、決別だった―。TVアニメ『K』オリジナル小説第4弾! (「BOOK」データベースより)

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 テレビアニメ「K」の前日譚ノベライズ第四弾。中学一年生の八田と伏見が出会い、かけがえのない親友となり、共に“吠舞羅”に入り、決別するまでの物語。

 最初は同じものを見ていたはずの2人の関係が少しずつすれ違っていき、“吠舞羅”にはいった事で致命的な亀裂を生んでいく。その亀裂に気づき、同時に八田への強い執着を覗かせる伏見の葛藤に微塵も気づかず、伏見もまた当然のように周防の事を慕っていると信じて疑わない八田という構図は「SIDE:RED」や「メモリー・オブ・レッド」でも繰り返し描かれているものなんだけど、改めてその構図にヤキモキする。というかしょっぱなから八田は伏見と仲良くなるきっかけの所からして全く同じ過ちをおかしてるのにも関わらず学習しないの凄い、それだけのことがあっても身内として内に抱き込んだ人間を疑わないのは八田のいいところでもあるんだろうけど。

 これ、「K」が八田主役の物語だったら、八田が精神的に成長して伏見と不健全じゃない信頼関係を築く話になってたんだろうな……っておもうと、彼は主役じゃないのが最大の悲劇な気がする。正直、二人の関係性はかなり序盤からどこか健全な関係ではなかったとおもうし、伏見が自覚する前から彼らのすれ違いは始まっていたのだとおもう。“吠舞羅”に入る前、《jungle》と対決しようとしたときに、伏見が「上手く行かなかったら宇宙船作って太陽に突っ込もう(突っ込んで死のう)」と言うのに対して、伏見なら太陽に突っ込んでも大丈夫な「超かっこいい宇宙船」を作ってくれると無邪気に信じている八田の返しが、既に未来を象徴しているように思えた。

 たったひとりの親友だった八田が周防に心酔していく姿への苛立ち、あらゆる面で叶わない周防への畏怖。同じ思いを共有できない事からくる疎外感と後ろめたさ。よくも悪くも周防のカリスマで成り立っている組織の中で浮いた存在となっていった伏見が「青」の王・宗像と出会ってそのありかたに惹かれていくのはどうしようもないことのような気がする。アニメを見た感じでは酷く淡白のようにみえる宗像と伏見の関係だけど、なんだかんだで伏見は宗像という「王」に惹かれてあの組織に入ったんだなあ。赤のメンツとは対称的な2人のやりとりと、2人の王の間で選択を迫られた伏見の取り乱す姿が物凄く好き。

 縮めようのない亀裂を描き、伏見の離反という形の関係性の崩壊によって締めくくられる物語だけど、最後に加えられたエピローグの物語が彼らの新たな「物語」を感じずには居られないもので、胸が熱くなった。劇場版でもその後でも、彼らが再び手を取り合う日が来る事を願わずにはいられません。


K SIDE:BLUE

 

“青の王”宗像礼司率いる、対能力者治安組織“セプター4”。その屯所の一角にある半ば忘れられた資料室に、重厚な肉体をもつ隻腕の男―善条剛毅がいる。ただならぬ気配を放つ彼は、前“青の王”時代からの古株で抜刀術の達人だという。人気のない深夜の道場で、新米隊員の楠原剛に剣を教える善条。そこへ、室長・宗像が真意の測り知れない薄い笑みを浮かべながら現れる―。 (「BOOK」データベースより)

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 テレビアニメ「K」の前日譚ノベライズ。新人隊員・楠原の視点から描かれる、伏見が入る前の《セプター4》の物語。

 Side:REDで王不在の旧セプター4が描かれたので、宗像が新しい王になった時の話が入るのかなとおもってたらそんなことなかった!けど、青の王になったばかりの宗像が組織としての地固めをしている頃の話。ストレインの捕縛にとんでもない大人数を動員したり、どこかまだ思考錯誤してる感じが新鮮。アニメで始めてみてなんか笑ってしまったサーベルを抜く『抜刀』動作にも意味があるんだなあとしみじみと……。

 なんかよい意味でも悪い意味でも「主人公」らしいキャラクターが居ないなあと思うKだけに、楠原の輝く主人公オーラに震える。腕は未熟だけどセプター4の隊員達や元の職場の人間達から愛され、そして王である宗像や前王の側近である熟練の猛者・善条に目をかけられ、悩みながらも少しずつ成長していく姿にニヤニヤする。なんかほんと、「K」らしからぬ王道な主人公の成長物語だ!!

 ……などとおもっていたらあっさりその考えをひっくり返してくるような後半が衝撃すぎて。Kって主人公としての人物特性を一定以上積み上げると死ぬ法則でもあるんですかね……(赤のクランで一番主人公特性を積んでいたのは十束であると密かに思ってる)。

 とにかく良い意味でまっすぐな癒し系主人公キャラだっただけに、彼の退場が伏見の入隊と入れ違いに起こったことが残念でならない。伏見と楠原の絡みも見てみたかったなあ……というか、「デイズ・オブ・ブルー」での部屋割りを見ると、もし楠原が死んでなかったら楠原と伏見が同室になってたんじゃないかしらと想像してしまう。なんか、宗像さんなら何らかの意図を持って伏見のわがままをねじ伏せて同室にしてしまったような気がする……。

 これ読んだ後にデイズ・オブ・ブルー読み直したら1話にそれとなく楠原が出てきててじんわりした。何かの形でコミカライズのほうにもでてきたらいいんだけどなあ。


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K -デイズ・オブ・ブルー-(1) (KCx ARIA)

黒榮 ゆい、来楽 零(GoRA)、GoRA・GoHands
講談社
発行日:2014/4/7


K SIDE:BLACK&WHITE

 

“白銀の王”アドルフ・K・ヴァイスマンの乗る飛行船の爆発に巻き込まれ、九死に一生を得た、伊佐那社(シロ)、夜刀神狗朗(クロ)、ネコ。奇妙な縁で結ばれた三人は、逃亡先の一室でそれぞれの来し方に思いを馳せる―。クロがかつて仕えた先代の“無色の王”三輪一言、師弟の間に在る絆。幻惑の異能力を操るネコ、彼女はなぜ猫の姿をしているのか。そして、微睡みの中で遠い記憶の底をのぞきこむシロ。そこには、共にいれば心安らぎ、未来を語りあえる二人がいた。伊佐那社、夜刀神狗朗、ネコ―それぞれ“過去”をめぐる物語が幕を上げる。人気アニメ、オリジナル小説第3弾。 (「BOOK」データベースより)

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 夜刀神狗朗、ネコ、そしてアドルフ・K・ヴァイスマンと國常寺大覚の過去を描く、アニメ「K」の前日譚ノベライズ第三弾。

 クロと一言様の過去を描く「繋がっていく者」のほほえましさがヤバい。クロが一言と暮らすようになった経緯はものすごく重いものがあるし、小さい子供ながらつらい境遇にも耐えて遂に手に入れた幸せな生活に思わず胸が熱くなってしまうんだけど、天才肌二人の繰り広げるどこか浮世離れしたやりとりにふきだしてしまうこともしばしば。クロがどんなに一言様を慕っているか、そして一言がどれほどクロを大切にしているかが伝わってくるお話でした。

 一方、クロの話とは対象的に幸せな物語から一気に突き落としにかかってくるのがネコの過去話「ワガハイはネコである!」。幼くして膨大な力を持ったストレインであった彼女が知らないままに築いてしまった小さくて幸せな虚構の世界が、些細な出来事をきっかけに砂のように崩れていくのが悲しい。そして、絶望した彼女が現在の『ネコ』になった原因と経緯がやるせない。

 シロの見る泡沫の夢としてはじまるアドルフと國常寺の過去話「和洋を超えて」も面白かった。日本から「石盤」の研究のためにドイツにやってきた國常寺がヴァイスマン姉弟と出会い、友人として絆を結ぶまでの話なんだけど、好意的なようにみえてなかなか本心を見せないアドルフに対し、國常寺が彼らしい誠実さで信頼を勝ち取っていく様子にニヤリとする。彼らの出会いはアニメで見たときももうちょっとじっくり見たいと思っていた部分だったのできちんと読めてうれしかったです。

 しかし、ここの短編としてみるとどれもいろいろな意味で面白い物語だったんだけど、すべてつなげてみると新たななぞが浮かび上がってくる。3編すべてに登場する同じ名前の「猫」の存在もそうなのですが、ネコの過去話に出てきた老人の風貌とか、「あれ?」ってなったの私だけじゃないよね……何かこう、彼らの間には知られざる何かがあるのではないかと疑ってしまう。無色一派はなんだかんだで、まだまだ謎が多いなあ。