[著]有川 浩 [絵]徒花 スクモ 長いこと憧れ続けた"王子様"が、郁のすぐ傍に居るあの人だった…!?何の前触れも無く知らされてしまった真実に、郁は大パニック。今まで本人を前にして言ってしまった恥ずかしいセリフの数々に赤面する一方、"王子様"の話を露骨に嫌がっていた彼の態度を思い出して、浮かない気分に。悩みに悩んだ末、郁は一つの事を決意するが…… |
王子様の正体を知って、すっかり恋する乙女モードの郁は可愛いけど、それだけに二人の仲を引っ掻き回してくれた手塚慧が憎らしいなあ。ぐるぐる悩む一方で自分の堂上への気持ちが「王子様への憧れ」なのか等身大の「堂上教官への恋心」なのかわからなくなってしまって沈み込む郁の姿は見ていて痛々しかったです。それでも、そんなモヤモヤを吹っ切って堂々と本人を前に「王子様卒業宣言」をかます姿がとても可愛い。
「ねじれたコトバ」は割と他人事ではなくなっている事例に色々と考えさせられる一方、世相社(折口)と香坂の心意気に呼応して立ち上がってくれた人々の心意気に胸がスっとなる思いでした。床屋・魚屋が軽度とはいえ現実でも規制の対象になってるなんて知らなくてびっくりした。ほんと、こういう知らないところから少しずつメディア規制が侵食していくのかとおもうと、背筋が寒くなる話です。
そして、今回はなんと言っても郁の父親が美味しいところを持っていきまくり。初めて母親に対して郁の味方をしてくれた、最後に県知事と一緒に現れた時の頼もしさは格別でした。他にも見所は沢山あるのですが個人的にはひたすらお父さん(と手塚)に座布団1枚。しかし、母親の過保護っぷりに磨きがかかり、それを父や兄達が歯止めをかけられなくなった理由は………思わず爆笑してしまった。
様々な苦難を乗り越えて以前よりも少し大人になった郁と、彼女に感化されて少しだけ強くなった茨城の防衛員の女の子達の姿も素敵でした。次で本編は最終巻とのことですが、どのような結末を迎えるのか、本当に楽しみです。
……しかし、「内乱」あたりからどんどん手塚が私好みのヘタレになっていくのですがほんとどうしましょう。意外な弱点が透けて見える「昇任試験、来る」もよかったのですが、「ねじれたコトバ」「図書館は誰がために」で柴崎の為に、不器用ながら色々と奮闘する姿に激しくキュンキュンする。特に香坂大地のサインの一件、どんな顔してサイン貰いに行ったのかと考えるともう……手 塚 可 愛 す ぎ ! 兄貴との複雑な関係も健在で、もう今回の手塚には最初から最後までときめかされっぱなしでした。最後は柴崎と幸せになるといいね!!