些細なことをきっかけにして幼い死神姫・クリクリに魂を食べられ、“姫護者(クレイドル・ガーダー)”と呼ばれる存在になってしまった普通の高校生・健太郎と文吉。殺しても死なない/怪我しても痛くない/すぐに治る身体になってしまったことに戸惑ったりしつつ、無邪気なお姫様の「子育て」に振り回される日々を送っていたが……というお話。
人間の理から外れた存在になってしまっても、あくまで普通の高校生な主人公達の悩みや葛藤がすごく良かった。“姫護者”なんて大そうな名前がついていても「死なない」「痛くない」以外はあくまで普通の高校生で、世間を騒がせてる“通り魔”なんかにはかなうわけない。身近な友人が死後の世界に旅立とうとしていて、何かが出来そうなのに何もできない。そして大切な人を目の前で理不尽な形で失うことになって、自分たちは死なないのに見ていることしかできなかった二人の悲痛な思いに胸が痛くなる。
「死神姫」であるクリクリを狙う勢力の存在をはじめとして、今後にいろいろ含みを持たせたシリーズ導入編という感じでありましたが、重い設定ながら重くはなりすぎず、田口さんの作品特有のハートフル疑似家族成分は見失わない感じでとてもおもしろかったです。
まだまだょぅじょなお姫様とその従者のサラ、そして「姫護者」となった面々のかかわりとか、ゾンビになった男子組のキャッキャウフフ具合とか、とにかく今後がとても楽しみ。