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賢勇者シコルスキ・ジーライフの大いなる探求 痛 ~愛弟子サヨナと今回はこのくらいで勘弁しといたるわ~

 

担当編集は憤っていた。悪ノリで2巻が出てしまうこの『賢勇者』シリーズを王道ファンタジー路線に戻すべく、彼は時間遡行を繰り返し、未来を変えようとしていたのだ。しかし、何度繰り返しても本作の主人公・シコルスキは、賢勇者というカッコいい肩書きなのに定期的に全裸になる変態であり、ヒロイン・サヨナは昨今のトレンドに反して胸が極薄で、性格がバブみから遠ざかっていくのだった。サブキャラも全員反社会的なサムシングだ。「オレは、嫌なんだ!全文検索で卑猥な単語がジャンジャン引っかかる下品な小説を編集するのは…!うおおおッ!」果たして担当は未来を変えられたか!?その答えは今、君の手の中にある―。

生き別れの姉を探して旅に出て、しばらくして再びシコルスキの元に戻ってきたサヨナ。賢勇者の元には今日も名うての変態達が依頼を持ってきて……。

相変わらず疾走感のあるキレッキレなギャグが最高。

一癖も二癖もある「依頼人」達の変態ぶりは磨きがかかっているし、KADOKAWA及びその関係者にひたすら喧嘩を売っていくスタイルが相変わらずキレッキレでした。隠語として「KADOKAWA」が飛び交ってるのどう考えても悪質で笑ってしまう。

1巻では割と楽しめる話とイマイチな話があるように感じていたのですが、個人的には2巻は最初から最後まで面白かったです。「カクヨ村」の話とサヨナのお見合い写真が窒息するほど好き。その人今ストレートエッなんとかでKADOKAWAじゃなかった気がするんですけどいいんですか!?

前巻のノリを失わず、引きずりすぎない塩梅が絶妙。

前巻の存在だけで八行使うマスコットキャラのネタとかめちゃくちゃ好きだったんですけど、顔見せ程度の出番なのが逆に絶妙だなと思いました。それ以上出しすぎるとしつこく感じただろうし、かといって出てこなかったらちょっと寂しかっただろうなという。

「このネタまたやるかな?」「前巻でフラグっぽかったのどうなった?」みたいな前巻の読者の期待を裏切らず、かといってそこに囚われすぎずに新しいギャグをやっていく流れがとても楽しかったです。2巻の導入が1巻のエピローグと完全に一致するのには笑ってしまった。そして最終章でこれまで登場した変態達が一同に会するという展開が完全にテンプレになってるじゃないですかやだー!!!!(最高)

それにしても、予想外に2巻が出た結果「このシリーズ2巻で打ち切りだから!」「前巻の○ページを見ろ!!」という定番の悪ノリネタが生まれてしまったのがじわじわと趣深いな……。

少しだけ近くなった師弟関係が印象的

復讐のためにシコルスキの弟子となり、一度は彼の元を飛び出し、再び戻ってきたサヨナ。今巻は本願を果たしてしまった彼女が再び自分のやりたいことを見つけるまでの物語でもあります。ちょっとずつ変態達の色に染まりつつも需要に対して足りてなさすぎるツッコミとして頑張るサヨナと、そんな彼女に色々無理難題を突きつけつつ大事な時は彼女の選択を尊重しようとするシコルスキの、以前より少し縮まった関係性が良かったです。

自称「2巻打ち切り」とのことだけどまた(作者と編集部の)気が向いたら続刊出してほしいなあ。


賢勇者シコルスキ・ジーライフの大いなる探求 〜愛弟子サヨナのわくわく冒険ランド〜

 

「ところでコレ、ホントに出版するの?」編集長の鋭い眼光とその言葉に、相当編集の命は風前の灯火であった。本作は『賢者にして勇者である最強の称号“賢勇者”を持つ男が、弟子(おっとり巨乳美少女)とともに社会の裏に隠れた悪を断罪する』という“ザ・今時のライトノベル作品”としてスタートした。だが作家からあがってきた原稿は、全裸のイケメン(賢勇者)をはじめ、筆舌に尽くしがたい変態仲間たちが織りなすナンセンスギャグギガ盛りの―いわば「なぜか堂々としている社会悪」的な何かであったのだ(ついでにヒロインの胸も削られていた)。「だ、出版します!面白いですから!」超言い訳っぽい担当の言葉は真実か!?答えは―今、あなたの手の中にある。 (「BOOK」データベースより)

賢者にして勇者、最強の称号を持つ男。「賢勇者」シコルスキの下に弟子入りしたワケアリ少女・サヨナ。樹海の真ん中にある彼の屋敷には今日も選ばれし悩める強者(と書いて「変態」と読む)達が訪れるのだった。変態たちの更に上をいく師匠とともに、愉快な(?)毎日を送っていたサヨナだが……!?

あらすじがあらすじしてないんですけど、なんていうかだいたいこのあらすじで合ってるから困るというか……9割くらいシモネタメタフィクション内輪ネタで出来てる。「ここに挿絵が入る!」とか「俺はサブキャラだが3話でも出るぞ!」とか時間の単位がなぜか「行」とか、普通に出るのでもう現実とフィクションの境目が曖昧まである。終盤でまさかのシリアス展開かとおもわせてきたけどやっぱり最終的にはやっぱりシモネタとメタフィクションで殺しに来たのでなんの問題もなかった。

女の子がばんばんいじられる系の下ネタだときついなあ…と思ったし実際サヨナの貧乳いじりとか好き嫌い分かれそうなんですけどそれ以上にひたすら男キャラが濃かったので楽しかったです。なんだかんだ良い話に落ち着くし。ところでユージン×アデルだと思うんですがどうか。

正直各章の面白さには波があるというか、元ネタのわからんギャグが続くところはまるで面白くないという問題はあるんですけど、こういう小説はどこか一箇所ツボに入れば推していいと思ってるので……良くも悪くも人を選びすぎる小説だなあと。私としては生きてるだけで8行使う自称マスコットキャラがツボに入りすぎて腹筋辛かったのでもうそれだけで満足です。あと異世界転生主人公送還RTAが最高に好き。

作中で堂々と「単巻完結」と言い切っていたけど、この頭を軽くして読める感じは思い出したように続きを読みたいなぁ。