ものすごくいまさらですが、1巻再読して続きに手をつけ始めました……学校の階段を走って上ったり下りたりする「階段部」の面々を描く、学園スポコン(?)第二巻。今回は生徒会から正式に「部」として認められた階段部が正式な部昇格を目指して奮闘するかたわら、「階段部」誕生のきっかけに迫るお話。
顧問探しからはじまって、部員獲得、書類提出?…と外交的なお話が中心になったせいで1巻よりもスポコンというより学園ラブコメの香りが強くなっていた印象。でも、階段部設立のきっかけを作った九重vs刈谷の夜の階段レースにはものすごく心がときめいて、ワクワクする。
さまざまな紆余曲折があって陸上部と階段レースをする羽目になって、1巻では三枝に散々翻弄されていた神庭が逆に相手を翻弄する展開には、彼の成長を感じ取ってにやりとしました。
そして1巻でさんざんいがみ合っていた神庭と井筒がすっかり仲良くなっているのに盛大に噴いたそしてちょっぴり萌えた!1巻を再読した時はあまり感じなかったのですが、1年生コンビのほかにも刈谷&遊佐の(元)生徒会コンビとか、何やら不吉な言動をしていた三枝など、何気に男子分が美味しい。特に神庭&井筒と刈谷&遊佐には今後もぜひとも活躍していただきたいところです。私が男子萌え的な意味でワクワクします。
しかし、2巻の殊勲賞はなんといっても小夏姉ちゃん&大津先生だとおもうんだ!!典型的な「厳しいから生徒には嫌われるけど教え子思いな先生」だった大津の躊躇いと、まっすぐに生徒の味方であり続けようとする小夏。立場は違うけれど同じ思いを奥底に持っている二人のやりとりにニヤニヤが止まりませんでした。
……それにしても、1巻再読したあとに初読時の自分の1巻感想読み直したら「小夏のキャラが薄い」とか書いてて、当時の自分はどこに目を付けていたのかと……再読時の感想は「小夏ちゃん可愛いよ小夏ちゃん」だったという不思議でした。
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コラボアンソロジー2 "文学少女"はガーゴイルとバカの階段を昇る
[著]野村 美月、井上堅二、田口 仙年堂、櫂末 高彰 [絵]葉賀 ユイ、竹岡 美穂、日向 悠二、甘福 あまね 文芸部の活動の一環としてやってきた図書館で、姫路瑞希と出会った遠子と心葉。以前から遠子と仲が良いらしい彼女だが、ちょっと元気がない。そんな瑞希を救うため、今"文学少女"が立ち上がる—!? |
もうなんていうか……冬コミへの燃料投下ありがとうございます(鼻息荒く)
「"文学少女"と乙女に集う召喚獣」(文学少女×バカテス)
以前から噂だけ聞いてずっと気になっていた短編を、遂に読む事が出来たよ…!!姫路さんの話を聞いて何故か雄二と明久がデキていると勘違いした遠子先輩が、雄二達F組の面々と召喚獣勝負をする話。
遠子先輩の文学で鍛えた腐女子フィルターSUGEEEEE!!!!!
雄二と明久のいつものドツキ合いを見てあっさり「デキている」と言い切る彼女が最高すぎます。すげえ、すげえよこの人。かなり序盤から明久総受説を推奨してきた私ですが、遠子先輩の雄二×明久表現に新次元を見た気がする。「情熱的な視線の絡み具合」「甘えるような濡れた声」……想像するとエロい、エロいよ雄二×明久!!もう私、バカテスまともに見られない!!(腐女子的な意味で)
野村美月先生御本人による、華麗なる「遠子壊し」っぷりが壮絶。このコラボの裏タイトルは「本当はエロい"文学少女"」でいいと思います。この人きっと、心葉の居ないところでBLとか官能小説とかガッツリ摂取してるに違いない……
初々しく可愛らしい明久×瑞希とか、分かり合うペッタンココンビとかにもニヤニヤでした。そして葉賀さんの心葉くん可愛いよ心葉くん。心葉くんの召喚獣には是非別の機会にちゃんとバトルして欲しいなあ。あの武器でどうやって戦うのか見て見たい。
「"文学少女"と殺された莫迦」(バカテス×文学少女)※濃厚腐要素注意な初読感想:前編/後編
先行掲載されていた書きおろしコラボ。明久の国語力に将来の不安を抱いた遠子と心葉が文月学園を訪れたら、何故か殺人事件(!?)が起きて…というお話。この小説の感想については初読時に腐女子日記の方で散々痛々しく語っているので省略。
とりあえずコノハちゃん可愛いよコノハちゃん。コノハには女装が似合うと常々思ってた!!井上先生ありがとうありがとうありがとう大事な事なので3回言いました!!あとがきでの野村先生のはしゃぎっぷりにはごっついシンパシーを覚えます。
「天栗浜のガーゴイル」(ガーゴイル×階段)
旅行先で階段部の面々と遭遇した双葉が階段部の活動に興味を抱き、飛び入りで幸宏と階段レースをすることになるお話。
はっちゃけ率激高いコラボ群の中では割と正統派な短編。双葉をただの小学生だとナメてたら持ち前の運動神経とガーゴイルのサポートもあってかなりいいところまで追い詰められて…階段の爽やかスポ魂青春コメディと吉永さん家?のほのぼの具合が良い具合にマッチして、普通に面白かったです。筋肉部に筋肉を讃えられてドン引きする双葉が可愛い。それにしてもガーゴイルはどんどん妙な部分で器用になっていく…。
個人的にはガーゴイルのコラボはもう1個くらい見たかった気がします。というかガーゴイルに文月学園に乱入してもらって、卑怯な戦術をかますF組の面々に鉄拳制裁しまくる展開が見たかった。次の機会があったら是非そんな感じで……ってガーゴイル完結したからもう無理かな。
「バカと階段と召喚獣」(階段×バカテス)
文月学園が外部向けに行った召喚獣お披露目イベントの話を聞いた階段部が準備中のイベント会場に乗り込んで明久達と召喚獣で階段勝負をするお話。
序盤、かなり雰囲気の違う文月学園一同に違和感感じてもにょもにょしてしまってたのですが、だんだん読んでるうちに話に引き込まれて多少の違いは気にならなくなってしまいました。とりあえず、普段以上にバカ&ドジ5倍増しな明久や、所構わず足を引っ張り合いまくりな悪友コンビにニヤニヤが止まらない。
それより何より秀吉×雄二はじまりすぎた!!!すげえ、櫂末版秀吉最強じゃね!?ただ役になりきっただけとは到底思えない妖艶腹黒オーラに噴いた。雄二がツンデレなのは激しく同意!!「これの秀吉もう全然ちげー!」「でもこれはこれでイイ!!!」と脳内テンションMAXでした。
そしてこの作品の「あとがき」の破壊力は異常。もはや素で漫才の領域。櫂末先生が雄二、井上先生が明久に見えました。そういう幻視をしました。ごめんなさい。すいません。
一つだけ残念だったのは、この短編のみ文中挿絵がなかった事かなあ…甘福さんはこの後の文学少女×階段コラボでも挿絵を担当されているので負担が大きかった事は確かですが、唯一の表紙絵もメインは階段キャラでバカテス側は秀吉の召喚獣だけ。バカテスファンとしてはちょっと物足りなかったです。ううっ、甘福さんのイラスト好きなので楽しみにしてたのになぁ…
「"文学少女"とやってきた走者」(文学少女×階段)
他高校との交換入部で階段部に体験入部した心葉と、文芸部に体験入部した幸宏の一週間のお話。書きおろし。
普通に爽やか熱血青春スポ魂モノになっていて、純粋に楽しめました。なんだかんだと文芸部に馴染んでしまって平和な日々を謳歌するものの、どこか物足りなさを感じる幸宏と、典型的な文化系で階段部にちっとも馴染めず階段レースのタイムも上がらず疎外感を感じるばかりの心葉の姿が対照的。そんな2人の鬱屈を吹き飛ばすような最後の2日間での先輩達の行動に胸が熱くなりました。そして何気にLOVEもあるよ!!
一応全作品読んだ事があるというのは大きかったですが、どれも良い具合に各作品の雰囲気が融合していてとても面白い短編集でした。こういう企画は他のレーベルではやってないと思うので、今後も是非続けて欲しいです。やはり読んでない作品とのコラボはなかなか手を出し辛いものがあるとおもうので敷居は高そうだけど…
繰り世界のエトランジェ 第1幕 糸仕掛けのプロット
[著]赤月 黎 [絵]甘福 あまね
生物から伸びる繰り糸を視、それを繰る事が出来るという異能を持つ高校生・睦月透真。失踪した母の代わりに“依頼”を引き受け、連続殺人事件の犯人を探していた彼は雨の公園でボロボロの制服を来た少女・カタナと出会う。更にその日家に帰ると、母の実家から使わされたというメイドの少女・冥まで現れて…?
スニーカー大賞奨励賞の作品を改題したものらしいです。「投稿作」って言われると納得なんですが、実に「詰め込みすぎ」な作品。生物から伸びる繰り糸を視、それを繰る事が出来るという異能を持つ高校生・睦月透真。失踪した母の代わりに“依頼”を引き受け、連続殺人事件の犯人を探していた彼は雨の公園でボロボロの制服を来た少女・カタナと出会う。更にその日家に帰ると、母の実家から使わされたというメイドの少女・冥まで現れて…?
「人を繰る“繰糸術”」からはじまって「自らを人形と名乗るメイド少女」「古の異能に改造された、全身狂気の少女」「戦闘中に性格が凶暴になる主人公」「蟲使い」だのときて、極め付けに「“何をされても声さえ上げない。当たり前だ。だって心が死んでいるんだから。”」というセリフに悩殺され…と、設定や世界観が片っ端からツボヒットでした。新人さんの作品は基本的にあまりチェックしないのですが、この作品だけはスニーカーの告知をみて以来めちゃくちゃ楽しみにしてたってくらいには。
しかし、ちょっとストーリーが消化不良。冥とカタナで別個のバックグラウンドがあるんだけど、カタナ側が中途半端に謎だけ提示されて、何も消化されていないのが微妙すぎる。つか、「月姫」始めてアルクェイドルートやってたら中盤から突然翡翠ルートの後半に突入してしまったような消化不良さ(わかる人だけわかってください…)。表紙からしても明らかにカタナがメインヒロイン扱いで、ストーリー前半もちゃんと彼女がメインヒロインしてるんだけど、途中からいつのまにかメインヒロインが冥になってしまうので、凄く違和感感じました。
改稿して出版する事が出来たんだったらカタナを完全なサブヒロインの位置付けにして、彼女の追っている敵とか彼女自身の正体には踏み込まない方がスッキリしたと思うのですが。なんか後書きを読むとカタナを推したい編集と冥を推したい作者の間で色々あったようなので、その辺の余波なんでしょうか…後半カタナ空気だし。設定とかがめちゃくちゃ好みだけに、凄くもったいない。
しかし、世界観やキャラクターはめちゃくちゃ好みだったので、次巻以降で落ち着いてくれるのを期待…?ご主人様とそれ以外で性格変わりすぎな冥ちゃんや、王道すぎるツンデレ娘のカタナはどっちもめちゃくちゃ可愛かったので、続編でもうちょっと出張ってくれるのを祈ります。兎に角パーツパーツがいちいちツボすぎるので、次回はもうちょっと美味しく調理していただきたいところ。ラストがあんな終わりかただし、「第一幕」と銘打たれているのできっと2巻は出るでしょう。
あと、個人的にはたった1P先の事だとはいえ、とあるキャラの死を挿絵でネタバレするのはやめてほしかったです…多分死ぬと思ってはいたけど、ああいう風に時間差でイラストバレされると興ざめ。
ところで、ラノベでエロゲっぽい異能バトル系作品の主人公の名前が結構な確立で「とーま」なのは、なんかのお約束でもあるんですか?いや、ナインエスとか禁書とかのことですけど…。
学校の階段
学校の階段 発売:2006.2 発行:エンターブレイン [著]櫂末 高彰 [絵]甘福 あまね |
タイトルを聞いてホラー(怪談)だと勘違いしてはいけません(笑)
学校の廊下を走る・階段を駆け降りる(昇る)という本当になんでもない行為を一つの「スポーツ」として描いてしまうところが着眼点として、本当に凄いと思う。
「人の流れ」を始めとして不測の事態まで計算に入れないといけないと言う辺りなど、物凄く奥深い。
特に人ごみを避けるって難しいんですよね?…毎日東京駅を寝ぼけ眼で通勤していると5回は前から来た人とぶつかります。
私も「階段部」で人ごみを避ける方法を教えてもらうべきですか?
イラストや基本設定(カラー口絵)などを見るとだいぶ萌え狙い小説っぽいのですが、ところがどっこい中身は激しく熱いスポ根です。
というかだいぶイラストで損してる気がするなあ…作風に対して明らかに萌え系な絵柄が浮き上がってる気がするし、何より全体的にもっと「カッコ良く」描ける絵師さんをつけてほしかった。特に男の子が些か可愛いすぎて個人的にかなり不満。
なんでもショタロリにすればいいってもんじゃないぞ!!
あと小夏のキャラが薄すぎて、後半でせっかく美味しい見せ場があるのにまず「え?こんなキャラ居たの?」っていうのが先にたってしまった。なんか最初から「3人の従姉と同居」にしておいた方がよかったんじゃないの?小夏と千秋はどちらか1人で十分事足りたかと…。
何はともあれ階段部の各キャラクターについても気になる過去がかなりあるっぽいので続編に期待です。