「シュタインズゲート」のノベライズ完結編。原作と細部の流れは違うけど、これもまた紛れもなく同じ『シュタインズゲート』へ至る物語。
かなり細部に渡って展開が変わってきているので、原作と同じ展開を辿っていてもまた新たな気持ちで楽しむ事が出来ました。初めてタイムリープしてどうしても8月13日を抜け出せないときの閉塞感は原作とおりに凄いんだけど、最後にまゆりと「彼女」を天秤にかけなければいけなくなった時のオカリンの葛藤は原作以上だった。散々二人ともを救おうとして失敗したオカリンが、血を吐くような気持ちで彼女にあの一言を伝えた場面では思わず涙が零れました。
フェイリス・ルカ子の話が大幅に削られた分、原作では徹底して蚊帳の外だったまゆりとダルにピントが向いているのも面白かったです。ていうか原作よりも「スーパーハカー」ダルの天才性が強調されていて、天才タイプの2人に囲まれて自らの凡人さを自覚していて時折無力感に囚われる岡部という構図が凄く好みだった。そして二人の天才に対して岡部自身は本当に「努力」の人なんですよね。様々な可能性世界での「彼」が様々な世界で途方も無い努力を重ねたことで見出した“シュタインズゲート”という可能性。そこに至るまでの軌跡を想像するだけでもやばい。オカリンがゲーム序盤で見た謎の「夢」の正体は別の可能性での自分自身の記憶だったんだろうなあ。あとバレル・タイターまじかっこいい(ネタバレ)
そして原作でも有数のトラウマシーンであろうアレ(ヒント: 幼 女 怖 い )は原作以上にヒドいことになってたなあ!!(一応褒めてる)挿入された挿絵の威力半端ない。同世界線で「オカリンとクリスちゃんをくっつけるために」「がんばってる」まゆりの姿が描かれますが、よりによって綯のあのシーンで一緒に描かれるせいでホラー3倍増し。ぶっちゃけ、「あの」まゆりはタイムリープを繰り返した結果“狂ってしまった”まゆりなんじゃないかなあ……などと思ったりしました。問題はあの彼女が本当に“あの世界線上だけの存在”なのかってことなんだが。バレル・タイターがまゆりに関する警告をしたのは別の世界線での話って考えると他の世界線でもかなりの確立で“ああ”なってる可能性は……(以上ネタバレ)
900P近いページ数を一気に読ませる、ジェットコースターのような展開に感動。個人的には原作プレイしてから読むのを推奨したいですが、このノベライズ単独でも十分楽しめるお話になっているので「原作はやってないけどやろうかどうか悩んでる」みたいな人が読むのもアリなんじゃないでしょうか。
でも皆原作もやるといいよ!!
かなり展開違うのでノベライズやったあとにプレイしても楽しめるよ!!