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鉄球姫エミリー

[著]八薙 玉造 [絵]瀬之本 久史

王女ながら自ら大甲冑を纏い、「鉄球姫」という二つ名で呼ばれる少女・エミリーは跡目争いを回避するため辺境の古城で静かに(?!)暮らしていた。しかし病弱な弟王に代わり彼女を王位に据えようとする動きは後を絶たず、遂には親王派筆頭である貴族が彼女に暗殺者を送り込んで…
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勝気で傲慢で自己中で超下品(強調)な王女・エミリーがお付の護衛騎士や装甲侍女達とお下品な会話をしながら辺境の地でそれなりに平和に暮らしているという話…だと思っていたら、序盤のお下品でコメディな展開から一転、真っ逆さまに殺伐で血みどろで欝なお話になってしまいます。グロくてバイオレンスな展開が苦手な人は拒否反応を示しそうなのですが、その辺りさえ大丈夫なら非常に面白かったです!

序盤では王女のあまりに唯我独尊まっただなかな発言に正直閉口したりしましたが、その発言の中に王女なりの自尊心とか意地みたいなものが見え隠れし始める頃から一気に面白くなりました。意地を張って修道院入りを見送っているうちに取り返しの付かない事になってしまい、それを悔やんでいるのに、人前でそれを言えないエミリーが意地らしくてそして可愛く思えて、一気に惹きこまれます。特に城攻めに遭ったときにエミリーが呟いた本音(傍にいないマティアスに向かって「妾も修道院のこと、考えていなくもなかったのだぞ」的なセリフの部分)なんかは胸に堪えました。

そして彼女達を襲った"亡霊騎士"と呼ばれる暗殺者の側にもまた彼らなりの"事情"があって、快楽のために殺すとかではなく生きるために仕方なくやっている…というのがまた。彼らが"亡霊騎士"に身を堕とす切っ掛けにはまた切ないドラマがあって…というのが素敵でした。作中で行われる殺人は本当に容赦なく、登場人物の生存率は限りなく低いという展開が続くのですが、どんなに酷い展開でも敵側を憎むことが出来ませんでした。

圧倒的な力を持つ強敵である亡霊騎士達に、独りで立ち向かう王女の姿が凄く熱かったです。ただ、キャラクターたちの会話(特にエミリー)は非常に面白いんだけどバトル描写がイマイチ読み辛くて、イマイチ何が起こっているのかわかりづらかったのが残念だったような。描写が多すぎて文章が読み辛いというかテンポが悪いというか…ううむ。

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