[著]木ノ歌 詠 [絵]ミヤス リサ |
「インフィニティ・ゼロ」じゃないですが全体的に泣かせ系のギャルゲーっぽい印象がどうにも残ってしまうのが難点といえば難点かなあ。死ぬのはヒロインじゃないけど。良くも悪くも鍵系好きな方はきっと感動できる小説だと思う(笑)
それとは別に、凄く音楽に関するマニアックなネタが多数登場します。
ヒロインがシンセサイザーであるというのもあるんですが…クラシックや現代の音楽にいたるまで。
ただ、読んでいて気になるようなうっとおしい解説とかはなかったので。
二人で音楽を作るシーンなんかは「ああ、こうやって最近の曲って作ってるんだ?」と単純に感心。
全体的に感動系のお話で履歴も無い「からっぽ」の主人公が
電気仕掛けの歌姫であるヒロインと行動を共にする事によって感化しあい、
お互い少しずつよいほうに変わっていくという辺りは結構みもの。
最後のコンサートのシーンではかなり涙がこぼれてきました。
ガルバとかゲネラルパウゼとか、機械達の動きが凄く切なくて、凄くよかった。
しかし、最後で主人公生き返っちゃったのはちょっとご都合主義っぽい感じがしました。
惜しむらくは、正直悪役の扱いがすこぶるよろしくない事。
せっかく「別に悪い人じゃないんだよ」というような描写が幾つも出てきて
後半では結構ヒロインを助けるような役回りを演じるというのに
最後は「逮捕されたよ」で終わりかよ!!ってのが…。
彼の行った悪事が許されざる事は明らかなのですが、
こういうオチをつけるなら最後まで「悪い奴」で押し通しちゃって欲しかったなと思います。
ってか吾郷はとにかくゲネラルパウゼどうなったのー!?(叫)
前半でちょっと中だるみっぽい部分がありますが(専門的な話題が続く為)
後半はテンポもよく一気に読み進む事が出来ました。全体的には面白かった。