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火目の巫女 巻ノ三

[著]杉井 光 [絵]かわぎしけいたろう

火垂寮にいる御明し達がそろって不思議な“歌”を聴いた。その歌は初代火目・霞の鳴箭の音。火目達を、そして化生を呼び寄せるその音に呼応するように都には紅い雪が降る。どうやら彼女の遺骨を盗み出した者がいるようなのだが…。豊日と共に、今回の件の調査を始めた伊月は次第に妙な"声"を聞くようになって…。
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シリーズ第三弾。とある人物の陰謀により火目の力の源である火の神である"ヨビ"が降りてきて、京の都がかつてない災害に見舞われるというお話。豊日の過去とかもちょっと明かされます。

伊月と豊日の関係にニヤニヤしてしまうのは相変わらずなのですが、2巻でちょっと浮上して3巻はまた重い展開に…様々な意味で四面楚歌な伊月が必死に奔走するのですが、彼女を含めて伊月も豊日も佳乃も茜もみんなが皆、自分を省みない自己犠牲判断の元に行動するものだからいつどこで誰が死ぬかとハラハラしっぱなし。自己犠牲を思い留める時ですら自分のためではなく、『自分が死んだら○○は悲しむだろうか』という思考になってしまうあたり、もうみんなして筋金入りです。

久しぶりに出てきた常和のシーンには泣かされたけど、そこでそう来るのか!なんて悪趣味な!(※褒めてます)それにしても、1巻の頃からどういう事になっているかは大まかに明かされているわけだけど、実際に決定的な描写を見てしまうと改めて惨い…一瞬でも救いを見せられてしまっただけに、余計に悲しく感じてしまう。

豊日に関するミスリードには思いっきり騙されましたが、それ以上に茜の本命がこの巻における最大のミスリードなのではないかと思いました!!そりゃあもうまんまと騙されたよ!!エピローグ読んで噴出しました。もういっそ佳乃と茜と豊日で仲良く伊月を取り合えばいいと思います!この4人でコミカルな鞘当て模様とか凄く見てみたいです。そしてそこにいらぬ首をつっこんで騒ぎを大きくする為子様を蝶希望。

最終的にはそれなりに綺麗に落ちてますが、火目という重い宿命を背負った彼女達がその後どうなっていくのかや伊月の能力等気になるところも満載で、これで完結と言われたら納得せざるをえないけど読めるものなら続きが読みたいと思ってしまいます。ほんと、続編でないのかな?…ここでおしまいといわれるのは凄く残念です。


火目の巫女 巻ノ二

[著]杉井 光 [絵]かわぎしけいたろう

火目が代替わりした後、火護唯一の弓衆となった伊月。1年後、役目を終えた前代火目・時子の埋葬に弓衆として立ち会うことになったのだが、その最中に時子が化生として覚醒・逃亡してしまう。自らの無力さを目の当たりにしながら新たな御明しになった茜と共に彼女を追う伊月だが…
火目の巫女 巻ノ二
シリーズ第二弾。1巻であれだけ衝撃の事実が明かされまくったので前巻に比べてちょっと物足りないなあと思う部分もあったけど、“火目”という存在に縛られていた伊月と佳乃が少しずつ変わっていこうとするお話として手堅く王道な面白さになってきた印象。

新御明し・茜をとりまく人々の気持ちが胸に痛いです。なにかと常和を思い起こさせる言動を見て、真実を知らないまま火目を目指させて良いのかと自問する伊月はある意味予想とおりなのですが、佳乃のもらした言葉がとても印象的。彼女も彼女なりに、常和のことを気に入っていたんだなあと思わせる一言でした。

伊月&佳乃、佳乃&双葉などなど各所で乱立する百合フラグも悪くないですが、やはり豊日と伊月のビミョーな関係が凄く良い。わだかまりは消えてはいないけど、色々理由をつけていつのまにか女御扱いになってたり、夜に二人きりで色気のない相談話とかしちゃうこの二人の関係がとてもツボ。ああ、ぜひ次ではちょっとだけ進展してほしい!

個人的にはここで持ち上げておいて3巻では再び突き落としにかかるのか、そのままハッピーエンド方向に続くのか気になる所。まだ不穏な火種は残ってるしな?…。というか過去話が入りそうな勢いだけど3巻で終わりなんだよね?凄いいやな予感がするぞ!

あと、矢加部のあの挿絵は反則だ。
死亡フラグにしか見えなくいよ!!


火目の巫女

 

"化生"と呼ばれる異形の怪物たちに脅かされ、"火目"と呼ばれる一人の巫女により護られる世界。化生に村を焼かれ、ただ一人生き残った少女・伊月はその才能を認められて火目候補"御明かし"として宮中に上がる事になる。2人の御明かし候補の少女達と共に切磋琢磨しながら絆を深めていくが…

LNFminiでお話を聞いてから「これは読まなきゃ!」と思った杉井光のデビュー作。だって巫女さんで平安ファンタジーで欝展開で平安ファンタジーだよ?!大事な事なので2回言いました!

化生の襲撃によって母と生まれた村を喪い、化生を滅ぼすことに執念を燃やす伊月が盲目でミステリアスな少女・佳乃と天然で大きな才能を持つ常和や周囲の人々と触れ合ううちに成長していくお話……かとおもったら後半重もーーーー!!!欝展開という前評判は以前から聞いてましたが、ここまで重たいとは。いえ、こういう重さ大好物ですが。

だんだん佳乃や常和が抱える過去の"傷"が見えてきたり、「火目の巫女」という役割や"化生"の正体に対する疑念が見えてきたりして、少しずつ不穏な空気が漂い始めたところに、"火目"の代替わりがやってきて……そこからの展開はもう凄まじいの一言。帝の正体、"火目"や"化生"という存在の真実、そして佳乃と常和の想いなどが次々に明かされていき、一気に物語に引きずり込まれました。特に「火目の巫女」の真の役割が明かされたときは本当に呆然とするばかりで。慟哭する主人公の姿がただただ胸に痛かった。

キャラ的には重い過去と未来を背負う女の子3人も良いですが、やはり豊日最強ですね!!!LNFminiで"ロリババア"属性扱いされてたので全く期待してなかったのですが、ロリババアじゃなくてショタジジイじゃねえか萌え!!豊日×伊月を全力で応援したい私であります。

凄まじい欝展開といい爽やかなんだか後味悪さMAXなんだか判らないエピローグといい百合百合な展開といいショタジジイといい、とてつもなく人を選びそうな物語ではありますが、私としては文句なしに面白かったです。エピローグは……違うよな?そういう意味じゃないんだよな…?(「『佳乃の鳴箭?』」→「小さな影が二つ?」がどうしても、あの、アレな展開を連想してしまうのですが…違うよね、違うよね豊日ーー!←ネタバレ)しかし、1巻で綺麗に終わってる気がするんだけどここからどうやって続けるんだろう…。


余談ですが、読み終わってからふと思い出して↓のMAD見たら物凄い勢いで涙腺決壊した。うわああああ常和…!!!原作知らないで見たときは全くピンとこなかったけど、原作読んでから見ると神MADだこれ…鳥肌立ちまくりでした。