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ショートストーリーズ 僕とキミの15センチ

 

それは、明日起こるかもしれない、あなたの「if」の物語―。「僕とキミの15センチ」をテーマに、総勢二〇名の作家が参加した珠玉のショートストーリー集。Web小説投稿サイト『カクヨム』に掲載された作品に、『バカとテストと召喚獣』の井上堅二や『“文学少女”シリーズ』の野村美月、そして『東雲侑子シリーズ』の森橋ビンゴによる「あの作品×僕とキミの15センチ」のスペシャル書き下ろしショートストーリーを加えた全二〇篇収録!(「BOOK」データベースより)

 ファミ通文庫19周年記念として「カクヨム」に掲載された"15センチ"をお題にしたファミ通文庫作家のオリジナル短編+公募作1編+「東雲侑子」「バカテス」「文学少女」の番外短編3編を集めたアンソロジー。番外短編3つ以外はすべて「カクヨム」の企画ページから読めるので、気になる作品があったらチェックしてみると良いかも。

 バカテスの短編目的で買ったんですけど、ラブコメありホラーありSFありの「全部盛り」なお祭り感がめちゃくちゃ楽しい。アンソロジーってだいたいひとつふたつは合わない作品があるんだけど、どれも凄く面白かった!ファミ通文庫は割とこの手のアンソロジー企画定期的にやってる印象なので、20周年となる来年も楽しみ。

  〜以下、タイトルクリックでカクヨムの第一話に飛びます。〜

記憶喪失の少年が目を覚ますと、目の前の少女との殺し合いを強要されていた。記憶に残っている物語の展開を思い出しながら事態に対処していこうとするが……。
文庫表紙のイラストから青春ラブコメアンソロみたいなのを想像して読むといきなりデスゲームの皮をかぶったSF的ななにかにぶん殴られる構成が最高に良い。「僕」と「私」の対話によって淡々と語られる物語と、少しずつ自らの存在が足元から揺らいで行くような展開が楽しかった。

15センチの距離で見つめ合う幼馴染のふたり。いつのまにかそれはどちらが先に離れるかという「いつもの勝負」になっていて……。
なんでもかんでも「勝負」になっちゃうケンカップルは好きですか!(大好きです!) 軽口を言い合ったり、お互いの羞恥を煽ってみたりという軽妙なテンポの掛け合いから、最後にド直球で責めてくるのがズルい。短くて爽やかな青春短編。

家の蔵の中には「コダマサマ」と呼ばれるミニ神社がある。コダマサマへのお供えを持って行った康太は、好奇心からお社の中を覗いてしまい……。
短い時間を濃密に生きる「コダマサマ」たちと不登校になってしまっていた少年の、数カ月間の短い交流。可愛いくてちょっぴり切ない、明日を生きる元気が湧いてくるような物語でした。可愛かった……。

付き合っている先輩と縁日デートに向かう途中、先輩の運転する車に「ぶつかってきた」不思議な少年。現場で拾ったスマホの中身を確認してみると……。
初めて恋に落ちた少年の色ボケ全開の日記が最高に頭悪くて、そこから段々「ちょっと不思議」なお話になっていく展開が楽しい。割と先が読める展開だったけどその王道ド直球ぶりが良かった。最後の「僕の天使」で思わずニッコリ。

クラスであぶれ者になった僕と出雲さん。クラスの中心となる生徒達の楽しそうな姿を横目に、彼女は“地面から十五センチだけ浮いた程度の物語”を所望する……。
もうこのタイトルだけで勝ってる感すごい。求めるのは退屈な日常からちょっとだけ乖離した非日常。クラスの輪の中に入り損ねた彼らがそれをdisりつつ、ちょっとだけ勇気を出してその“非日常”に飛び込もうとする姿に胸が熱くなりました。そしてその非日常感を「地面から十五センチだけ浮いた程度の物語」って言いかえるセンスがめちゃくちゃ好き。それにしてもちょっとしか出てこないけどカーストのてっぺんである花咲さんからは本物の強者の気配がしますね……勝てる気がしない。

展覧会をきっかけに惹かれあっていく華道家元の娘・彩華と書道教室の息子・涼介。涼介への恋心を自覚する彩華だが、彼は茶道教室の娘・花鈴と付き合っていた……。
「カクヨム」コンテストの最優秀作品。両親のせいで恋愛に懐疑的だった繊細な少女がひとりの少年と出会って変わっていく、爽やかなラブコメ……だとおもっていたら途中からうっかり彩華さんが間違った方向にふっきれてドロドロの三角関係に一直線。魔性の女みを上げていく彩華さんvs女の嫉妬全開の花鈴さんvs板挟みにされる涼介という、ひどい泥沼が展開されていきました。3Pルートには流石に入らなかった(でももうこれ3Pエンドだろと思ってた)けど、最後の涼介一人称からそこはかとなく漂う未練感がまた、最後まですっきりしなくて大変良かったです。

入学以来入り浸っている大学図書館で、なんとなく気になる存在であった彼女。ある日、彼女の方から声をかけてきて……。
近づいたり離れたり、もどかしい距離感がくすぐったいラブコメ。自意識過剰ではと警戒したり、女子慣れしてない&図書室慣れしてない感丸出しの主人公と、図書館大好きな女性・高坂さんがとてもかわいい。「15センチ」の中でひとつの物語が生まれたことを予感させるお話でした。

数カ月ごとに、実家のケーキ屋で5号(直径15?)のショートケーキをホールで買っていく少女。彼女が有名な走り幅跳びの選手であり、記録更新の度にケーキを買いに来ていると知って……。
幸せそうにケーキを買っていくゆっきーが本当に可愛いし、そんな彼女の姿に魅せられて、家業のケーキ作りを頑張り始める主人公がさらに可愛い。どこまでもケーキの様にふわふわで甘くて可愛いお話でした。

隣の席に座る、かなりミステリアスな美少女。彼女とのやりとりは、いつも何かがズレていて……。
いつも15センチほど目線がズレていたり、何故か自分のことを必要以上に知った風な口を利く美少女・十六夜さんと「僕」のすれ違いまくりの会話劇が楽しかった。「15」という数字にまつわるズレが沢山登場するのだけど、"十五文字分くらいズレている"なんか完全にWeb小説媒体だからこそのお遊びという感じがして好き。テンポよく会話が進み、最後はちょっと良い感じの雰囲気になって終わる、楽しいお話でした。

五軒先に住む幼馴染の少女の専属理容師をしていた俺。いつものようにカットをしていた最中、彼女が出来たことを伝えると……。
幼馴染なふたりの可愛くて甘酸っぱい恋物語。告白されたので流されるようにOKしたけど付き合えば付き合うほど幼馴染のあの娘と比べてしまって……隣にいるのが当たり前すぎて意識したことのなかった相手が、改めて自分の中で大きくなっていく様子が微笑ましかったです。また、付き合うことになった女の子がまたさばさばしてて可愛いんだよなあ。彼女の実際の気持ちは語られないままだけど、こういう流れになって笑顔で送り出してあげられるのほんとイイ女だなと思った。

クラスメイトの女子の写真を、スマホの中に大切に保存していた主人公。本人に見つかり、「盗撮」と疑われてしまって……。
全然下心なんかないよ盗撮じゃないよって弁明してる筈なのに読んでるこっちがくすぐったくなってしまうような直球の告白をしちゃってる主人公と、それを聞いて満更ではなく頬を真っ赤にしながらぷんぷん怒ってる女の子の姿が目に浮かぶような独白×2がとてもかわいい。もうなんかこっちも赤くなりながら「ご馳走様でした!!!!!」っていうしかないんですけど!?本当にかわいい。

商店街の片隅に存在する釣り堀「恵比寿屋」。そこに集まるお互いの事情も本名も知らない常連たちが、ある日、なんとなくお互いの事情を話す流れになって……。
仕事や家族から逃げてきたり、特に理由はないけどそこにいたり、いろんな事情でそこに来ている常連たちのお互いの事を知らないけれど確かにそこに存在した絆があったかくてたのしい。それにしてもラストそのどんでん返しは反則ですよ!!!(好き)

重箱職人をしている実家には、四段目の『与の重』を作った上で土蔵に封印するという奇妙な決まりがあった。土蔵の掃除を申し付けられた主人公が重箱の中を覗いてみると……。
家業を継ぐのを嫌がっていた主人公がご先祖様と出会い、彼女の描いた蒔絵の虜になる。二重の意味で彼の人生をひっくり返してしまうような出会いと、そこから始まる時をかける物語にきゅんとなった。それにしても最後、アイスキャンディの棒だけでは飽き足らずしっかりとハッピーエンドを自力で用意しているご先祖様のちゃっかり感には思わずにんまりしてしまう。

文芸部に所属するキモヲタの前に突然現れたのは、同じ学校に通う現役女子高生声優。彼女の「役作り」に協力することになって舞い上がったのもつかの間……。
オタクが憧れの声優と出会って素顔の彼女に惚れてしまう、素敵なボーイミーツガールだとおもったらめちゃくちゃ現実突き付けてくるしその後の展開がめちゃくちゃ気持ち悪くて最高にズルい。いやでもそこまで完膚無くフられたんだからもう開き直るしかないよな!!!最高にキモヲタみあふれる要望を気持ち悪がりながらもちゃんと受けてくれる先輩、声優の鏡すぎる。

中間試験の勉強中、自室に現れた小さなオジサン。自らを幸運の妖精と呼ぶオジサンを最初は気味悪がっていたけど……。
都市伝説上の存在「小さいオジサン」が現れ、難しいお年頃の父子の絆を取り持つお話。サイズはファンタジーだけど口を開くと普通にオヤジギャグ連発な小さいオジサンに少しずつ心を許していく主人公の女子高生の姿が微笑ましかったです。

アパートの自分の部屋の隣の部屋から、いつも物音がする。正体不明の隣人の正体を、何故か大学の同じゼミの女の子と見張ることに……。
主人公とヒロインのくっつきかたが強引すぎて解せぬという気持ちに凄いんだけど、○○からの圧力じゃ仕方ないな!?個人的にはもう少しこう短編とはいえなにかあと3本くらいはフラグが欲しかった気がします。しかしこの謎ときもすこしふしぎもうっちゃってトップスピードで主人公とヒロインをくっつけて去るスピード感、結構好き。

「彼女は絵本を書きはじめる」 森橋ビンゴ
人気作家として活躍を続ける彼女と同居している主人公。仕事の傍ら、彼女は子供向けの絵本を書き始めて……。
『東雲侑子は短編小説をあいしている』シリーズの後日談。原作読んでないので解らない部分も多かったんだけど、ヒロインから主人公への暖かい気持ちがあふれ出るような絵本の内容にとてもほっこりしました。

「僕とキミらと15センチにまつわる話」 井上堅二
大学入学前のある日、早くも高校の同窓会に誘われた二人。ところが待っていたのはいつもの異端審問会で、お互いの"彼女"との「15センチ」にまつわるエピソードを暴露する羽目に……。
『バカとテストと召喚獣』の後日談。高校を卒業してもあまりにも通常営業な彼らのやりとりと、めちゃくちゃ強引に「15cm」という共通お題を力技で突破していく感じ凄くいつものバカテスでした……。しかし、明久が大学に合格してることよりも、姫路さんとのバカップルぶりがあまりにもリア充すぎてこれはFFF団も15センチを振り回すしかない。ていうかイチャイチャするために同じインカレサークルに入る明久と姫路さんis何……めちゃくちゃ合コン帰りに酒の勢いで一線超えそう(偏見)。

「"文学少女"後日譚 つれない編集者(ミューズ)に捧げるスペシャリテ」 野村美月
作家と編集者という形で再び出会いを果たした心葉と遠子。編集者としての立場から以前のように心葉の物語を『食べる』のを躊躇う遠子に、心葉はとある悪戯を思いつく……。
『文学少女』シリーズの後日談。仕事上の関係をタテに取りなかなか素直になってくれない遠子を振り向かせようと彼女を強引な手口で振り回して「ごはん」責めにしちゃう、大人になったコノハくんのやり口が大変好みでズルいです!!!短編集のシメにふさわしい、甘いデザートのような短編でしたごちそうさまでした。


Lady!? Steady,GO!! Special Edition

 
丸新

『バカテス』の井上堅二が贈る新たなバカ達の狂宴、開幕!僕、静目圭には一つ年上の幼馴染みがいる。僕がセンパイと呼ぶその彼はとても優秀だ。できないことは皆無だと言い切れるほどに。最高の身体能力に、最高の知力に、最高の容姿。超巨大複合企業《SANADA》の次期当主になるべく、幼少時から特殊な環境で教育を受け続けたセンパイ。しかしその彼には、残念ながら常識が皆無だった!そんなセンパイこと真田燐之介と、その教育係として日々奔走する僕の、後継者争い本格参戦への幕が今上がる――!!スペシャルエディションはなんと『バカとテストと召喚獣』書き下ろし短編小冊子付き!

 超巨大複合企業《SANADA》の跡取りは世襲制ではなく、一族の中で優れた者の中から選出されていた。現当主の嫡流・真田燐之介は次期当主候補としての教育を施されて全能といってもいいほどの優れた才能を持ちながら、常識がないために「出来損ない」と呼ばれている。そんな燐之介の教育係を務める静目圭は燐之介の常識はずれな行動に振り回される日々を送っていたが……というお話。

 常識を知らない燐之介と常識に縛られて生きてきた圭がお互いの出来ないところを埋めあっていく姿がとても好きだ…!あらすじだけ読んで「主従モノのBLかな!?」って5回くらい呟いてたんですけど、思ってた以上に圭と燐之介の相棒関係および主従関係がメインのお話でした。バカテスは明久・雄二の行動理由に常に女の子の存在があった分まだなんだかんだでラブコメしてた……。秀吉枠も居るんですけど秀吉みたいなお色気展開は全然なくて、下手するとセンパイの性転換設定って圭とくっつくためのフラグじゃ!?って思ってしまうんですけどその辺どうなんですか怖い。

 基本的には対等な関係なんだけど、真田の他の人間の目があるところでは『主従』としてふるまう二人の関係が個人的に大変おいしいです。圭の「大人が子供を歪めてしまうようなことが大嫌い」って設定どう考えても元凶はセンパイですよね……。『端男』って設定わりと意味深ですよねとか夜の教育(意味深)とかぜんぜん思ってません。

 古き慣習に縛られた財閥一族を舞台にした後継者争いという大人の世界に挑む子供たちの物語で全体的に割と重たい世界観設定があるんだけど、重たさを感じさせないサバサバした空気感と、公衆の場で読めないギャグは健在。ギャグはバカテスよりも下ネタ増えたかな、チンチン電車のやり取りには思わず爆笑してしまった。下ネタもそうだけど、割とバカテスがギャグ時空でごまかしていた部分にがっつり踏み込んでくるので、割とドキっとします。今回は後継者を決める争いに参加する『チーム』を作るための下準備といった感じのお話でスタートラインに立ったところで終わったので、今後どうなっていくのかとても楽しみです。

 しかし、いろんな意味で圭ヒロインだったな……ライバルの親戚に身分上とらわれていて動くことができない圭をどさくさ紛れで奪いに行くお話(曲解)だったもんな……。



 付録の「バカとテストと召喚獣」小冊子は明久達の性別が逆になってしまうお話。冗談で何度か「常に同人誌の定番展開を貪欲に喰らっていくバカテス」「やってないのもう性転換くらいじゃない?」とかいってたんですけどほんとにきたよ……しかも恐らく最後の最後で。

 イラストがほとんど見た目的に変化のないムッツリーニと秀吉だけで正直見た目が大幅に変わったあたりのビジュアルが見たかったような見たくなかったような。姫路さんの見た目に変化ないのが救いなのかもしれないけど翔子×雄二の性転換が本当にただの犯罪で危険が危ない。

 ババア長の実験シリーズやらギャグマンガ時空特有のファンタジー設定等で割と強引に公式と地続きのところで二次創作みたいな展開をやりまくってきたバカテスにしては珍しく定番の同人誌見たいなオチでしたが(何を言っているのかわからないとおもうが俺も)、久しぶりに生き生きとしたバカやってる明久達の姿が見れて楽しかったです。これで終わりなの寂しいので、ネタが浮かんだらでいいからこういう形でもちまちま続けてほしいなんて思ったり。

 個人的には一番最初の明久と雄二のやりとりが大ご褒美なので全力でごちそうさまでした明久の家に雄二が使う用のゲスト用布団が容易されてる設定おいしいですありがとうございました。


バカとテストと召喚獣12

 

ここで勝たなきゃ男じゃない!あわや敗北か!? という劣勢の中、遂に年貢を納――否、開き直った雄二の策により、首の皮一枚繋がって試召戦争の一日目を終えた二年生。依然戦力差が大きく開いたまま突入した二日目だったが、雄二の指揮の下、二年生は勢いを取り戻す。そんな激戦の最中、作戦行動中の明久の前に三年生代表の高城が立ちはだかる。瑞希の悩みとその真意を聞かされ、明久は……!?「なぁ、明久」「なに、雄二」「――面白ぇな、俺たちの学校」バカたちの狂宴、ついに終幕!

 本編完結編。これだけの熱量を持って追いかけ続けた作品は今まででも早々なかったので何か本当に感慨深い。そして期待を裏切らない、最後までバカテスらしいおバカでアツくてちょっとホロリとする、最高のシリーズ完結編でした。

 2年生vs3年生の試験召喚戦争の間に水面下で繰り広げられてきた、明久と高城先輩の姫路さんを巡る鞘当てと、美波の日記帳を巡る一連のハプニング。これまでずっと不穏な動きを見せてきた高城の策謀にまんまとはまってしまう明久。シリーズを通してどんな事があっても決して折れることがなかった明久が打ちのめされ、絶望の中を彷徨う姿は前巻のやさぐれ雄二以上に衝撃だった。

 そして高城先輩のラスボス感が凄い。彼は明久と似たような立場の「バカ」でありながら(まさか観察処分者的な意味でまで立ち位置一緒だとは思わなかったけど(笑))、同時に明久とはどこまでも絶対に相容れない人間として描かれているのが鮮烈でした。同じ「学年1のバカ」でありながら2年生のヒーローとして描かれる明久と、一貫してシリーズ最悪の敵として描かれる高城の対比が面白い。

 自らを犠牲にしても明久に再起の機会を与えた姫路さんと、不信と絶望に囚われた明久をどん底から救い出した美波。どっちのヒロインにも華を持たせる展開で、良かったなあ。挿絵の2人の表情が本当に凄くて。2人とも可愛い、本当に可愛いよ。あと個人的に今回の美波の立ち位置が本当に好きなので……!!!一応3人の恋路に決着はついた感じだけど、なんだかんだで逆転の目がある終わり方なのがさりげなく嬉しい。

 そして何より、悪友よりも一足先に吹っ切れた雄二の立ち位置が本当に好きだ!!再起するかどうかもわからない明久を守る為に多大な犠牲を払い、それでも役に立たないとなれば突き放してそれでもなんだかんだ最後は全部明久においしいところを持っていかせる作戦を立てて待ってる雄二がマジかっこいい!!メインは明久・姫路・美波の恋路の決着でしたが、絶望し倒れそうになる明久を影から支える雄二の活躍が本当にたまらない。11巻の展開は正直色々おもうところがありましたが、そのもやもやを全部吹っ切ってくれるような雄二の活躍ぶりでした。そんな面々に支えられて、なんとか復活した明久のヒーローっぷりがやばい。あと最後の最後で悪友挿絵ありがとうございます!!!

 バカテストから本編の展開まで、過去の巻のエピソードを拾いながらそれと対になるような展開が絶妙にちりばめられていて、これで本当に終わりなんだなとしみじみしながらかつての展開を思い出したり、本当に感無量の1冊でした。バカテストで泣かせてくるのは本当にズルい。

 本編は完結だけど、この後短編集もあるそうなので、あと1冊のお祭騒ぎを楽しみにしていたいとおもいます。個人的に、最後のオチで「一昔前の青春ドラマか!!!」と爆笑したのでその後の彼らの話に期待したいです。あと明久の過去編もうちょっと詳しくやってほしいのとスポットの当たらないキャラの短編=久保君とか期待しちゃっていいんですかね!!!!

 最高に楽しい物語を、ありがとうございました。

……ところで、最後のリンネ君どうみても久保君のご同類にしか見えないんですけどそこんとこ詳しく!!
しかも久保君と違ってたちの悪いやつだこれー!!


バカとテストと召喚獣11

 

キスからはじまる全面戦争? 遂にクライマックス突入! Aクラスとの勝負に水をさされてしまった明久たちFクラス。しかも今度は二年生vs三年生の試召戦争!? 抗議も虚しく結局三年生に挑むことになってしまった二年生は、各クラス代表で会議を行うことに……。しかし「卑怯汚いは敗者の戯言」をモットーに勝ち抜いてきたFクラスへの風当たりは厳しく主導権を得られぬまま試召戦当日に――。「死になさいピッグマン! 」「アキちゃん、お着替えしよ?」まさに勝敗は予測不能!? 遂にクライマックス突入の第11巻!! (公式サイトより)

 完結目前・クライマックス突入の第11巻。いつも通りのバカをやりながら、少しずつでも確実に完結に向かって伏線を回収しているのが感慨深いような、寂しいような。

 2年vs3年という大舞台。学年代表である翔子を筆頭に各クラス代表が采配を振るう中、これまでのFクラスの活躍を面白くなく思う面々の思惑で采配権限を極限までそぎ落とされてしまった雄二。1人で抱え込み鬱屈する雄二の傍に居ながらも必要以上にべたべたする訳ではなく、何も言わずに絶対的な信頼を寄せる明久の姿が印象的でした。雄二がうまく立ち回れて居ない分、普段は容赦なく貶すはずの明久がさりげなく雄二を持ち上げる場面が多かったような気がします。

 そして同時に、雁字搦めに身動きを取れなくなっていよいよ動かなくなった雄二の背中を容赦なく蹴り飛ばして、強引に先に進ませようとするのも明久で。それに応えてこれまで以上に不敵に立ち上がる雄二も、どうしようもなくかっこいいなあちくしょー!!今まで以上に、二人の信頼と相棒関係が輝いていた巻でした。

 しかし、7巻といい今回の11巻といい雄二は割と……見た目に似合わず繊細ていうか……今回の中盤の雄二のヒロイン力の高さについて問い詰めたい。とても問い詰めたい。終盤から立ち直るまでの立ち位置が完全にヒロインじゃないですかー!!!!いや、明久のヒーロー力が高すぎるのかもしれないけど。

 そして、長らく曖昧なまま誤魔化されて来た雄二と翔子の関係に遂に一応の形での決着が。ここまできっぱりと雄二が意思表示をしてきたのはちょっと意外だったけどというか、これつまりかなり初期から気持ち的にはでれてたってことですよね…正直、最後まで意思表示せずに逃げ回っていて欲しい気もするのですが、形に拘りすぎるあまり思うように気持ちを伝えられず、明久達に悟られて悶絶する雄二の姿が微笑ましすぎるので見ているこっちまでニヤニヤしてしまい、本当にごちそうさまでした……っていうか本当に今回の雄二はヒロイン力が高すぎますね!!とてもかっこいい役回りで、9巻以降は雄二視点からの語りも増え、名実ともに本編第二の主人公といっても過言ではないキャラクターになっているのになんなんでしょうかこの雄二のヒロイン力。

 明久側も高城先輩と姫路さんを巡るやりとりを通して、これまでとは少し違った感情が芽生え始めている様子。姫路さんと高城先輩の関係、美波の日記帳の件、そして謎の留学生リンネ君の動向なども含めこちらの伏線はこのまま次巻へ持ち越しといった感じだけど、これらの伏線をどうやって回収するかも楽しみだなあ。

 これまでの関係性が徐々に変わっていくのが感じられて、終わりが近いことを実感させられる巻でした。本当に、本当に好きなシリーズだったので終わってしまうのが今から恐ろしいんだけど、同時に次の巻ではこれまで通りの雄二の采配が見られる事が本当に嬉しい。今回の試召戦争の展開自体はものすごくストレスのたまる展開だったので、どうやって下克上して勝ってくれるのか楽しみ。

 本当に、続きが楽しみです。


 ところで、一部店舗の店舗特典となっているバカテス×ハルヒのコラボ小説が大変良いものでした。ハルヒのストーリーをアニメの方も含めある程度わかっていないと厳しい作品でしたけど、原作アニメの細かいネタまで拾ってキャラクター達が暴れまわるのが本当に楽しい!!あと、長門のキャスティングはそこしかないと思ってましたけど予想以上の完成度の高さに笑いが止まりませんでした。挿絵があっても!!よかったんですけど!!!

 明久と雄二の華麗なる主役継投術にもニヤニヤがとまりませんでしたが、とにかく公式のやってることが薄い本すぎて本当にごちそうさまでした。


バカとテストと召喚獣10.5

 

進路希望調査に記入内容に迷う明久・雄二・ムッツリーニの3人に学園長が提案したのは、召喚者の未来をシミュレートする新たな実験――「間に合ってます」「なんだいその反応!?」(正しい教師とのやりとり)。とはいえ興味をそそられたFクラス面々は早速試してみることに……。『僕と未来と召喚獣』他、明久と雄二を襲った衝撃の人格入れ替わり事件の顛末『僕と雄二と危ない黒魔術』など全4本でお贈りする青春エクスプロージョンショートストーリー第5弾! (ファミ通文庫公式サイトより)

 入れ替わり、人気投票、8年後、兄思いの弟など色々な意味で隙のない短編集5冊目。正直、玉野さんが予想以上にデカかった(まさかの翔子以上)ことが最大の衝撃だった気がします。人気投票がいろんな意味で予想GUYでしたけど確かにそんな話、10巻のあとがきでやってましたね!予想外だよ!!順位はよそうとおりだったよ!!明久泣かせたい。

僕と兄さんと謎の抱き枕
 物語の欄外で色々とアレな目にあっていた久保君の弟・良光が文月学園に学校見学に行くお話。兄の抱き枕の相手(=明久)を知るところから始めようとFクラスに赴いてリサーチをかけていくうちにいつもの面々に振り回されて、彼の中の明久像が捻じ曲がっていくのが楽しすぎました。外部の中学生にも色々と容赦ないFクラスの面々も面白かったけど、良光のクラスメイトだったムッツリーニ妹の陽向が可愛すぎて生きるのが辛い。っていうかまさかの弟妹同士のラブコメ展開が可愛すぎて死んだ。

 これだけ自分がクローズアップされた短編なのに最後しか出番ない久保君の歪みなさ……たった1日で微妙にあの空気の中に染まってる弟の様子を見てどこか暖かく見守ってる久保君の姿がなんだかとてもツボだったのですが、その後の久保兄弟の喧嘩とか色々な意味でみたかったです。そして間違いなく玲と葉月の次くらいに生徒の兄弟では存在感のあるキャラで、これだけ出番あったのにイラストでの出番をムッツ妹にもっていかれる久保君弟マジ久保君の弟…。

僕と雄二と危ない黒魔術
 FBオンラインで先行掲載されて物議をかもしだした略。翔子の所持していた黒魔術の本の不思議な力で明久と雄二が入れ替わってしまって……!?からはじまる珍騒動。明久と雄二が「俺の身体」「僕の身体」いいすぎなのはわざとなんですか玉野さんホイホイすぎて玉野さんと一緒に小躍りするレベル。

 雄二っぽいふてぶてしいいやらしい笑顔の明久とか想像するだけで萌え転がれるんですが、アキちゃんのこととなるとリミッター外れる玉野さんの暴走っぷり凄すぎてもう笑うしかない。そして案外不意討ちに弱い雄二の怯えっぷりが可愛すぎました。

 中身姫路さんな雄二とか、終盤の美波in雄二と玉野in明久の喧嘩の前口上とか普通に挿絵つきで見てみたかったんですが……今回は全体的に挿絵が女子萌えメインでしたよね……。

僕と未来と召喚獣
 今回のババア長枠。どういう形で召喚されるのかとおもったけど、召喚者の未来をシミュレートして、その自分と会話したり出来ると言うシステムでババア長マジ存在がSF。

 大人の余裕を身につけた25歳明久がただのイケメンすぎてもれなく死ねる。挿絵も含めて酷い破壊力だった。25歳ムッツリーニはあれわざと過去の自分を煽ってるようにしか見えないんだけど、あのメールを見た工藤さんの感想が私気になります。あと、秀吉の性別不詳は多分過去にDメール送ると関係ない内容で世界線変動起きても性別が変わるとかそういうレベルなんだと理解。そして25歳雄二がまさかの全○……原作が常に私たちの斜め上を行き過ぎて雄二……

 それにしても、未来の美波&美春の設定が正直おいしすぎてあれだけで番外編出して欲しいレベル。そして久保君マジゆがみない……

私とウサギと仄かな初恋
 姫路さん視点から描かれる、明久と姫路さんの小学校時代の初恋話。明久が普通に隙のないクラスの人気者でビビる。周囲に気配り出来てスポーツ万能で愛嬌あって顔も悪くなくて女の子にモテモテだがいい感じに男子の恨みも買ってないとかなんですかどういうことなんですか。高校生時代よりも小学生時代のほうが間違いなく頭よさそうに見えるんですが彼になにがあったんでしょうか。

 病弱だった事もあり引っ込み思案で後ろ向きな姫路さんが明るくて前向きな明久の行動がきっかけで少しずつ良いほうに変わっていく過程はとても可愛くて好きなんだけど、やや明久側の行動に含みを持たせた流れになってるのがとても気になる。この流れで明久が「姫路さんの初恋は僕じゃない」って誤解するのには間違いなくもう1クッションあるはずだし、今回の物語でも姫路さん側からでは見えてない不鮮明な部分(神田さんとか神田さんとか神田さんとか)があって、そこが凄く気になりました。もう1冊短編が出るフラグなのか、それとも本編最終エピソードで語られるべき物語なのか。『ウチと日本と知らない言葉』に対する『俺と喧嘩と不思議なバカども』のような、明久サイドから語られる小学生時代の物語があるんじゃないかなあと……原作の残り話数が少なくなってきていることもあり、そういうのを期待してしまう。

 それにしても、小学生明久の挿絵が普通に可愛くてもう私は!!!姫路さんは容姿がコンプレックスになるくらいだからもうちょっとふくよかでもよかったとおもうのですが。普通に可愛いので「太ってる」が自分の思い込みなのかそれともガチで肥満体型だったのを葉賀フィルターで軽減させられているのか判断がつかないのでちょっと悩む。

 今回も文句なしの面白さだったんだけど、あとがきで「次が本編最終エピソード」と語られているのが、10巻のあとがきでも告知されていたことだけど予想以上に寂しくて。とはいえ本編最終エピソードの後に短編が出る可能性だって本編が分冊される可能性だってまだ微粒子レベルで存在する……!!


バカとテストと召喚獣10

 

総員、再びペンを執れ! 白熱のAクラスリベンジ!!
ついにAクラスとの再戦を迎えた明久たちFクラス。 雪辱を果たすため、そしてA教室の大画面で秘蔵DVDを観るため(一部関係者談)気力充分な彼らだったが、 前回苦戦を強いられたAクラスも今回は序盤から全力全開!  試召戦争は午前中から早くもクライマックス状態に。 そんな中、突然三年生の首席がFクラスを訪れ謎の言葉を残していく……。 『美形は帰れ!』(動物園の皆さん)果たして二年最強クラスの座はどちらの手に!? 風雲急を告げる第10巻!!

 いよいよクライマックス目前の本編第10巻、2年頂上・Aクラスとのリベンジバトル戦。

 雄二の発破の言葉とか明久とのやりとりとか、第1巻を思わせるやりとりが随所に見受けられていちいち懐かしいのですが、同時に彼らの半年間の成長を伺わせるエピソードが随所に挿入されて感慨深い。初期から読んで行くと明久の点数が着々と上昇しているのが見て取れてこちらも凄い感慨深い。得意科目として定着しつつある歴史科目の上昇も勿論ですが、さりげなく数学の点数も上がってたよね?

 そして、男子萌えとしては明久と初期ラスボス予定だったあの人(笑)の直接対決には胸が熱くならないわけがない。翔子を討ち取る戦法が限られる以上、今回の実質的なラスボスだったよね久保君……お目にかかれないだろうと思っていた腕輪能力もしっかり発揮してくれて、こんなにかっこいい久保君が原作で見られる日が来るなんて夢にも思わなかったです。原作でもアニメでもすっかり残念なイケメンが定着してきたとおもったらコレだよ。そしてその久保への色仕掛け作戦が通じないことまで踏まえて、それでも迷わず明久をぶつける雄二は明久のことどんだけ信頼してるんですか萌える。

そしてなによりP223の破壊力!!!!!

 密かにずっと直接的な絡みが見たいみたいみたいみたいと思っていた雄二・久保両名の絡みが実現しただけでも嬉しいのにこいつらがなんだかんだでかっこよすぎるから困る。いや今回本当に久保君がかっこよすぎるんだけど!!ありがとう美少女、ありがとう美少女、本当にありが……DVDの特典のアレといい急に久保君の扱いが上昇しすぎなんですけど美少女になにがあったんでしょうか(真顔)

 あと今回は秀吉の活躍にニヤニヤです!!7巻くらいから着実に(内面での)男子らしさを増して行ってる秀吉ですけど、今回の活躍にはニヤニヤせざるをえなかった。ニヤニヤした。秀吉は早く明久を嫁に貰えばいいと思います。

 それにしても、後書きによると本編はラスト・エピソードを残すのみのこと。最後の展開には少し消化不良的なものを感じたのですが、それ以上に次巻で来るだろう対決を楽しみにせざるをえない。他クラスの出番も増量しそうで、凄い楽しみ。ていうか、最後のエピソードはじっくりページをかけてやってほしいなあ。Aクラス戦は凄い良かったけど、ページ数少なめだったのがちょっとだけ残念だったので。

 姫路さんのなんとかフラグとか6巻から名前だけは出てきたあのひとがいよいよ登場とかなんか微妙に裏がありそうなリンネ君とか、10巻ラストとか10巻ラストとか10巻ラストとか一体どうなるんでしょうかね!?

 姫路さんの事を話す高城先輩にさりげなくヤキモチ焼く明久にニヤニヤが止まらないわけですが、リンネの活躍によりまだまだどうなるのか解らない明久・姫路・島田3名の恋愛フラグとかも気になりますがとりあえず10巻ラストが挿絵つきで本当にご馳走様でした10巻は一言で感想をまとめると明久総受けってことでいいんじゃないかとおもいました。


バカとテストと召喚獣9.5

 

7月からTVアニメ第2期放送開始! 待望の最新刊はショートストーリー集第4弾!! 召喚実験リターン! 今度は二人で一体の召喚獣を喚び出だすことに。 召喚者の特性を受け継いだ召喚獣は、まるで二人の子供のようで――って、また惨劇が繰り返されるのか!? 「僕と子供と召喚獣」、明久と瑞希のドキドキ同居生活を赤裸々に綴る……なんてことになるわけない? 「僕と姫路さんとある日の昼下がり」、高校1年生の春、すべてはこの出会いからはじまった! ――「俺と喧嘩と不思議なバカども」他1本の全4本で贈る、青春エクスプロージョンショートストーリー集第4弾!

「だからそうじゃなくて、子供なんだよ。——アンタら二人の、ね」
そういって、僕と雄二を順番に指差す学園長。僕ら二人の子供って——
「「はぁああああっ!?」」

どうしようもなく公式が最大手だった(雄二×明久の)。子供ネタとか、二次創作ホモ同人の王道ネタを公式が平然とやってのけるそこにシビれるアコがれるぅ!!!!!ババァ長の発言がナチュラルすぎてなにもかもおかしい。

そういえばカラーページでギャグ顔じゃない久保君が出たの初めてじゃないですか…。


「僕と子供と召喚獣」
立ち読みからするとどう考えても公式が雄明最大手すぎて一部バカテス好きの腐のみなさんに衝撃を与えた問題作。7.5巻の「ホンネ」に続く、学園長の迷惑実験シリーズその2。

ヒロインズが明久を巡ってドタバタしたり、翔子が雄二を振り回したり、愛子がムッツリーニを翻弄したり……ないつもの組み合わせも面白かったけど、今回は予想外の組み合わせが面白かったなあ。高橋先生と鉄人のやりとりにニヤニヤが止まらなかった。あと明久との結婚は否定しないのに「嫁」が明久だと強硬に主張する秀吉萌える。そして出番はあるけどやっぱり美味しい場面には居合わせられない残念な久保君ェ……


「僕と姫路さんとある日の昼下がり」
姫路さんが明久と同棲していたときの、吉井家の休日のお話。

必死に姫路さんに料理させまいとする明久がほほ笑ましい。そして同じくさりげなくデートしている雄二&翔子コンビとの邂逅にニヤニヤが止まらないんですがそんなことよりも

「ヅラと眼鏡で変装してゲーム屋でバイトした明久」
       と
「姫路さんが以前ゲーム屋で見かけた、店員の綺麗なお姉さん」。

この奇妙な一致が大変に気になります……。明久がバイトした話を詳しく。詳  し  く  。

全体的に明久と姫路さんらしい、大変微笑ましいラブコメだったのですが正直姫路さんがスネる部分だけはしっくりこなかったかなあ……それを当然として求めるのは流石にちょっと、アレな気が…。


「僕と土屋家と揺れない心」
ムッツリーニの家で雄二と明久が対決するお話。DVDのキャラクターコメンタリー「バカ物語」を思い出すノリだ……

雄二と明久、どっちが冷静か……といういつものやりとりからはじまって、気がついたら「どんな突っ込みどころ満載のことがあっても突っ込んじゃダメ」対決になってるのがいろいろおかしい。そして二人を動揺させようとするムッツリーニ達が本気すぎる!いつのまにかクラスメイト達まで協力して、予想をはるか越えるしっちゃかめっちゃかぶりになってるのに、もう笑いが止まらない。須川君のキメ顔はぜひともアニメで見たい……ww

個人的にはムッツリーニのご家庭をもうちょっと見てみたかったなあ。というかてっきり似たもの家族なのだとばかり思っていたらスポーツ一家の中でムッツリーニだけ突然変異(「保健体育一家」といえば違和感無いけど)だと……!?リアル妹持ちとか、いろいろな意味でムッツの普段の家庭での生活が気になって仕方ありません。何気に弟煩悩っぽいお兄ちゃんとのやりとりに萌えた。

それにしても、久保君マジ哀れ……


「俺と喧嘩と不思議なバカども」
雄二視点から語られる、7.5巻「ウチと日本と知らない言葉」の裏で繰り広げられていた男子4人が仲良くなった時のお話。

7.5巻を読んだときからこいつら2週間の間に何があったんだと思ってこの話を読みたくて仕方無かったんですが、予想の直上8000m上空を突き抜けていく素敵な青春話でした。すれ違って殴り合いの喧嘩していつのまにやら一つの事に夢中になって、夕陽の中で自転車二人乗りしながら喧嘩しながら仲直りとかもう何もかもがやばい。明久はあの短期間の間に美波と雄二、二人の心を開いたんだなあと思うと胸が熱くなる。

メインは明久と雄二の友情話でしたが、どんなに理不尽でも穿った見方はしない鉄人の厳しくも優しい目線がとても良かった。あとかっこいい秀吉が見れたのが!!まだそこまで仲良い訳でもなく、色々アレな噂が付きまとう雄二が本気で喧嘩してる場面にも平気で踏み込んでいく度胸の据わりっぷりがかっこよすぎました。

次巻はいよいよAクラスとのリベンジ戦……完結告知はなかったのでもうちょっと続くのかな?続くといいな。前巻でいろいろ立てられてたフラグとか裏で暗躍する3年組がどうなるかも気になるし、本当に続きが楽しみです。


バカとテストと召喚獣9

 

知略謀略なんのその! このチームは最強だ!? 墓穴と姦計が入り乱れた対Cクラス試召戦争。Fクラスは、なんとか初日をタイムアップで切り抜け、勝負を二日目に持ち越すことに成功した。しかし、たたでさえ低い点数をさらに減らしてしまった彼らは、いきなりピンチ状態からのスタートに!しかも、明久は風邪で不在……。 どうなるCクラス戦!? この劣勢を覆すことができるヒーローはいないのか!? 「それで、話ってなんだい吉井君?」(by知的眼鏡先生)勝利を信じる心と絆が奇跡を呼ぶ第9巻!!

2 1 2 P で 死 ん だ (挨拶)

いつも通りバカやりつつも、さりげなくしっかりと人間関係のまとめに入りつつあるなあ……というのをひしひしと実感しつつ、8巻の続き、丸々1冊試召戦争なシリーズ本編第9巻。

8巻がバカやりつつも結構恋愛面押しな部分を感じたのでどうなるのかなあ……と思っていたのですが、今回は風邪で戦線一時離脱した明久と召喚戦争の渦中に居る雄二の二人の視点から、いつもとはちょっと違った取り合わせで描かれるキャラクター達の様子が新鮮でした。二人が離れているからこそちょくちょく覗かせる、お互いへの信頼やお互いの不在に対する反応が美味しい。

Fクラス(雄二サイド)では明久の代わりに雄二の補佐役ポジションに納まった秀吉と雄二のやりとりやら、姫路さんの本気にニヤニヤが止まりませんでした。秀吉と雄二の絡みはずっと見てみたかったので超私得。さりげなく雄二にライバル宣言(違います)をかます姫路さんにもニヤニヤします。

一方、Aクラス(明久サイド)では明久を餌付けしようとするAクラスの面々がマジ可愛すぎる。ボロがでそうな優子さんもかわいいし、柄にもなく取り乱す工藤さんも可愛すぎるし、何より久保君の「普段の姿」が見れたのもポイント高かったです。っていうか、本当に彼は明久さえ絡まなければスペック超高なイケメンだったんだね……(ほろり)

そしてクライマックス。姫路さんが明久の為自らの限界を超えて必死で努力する姿と、そんな彼女の努力を『無』にしないため、自らを顧みずに彼女の元へと奔走する明久の姿が熱い。本気を出した明久を見て迷わず全てを委ねた雄二はどれだけ明久の事を信頼してるというのか。艱難辛苦を乗り越えてようやく合流した二人の一瞬の邂逅の破壊力やばい。ほんとやばい。212Pの雄二と明久がホントやばい(大事なことなので何度でも言います)

明久&雄二に久保&明久に秀吉&雄二に謎の新キャラ(天然系子悪魔ショタ)と、本当に私得すぎてご馳走様でした。ややブレーキ壊れた感を受けた女装ネタやらヒロインズの「お仕置き」やら変態行動がほぼなかったのも正直ちょっと嬉しい。本当に今回は色々な意味でヤバかったなぁ…!!!

そして、今回の終盤でなんとなく物語の終着地点が見えてきた感。Aクラスとの試験召喚戦争決着に、姫路さんの●●フラグ、そして影で暗躍する高城なる3年生。当初の予定だと確か本編全10冊と聞いてたけど本当に本編あと1冊で片付くのかなあ、どうせならあと2?3冊続くといいなあとか色々思いつつもどんどんクライマックスに向けて疾走するこのシリーズにどのようなゴールが待っているのか。本当に楽しみです。

で、まあそれはそれとして次巻は短編集なわけですが
1年次の明久雄二の出会い話やるとかどんだけ俺得やばいマジ楽しみほんと楽しみ


バカとテストと召喚獣8

 

ドキドキ一つ屋根の下? 姫路さん、がんばります!玲の提案で瑞希が吉井家で暮らすことに。今まさに明久の眼前に広がるのは魅惑の同棲生活!? だがしかし! それは同時に異端者の終わりなき逃避行の始まりでもあり……「おい明久! お前――」もう万事休す!? と、明久の生命が危機に晒される中、再び幕を開けた試召戦争がFクラスを未曾有の大混乱へと突き落とす! 昨日の友は今日の敵、あれ? あなたはどちら様?? 「ズボンだけは残しておいて下さい!」(by明子ちゃん)波乱の予感が吹き荒れる第8巻!!

「ま、こうなったからには仕方がないか……。雄二、今だけは協力してあげるよ」
「ぬかせ。王様(キング)に協力するのは歩兵(ポーン)の義務だろうが」


ずっと悪友のターン!!!!!!!!!!!!

姫路さんと明久のドキドキ同棲生活……とか思っていたらどうしてこうなった……どうしてこうなった!!同棲の話を隠そうとしているうちに噂が噂を、誤解が誤解を呼び……更に試召戦争と同性愛疑惑と足の引っ張り合いの結果めでたく手と手を堅い手錠で結ばれた僕らの悪友コンビがFクラス(異端審問会)+αを相手にガチバトルを繰り広げるという……なんだこれ!なんだこれ!!どうしてこうなった!!

もちろん姫路さんと明久の甘酸っぱく初々しい同棲生活もやばいのですが、一緒に逃げる羽目になった雄二と明久が奏でる不協和音と、そんな二人の目的が一致した瞬間に発揮されるうってかわった以心伝心具合。そしてナチュラルストレートなツーカー具合がやばすぎました。2巻・6巻・7巻のような王道燃え展開でなかったですが、良い意味で二人の「悪友」ぶりが強調された話ではなかったかなあと。もうわたくし、玉野さんと優子さんといっしょに二人の仲をいつまでも見守りたい所存であります。

それ以外では久しぶりの暴力っぷりを存分に発揮する美波の大活躍にもニヤニヤしましたが、今回誰よりも凄かったのがサブキャラ昇格の玉野さん……淑女ヒロインの姫路さんを軽々と飛び越える淑女という名の変態ぶりに噴き出しました。優子さんとはまた別の、オープンポジションな腐女子キャラではないかという予想は以前からあったのですが、ここまでオープンに淑女っぷりを発揮されると……なんていうか……すごいな……。

久しぶりに最初から最後までバカばっかりな展開だったせいもあり、最後の姫路さんと玲のやりとりがたまらなかったです。自らの身を顧みずに暴走してしまう明久を心配する姫路さんと、同じように心配に思いながらも明久のまっすぐな所を尊重してあげようとする玲の「姉」としての想いに胸が熱くなりました。

ひとつ積極的になった姫路さんの行動が、次巻以降また波乱を呼びそうな予感。いつぞやのインタビューで提示された「本編10巻で一区切り」説を信じるなら物語もそろそろ終盤だと思われるので、明久を巡る恋の鞘当てもそろそろ決着してしまうのか?(バカテスだったらどっちつかずな終り方でも美味しい気がしますが…)
さりげなく裏で暗躍する3年生の姿も気になるところ。次巻が本当に楽しみです。


バカとテストと召喚獣7.5

 

些細な切っ掛けから始まったゲームが小悪魔ふたりに蹂躙されて!? 『僕とダウトと男の尊厳』。学園長からのオイシイ話=惨劇フラグ! 『僕とホンネと召喚獣』。吉井家の食卓に地獄の門が口を開く! 『僕と福引きと闇の鍋』。高校1年生の春、ドイツから帰国したばかりで戸惑う美波だったが──『ウチと日本と知らない言葉』の4本で贈る青春エクスプロージョンショートストーリー集第3弾! 「ボクが人工呼吸、してあげるから☆」(by肉食系女子)(公式サイトより)

表紙とカラーページやべえええええええええ!!!!!!
長年の念願だった完璧女装なアキちゃん表紙も当然素晴らしいのですが、その後のカラーページでしっかり素の明久が女子制服を着ているという普段の女装モードを披露し、更に女子生徒達の男装イラストまでお披露目……といろいろな意味で葉賀さんグッジョブすぎる。特に工藤愛子の男装がかっこよすぎるんですが……雄二ですら今までやってなかったブレザー着崩しふおおおおおおお!!!!!!

あと次の短編集の表紙は香美ちゃんですよねわかります。葉賀さんのオマケページやばい。


「僕とダウトと男の尊厳」

結論:姫路さん総攻。
FBオンラインに連載された、明久・雄二・ムッツリーニ・秀吉の4人が掛けダウトをしていたら女子二人が乱入して……というお話。アニメ1話の姫路さんを新鮮な気持ちで見て、その後この短篇を読むと「姫路さん……変わっちまったな…」と思う事請け合いです。いくら酒のせいといえども明らかに何か間違ってる!!

とりあえず姫路さんが素晴らしい勢いで変態と言う名の淑女なのですが、日記を確認したらこの短篇の前半を始めて読んだ時の自分の感想も物凄く淑女でした…姫路さんに負けない淑女でした……

(以下当時の感想を保護色でそのまま)
とりあえず、明久はトランクス一枚まで脱がされた後1枚1枚メイド服のパーツを着せられるんだと予想して、羞恥に頬を染めながら往生際悪く黒スト片方だけ穿こうとしてストッキングが伝線し、着替えのお手伝いをしようとした姫路さんが太もも触ってきて「男の子なのにこんなにすべすべだなんて…」とか言い出して更に羞恥で頬を真っ赤に染めたらいいと思います長いですねそうですね。脱がされるのもエロいけど、着せられるのも……なんかえろい……(引用終わり)

ところで何故姫路さんが明久に着せようとしていた服がメイド服→女子制服に変わったのでしょう。
気になって仕方がありません。


「僕とホンネと召喚獣」

いつもの面々が学園長の頼みで召喚システムの試験運転を手伝ったら、現れた召喚獣がなぜか自分たちの本音をダダモレさせはじめて……というお話。

召喚獣を出すと本音が聞ける→あの人の本音が聞ける!!!といきり立ったいつもの面々があの手この手で召喚獣を召喚させ、無理やり本音を聞きだそうとする姿がシュールすぎる。強引に「サモン」と発音させて召喚獣を呼び出させる姿も滑稽なのですが、E組の中林さん&久保君の自然におかしいやりとりに噴出してしまった……久保君の歪みなさはアニメも原作もはんぱねえ。

というわけで、当然女子達の興味は意中のアノヒト達の本音へと向かうわけですが……良くも悪くもお互いしか見えてない雄二明久コンビが素敵過ぎる。女子達の質問もなんのそので召喚主召喚獣でダブル喧嘩を始める様には激しく燃え……もとい笑った。さりげなくビンビンにフラグ立ってきた工藤愛子&ムッツリーニのやりとりも見逃せません。

それにしても、意外に硬派に見せかけて年頃の男の子らしい反応を返す雄二召喚獣の反応にイチイチわたわたする雄二が可愛すぎます。あと明久の性感帯は首&耳で確定でよろしいのか(帰れ)


「僕と福引と闇の鍋」

福引で海の幸セットを手に入れた吉井姉弟が偶然姫路さんと出会ったことから、玲&姫路の最凶料理人の凶演に恐れをなした明久がいつものメンツを巻き込み、気がつけば闇鍋対決に……というお話。後書きでも言われてましたが大体タイトル通りの内容。

姫路さんが入れた具による食中毒を回避しようとお互いを牽制しあう男子達。中でも吉井家の台所を管理し家計事情を知り尽くした明久と元神童の天才策士・雄二の頂上対決………になるかと見せかけて二人の底の浅い知略など天然でぶち壊して斜め上をひた走る姫路さんが最高すぎる。良い悪友対決でした、ご馳走様でした。

そしてラストで次巻への伏線が……!!最近着々と明久とのフラグを立てつつあるポニテペッタンコをここで逆転させることが出来るのか姫路さん!!正直、姫路派として次巻が楽しみで仕方がありませんっ!!!


「ウチと日本と知らない言葉」

ドイツから帰国したばかりで日本語もろくに通じない状態の美波が文月学園に入学し、明久達と仲良くなるまでを描く過去編。文字も言葉も通じず、クラス内で一人孤立し、苛立つ美波。そんな彼女の前にはしきりに謎の言葉をかけてくる一人のクラスメイトの少年が……というお話。

何故帰国子女である美波が自らのことを『ウチ』と称すのか。日本語会話は喋れるのに文字の読み書きが壊滅的な理由。そもそも何故美波は明久に惚れているのか……。本編では長らく語られてこなかったこの理由と、明久が必死に美波に伝えようとした「謎の言葉」の意味が繋がった瞬間、胸が熱くなった。ちょっと的外れだけどいつでも誰かのために一生懸命な明久の暖かさが、言葉が通じないことで周囲に壁を作りかけていた美波の心を溶かしたんだなあと思うと。こりゃあ美波も明久にホレて当然だわ、明久いい男すぎる。

そして美波視点から雄二明久コンビの「出会い」が語られるのもポイント高いです。というかお互いを「吉井」「坂本君」呼びの雄二と明久に激しく萌えた!!!2年生時のじゃれ合うようなやりとりとは一味違う出会ったばかりの明久&雄二コンビと、そこから数週間でいつのまにやらすっかり仲良くなっている明久&雄二コンビに激しく萌えました。

っていうかこの二人、明らかに1年の序盤で何かありましたよねえっ!!
出会いの場面では心底明久のことをバカにしてる感じだった雄二にそんな眼差しをさせるような、どんな変化があったというんですかっ!!!!!雨降って地固まるみたいな事件があったとしか思えないんですけどなんだこれっ!!自己紹介の時にセーラー服着てたのは姉さんのものか?これはもう、やばい1年次気になりすぎる……!!!

美波の話のはずなのに明久と雄二の方に気をとられまくりですいませんごめんなさいっ!!