「マンガ家シリーズ」最終巻。漫画家仲間の律から「東海林に負担をかけすぎ」と指摘されて以来、自立しようと頑張る二木だったが思いは空回りするばかり。挙句、東海林に怪我をさせてしまって落ち込む彼の前に高校時代に世話を焼いてくれていた先輩があらわれて……というお話。
この人たち、お互いがいないと本当に何もできないんだなあ…!!二木の人間としての破綻ぶりも前巻以上でしたが、二木を失った東海林が予想以上に何も出来ない人すぎてふきだす。普段のしっかり者ぶりのイメージが強いだけに終盤の破綻ぶりには吹くしかない。
高校時代に二木の世話を何かと焼いていた先輩・甘利との三角関係(?)が中心なんだけどまさかああいう展開になるとは思ってませんでした……予想以上に重い展開に愕然としたけどオチを聞いてある意味納得というか、「嫌な奴」というイメージしかなかった甘利のイメージが一気に「かわいそうな残念な人」に変更された瞬間でした。先輩頑張れ超頑張れでも悪い事いわないから二木は諦めろ。
「マンガ家」シリーズ主人公総出演で、それぞれのスタンスを語ってくれたのも面白かったです。第二作だけ後回しにしてこれ先に読んじゃったんだけど、これは全部読んでから手を出すべきだったなあ。
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きみがいなけりゃ息もできない
「マンガ家シリーズ」第一作。色々な意味で人間として破綻している売れないマンガ家・仁木と、どうしてもそんな仁木の世話を焼いてしまう幼なじみの腐れ縁・東海林のお話。
タイトルの通り「君が居ないと息も出来ない」人間として最低限の行動すら東海林に依存しきっている仁木の破綻っぷりがどこまでも突き抜けているんだけど、実際東海林の歪んだ独占欲を内包した構いたがりっぷりも相当だと思った。これは受けが仁木だからこそ成立する話というか、仁木が普通に最低限の生活が出来る人間だったら一周回って東海林が破綻してた予感しかしない。なんか監禁とかしはじめてもおかしくない。
漫画家としてのブレイクを切っ掛けに仁木と距離を取る東海林が、どうみても仁木に未練たらったらなんですが、仁木の方は漫画家生命にも関わる大きなトラブルに巻き込まれて。ある意味自分の中に引きこもるタイプの仁木らしい立ち向かいかたがあまりにもカッコイイんですが一方で物凄くやせ我慢してるのが伝わってきて。その後の展開も含め、静かに熱い展開がとてもよかったです。なんか「元の木阿弥(むしろ悪化)」という言葉が脳裏をよぎるけど気のせいだ!!
綻びかけた二人の仲を強引に再度結びつけた仁木の大ファンで東海林のお得意先の娘・茜の行動力が男前すぎて惚れる。実は性的な意味でも色々いっぱいいっぱいだった東海林が彼女の前でのみ時折漏らすド本音にニヤニヤが止まりませんでした。この二人はなんだかんだいってその後も良い友人になってそうだ。
なお、新装版書き下ろしの「きみがいたんじゃ転居できない」は東海林と仁木の大学生時代の再会エピソード。生来の構いたがり体質に負けてなるものかと仁木に対して必死にツンツンする東海林が面白すぎてたまらないのですが、かませ犬ポジションの高島が残念な紳士すぎて盛大にふいた。