序盤(というかファミ通文庫版1巻分)では最初に引いた眷属一人でほぼ無双出来てしまっていてぱっと読み俺TUEE感すらあるんだけど、なろう版では読み進めるごとに「課金前提ゲーなのに課金できない」「なかなか石が溜まらない」「ピックアップが一切ない」「主人公の引きが明らかに悪い」がジワジワと効いてくる。ガチャが引けない、戦力がなかなか強化できない、協力ゲーなのに主人公がソロ思考、死にプレイが出来ないという難点を最初に引いた眷属と気持ち悪いくらいのゲーム知識でなんとか補う感じ。そういう意味で、主人公が攻略動画投稿やブログをやってた設定は先に出した方が解りやすかった気がする。
青葉以外の人間をNPCとして雑に扱う主人公の性格にもんやりすることもあったけど、その分青葉の意を上手くくみ取れずに戸惑う姿が面白かったし、なんだかんだでこの世界が「現実」であることをどこかで受け入れられなかった姿が印象的でした。コミュ能力が低く最初の引きはそこそこだったがガチャ運が悪くゲーム知識だけは豊富なブロガーとコミュ能力が高くガチャ運あるが最初の引きとゲーム知識のない青葉という対比が面白かったです。
ゲーム知識で俺つえーしたいのではなく、あくまで「ガチャを回したい」「もう一度このゲームを楽しみたい」という方向にオチが付くのも良かったなあ。
文庫5〜6巻分くらいの分量で綺麗にまとまってたのでファミ通文庫は頑張って最後まで書籍化してほし………かったんですが…。良くも悪くも「面白くなる前の部分しか書籍化できなかった」という印象なのがかなしい。
▼書籍版の感想
気がつくと僕は、ランダムで召喚される『眷族』を使って冒険するソーシャル...
【Web版】アビス・コーリング〜元廃課金ゲーマーが最低最悪のソシャゲ異世界に召喚されたら〜
作者: 槻影――君はその闇に立ち向かえるか!?
気がつくと僕は、ランダムで召喚される『眷族』を使って冒険するソーシャル・ゲーム『アビス・コーリング』に酷似した世界にいた。
まことしやかにささやかれる運営による確率操作、搭載された類稀な物欲センサーに課金必須のゲームバランス! 開き直って自ら奈落(アビス)を名乗る豪胆さ! 最強の集金システムと呼ばれ、数百万のユーザー達をどん底に叩き落とした末、法整備によりサービス終了した最低最悪のゲームに似た世界で、僕はかつてプレイヤーだった頃にやり残した事を成し遂げるため、再び召喚士(コーラー)として立ち上がった。
これは――闇に挑む勇敢なる召喚士達の物語。アビス・コーリング 元廃課金ゲーマーが最低最悪のソシャゲ異世界に召喚されたら|今日もだらだら、読書日記。[著]槻影 [絵]桜木 蓮
▼amazon
アビス・コーリング 元廃課金ゲーマーが最低最悪のソシャゲ異世界に召喚されたら (ファミ通文庫)|Amazon槻影,桜木 蓮 (著)
KADOKAWA
発行:2017-12-29
2018年に読んだ面白かったライトノベル6選
ここ数年、「好きラノ」への投票でお茶を濁してしまいがちなのですが、今年は割と今年発売でない既存作を後から追いかけるパターンが多かったので、「今年面白かったラノベ」を別にまとめることにしました。
なろう系の人気やコミカライズがWebで読めるレーベルが増えた関係上、発売日に関係なく面白かった作品を後から追いかけることがしやすくなったような気がします。今年は特に割と「なろう」から遡るパターンや、なろうで最初から最後まで読んだので感想を載せてない作品が多くあったので、いろんな「変化」を実感した一年だった気がします。
タイプの違うふたりの「将」の活躍が、最高に燃える。
師走トオル「ファイフステル・サーガ」未来の自身の「死因」から原因を辿り、状況の打開を図っていく展開が面白い。主人公である傭兵団団長・カレルと裏の主人公的存在である昼行灯を装う王子ヴェッセル、カレルとの初々しい夫婦ぶりをみせるセシリア、傭兵団の個性豊かな仲間たちなど魅力的なキャラクター達が所狭しと駆け巡るの所も楽しいシリーズです。
特にコルネリウス隊長は絶対女子受け良いと思うので注目しててほしい。
もどかしかわいいバカップル!!あったか疑似家族!!ごつい老年執事。
手島史詞「魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?」不器用な魔王(候補)の男が奴隷エルフに一目惚れ。勢いで全財産出してお持ち帰りしてしまったけどどう接したらよいかわからない!というもどかしさ満点のファンタジー系ラブコメ。家族の愛に恵まれなかった彼らが「家族」として温かい関係を築いていくのが楽しく、それと同時に少しずつ明かされていく『魔王』の謎とそれに立ち向かう姿が熱い。あとコワモテ老年執事が最高に萌えるのでそっちの属性いける全人類読んで。
今一番ノリにノってる気がする(私の中で)学園ファンタジー。
羊太郎「ロクでなし魔術講師と禁忌教典」物語も折り返し地点に入ってから毎回本当に面白い。一昨年以前から追いかけてるシリーズだとぶっちぎりで面白かったのがやっぱりロクアカだなあと。総力戦の前半クライマックスだった10巻の盛り上がりも最高でしたが、やはり個人的に推したいのはイヴ=イグナイトが学園にやってくる11巻。アルベルトと対決する13巻は期待値が高すぎてまだ読めてません!!好きラノまでには読みます。
鮮度の高いキレッキレの「オタク楽しい」ラブコメ!!
瀧ことは「腐男子先生!!!!!」同人作家のヒロインとそんな彼女の事を「神」と崇める担任の先生(腐男子)のやりとりとわかるとニンマリできるオタクネタがめちゃくちゃ楽しいシリーズ。2巻が出ましたやったーー!!!散りばめられたオタクネタのリアルタイム感がまさにWeb小説原作という感じの楽しさで、元ネタを知らなくても全然楽しめますが鮮度高いうちに読むとまた一つ違った楽しみがあるので気になる人は今のうちに是非!!と推していきたいです。なろう版で展開している後日談シナリオも楽しみにしてます。
課金ガチャゲーなのに課金できないとかマジつらい。
槻影「アビス・コーリング〜元廃課金ゲーマーが最低最悪のソシャゲ異世界に召喚されたら〜」1巻が微妙なところで終わっていた上に2巻が出なかった書籍化ラノベ。この話、後半になるにつれどんどん「課金ゲーなのに満足な課金が出来ない」というジレンマが溜まってくるのがどうしようもなくソシャゲやってるとわかるわかるすぎたし、死んだソシャゲを再び遊べる喜びと、異世界に来てしまった事への蝋梅が感じ取れるようになってくるのが面白かったのでこれほんと、最後まで書籍化してほしかったなあ……。
男と男の歪みまくった殺し愛が凄い(腐女子なみの感想)。
月夜涙「回復術士のやり直し〜即死魔法とスキルコピーの超越ヒール〜」なろう版で7章くらいまで読んでるんですけど(書籍版は5巻まで)、《砲》の勇者との殺し合いを突き詰めた先に生まれたお互いへの「強敵」としての信頼感と、一度記憶をリセットしてるはずなのにケアルに運命感じちゃってる《砲》の狂気が私は大変に好みなのですが正直腐方面にプレゼンするにはマニアックだと思うし本編はハーレム復讐物なので聞き流して欲しい。あとたぶん書籍版だとそこまで行ってない。自分の狂気を「復讐」という大義名分で正当化していく、読んでると正気が歪む感じの展開が好き。
アビス・コーリング 元廃課金ゲーマーが最低最悪のソシャゲ異世界に召喚されたら
最強の集金システムと言われ、法整備により潰された廃課金ゲー「アビス・コーリング」。そのゲームと酷似した異世界に転移してしまった主人公が、廃課金プレイヤーとしての豊富なゲーム知識と初回1回無料ガチャで引き当てた眷属の力でコツコツ石を集めつつ降りかかった火の粉を払っていくお話。
なろう原作(多分2巻分ぐらいまで)既読。「リセマラ」「ログインボーナス」「初回任務で石獲得」などのソシャゲの定番システムを何が何でも現実(=召喚された異世界)に適用しようとする主人公の迷走ぶりが面白い。転移した異世界を「ソシャゲ」と位置付けて周囲から見たら奇異な行動を繰り返し、自分たち以外の人間を「NPC」と考える主人公・ブロガー(HN)と、転移前はソシャゲとは縁がなく、転移した世界を「異世界」と位置付け、そこに住む「人間」達と新たな関係を構築していくヒロイン・青葉がお互いに全く正反対の方向から世界に対してアプローチしていくのが印象的でした。まあ実際、何割かは現実に通用したりするんだけど、流石にリセマラするために自殺しようとするのは思い切りが良すぎるのでは…!?
「ソシャゲと酷似した異世界」という設定の中でファンタジーしながらもときおり顔をだすソシャゲネタが楽しかったです。特にクライマックスの、まさに勝てない敵は石の力でぶん殴ればいいじゃないな戦い方、まさしくソシャゲという感じで好き。あと、バトル時の「僕ならリセマラだ」の決め台詞、いかにも廃課金プレイヤーの発想というかんじで良いなあ。
ただ、最初の街とはいえ、主人公が現在のところ“無課金プレイ”状態で割と無双できちゃってるのでちょっと「鬼のような廃課金ゲー」という実感ないんですよね……青天井のごった煮インフレガチャに加えて戦闘補助目的で石を割るのが前提な課金バランスは確かに割と石の使い所が多そうだなと思いつつ、原作がWebだからか全体的に設定が小出しで、個人的にはイマイチ「日本人を狂わせた廃課金ソシャゲ」というほどのオーラ感じないというか。もっとトンデモな集金システムで殴りに行ってほしい。
かき下ろし部分で明かされた最大レア度21(あとからレア度がインフレして増設された結果の模様)&眷属二万種オーバーのごった煮ガチャ(しかも眷属を重ねなくて良いので2体目からただのダブリと化す上、一度引いた眷属は排出確率が上がるおまけ付き)というガチャの設定はあまりにも衝撃なんですけど、そこまでガチャがシブいと逆にもうガチャ回らない気がするんだよな…。
最近(?)読んで面白かったWeb小説まとめ
書籍化情報とか読みかけなのにURL行方不明になったりよくするので
感想いれつつお気に入りのWeb小説をまとめました。
しかし8割書籍化してるし書籍化してないやつは商業誌作家の番外編なので
目新しいやつはないかとおもいます…。
カクヨムをさらに盛り上げるたったひとつの冴えたやり方 / みかみてれん
https://kakuyomu.jp/works/1177354054880592134
単話/完結済。カクヨムにテコ入れをすることになり、ソシャゲっぽいシステムを導入したら〜というお話。風刺の効いた展開と「ですよねー!」って感じの終わり方が想像の斜め上に面白かった。現代のソーシャルメディアの評価システムにくたびれたらさくっと読んで欲しい一作。
何回ガチャを引いてもレアが出ないから腹いせに書いたファンタジー / 槻影
https://kakuyomu.jp/works/1177354054880848824
完結済。完全ランダムのはずの召喚魔法で最低ランクのスライムしかなぜか召喚できない主人公が召喚の魅力にハマり、お高い召喚をするためにあらゆる知略を凝らして召喚に必要な触媒を集めようとする。ソシャゲのガチャでどうしても最高レアを引けない現象が割と壮大なファンタジーとして成立してるの最高にズルいし、大冒険を繰り広げた挙句にクリティカルに刺さる感じのオチがめっちゃ好きです。
自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う / 昼熊
https://ncode.syosetu.com/n7583de/ | 書籍版感想
角川スニーカー文庫から書籍化済。「自動販売機」として異世界に転生した自動販売機マニアが豊富な自動販売機知識と自販機アイテムを駆使して異世界で商売したり、強敵と戦ったりする。なろうでは完結済なんですが4巻以降の予定が立たないのでそろそろこちらで読むべきかなって思ってる。
自分が異世界に転移するなら / 昼熊
https://ncode.syosetu.com/n5645ci/
宝島社から書籍化済。自販機〜の人の別の作品。転移後のスキル・ステータスを予め設定した上で異世界に転移出来ることになった主人公だが、それは割り振り次第では地面に立つこともできなくなるという罠だった……というお話。割とハードな世界観で転移者同士が殺し合ったり島のオークに苦戦したりするのですが、ステータスの割り振り周りの話の面白さは自販機転生に通じる物を感じました。なろうでは完結済。「贄の島編」の最後まで読んだんですが、クライマックスの盛り上がり凄く良かった…。
異世界取材記 〜ライトノベルができるまで〜 / 田口仙年堂
https://kakuyomu.jp/works/1177354054880280060 / 書籍版感想
富士見ファンタジア文庫から書籍化済。新作ラノベの取材旅行で異世界に向かったラノベ作家が異世界救ったり某バカと試験で召喚魔法を使う後輩作家と殴り愛(違)したりします。最近やっと文庫未収録部分の第二章を読んだのですが、安定して面白かったのでこちらも是非書籍化してほしい……割と主人公である先生の周囲にいる作家はどんどん作中で売れていくのに先生だけ日の目をみないの辛いので先生の本がバカ売れする第三章が読みたいです。
回復術士のやり直し〜即死魔法とスキルコピーの超越ヒール〜 / 月夜涙
https://ncode.syosetu.com/n3512ds/
角川スニーカー文庫から書籍化済。勇者としての力を使うことを拒否したばかりにひどい扱いを受けた勇者が、自らの「回復魔法」を使って時を遡り、自らを虐げた仲間の勇者たちへの復讐を決意するお話。3章途中まで読んだんだけど、徐々に自分が能力を使い相手を傷つけるための言い分として敵に「復讐」出来る状況を待ち望むようになっていくのが最高にトチ狂っていて良かったです。個人的にはお姫様の逆襲エンドを期待してる。
大幅加筆らしいので書籍版気になるんですけど調べた感じ加筆箇所がエロ主体っぽいのでちょっと悩んでおり……?(個人的にはエロ描写はこのくらいのほうがあっさりしてて好き)