興味本位から渋谷で起きている連続猟奇殺人事件の捜査をしていた碧朋学園新聞部の面々。部長の宮代拓留はこれまでの事件が、6年前に渋谷で発生した「ニュージェネレーションの狂気」と呼ばれる連続猟奇殺人事件の日付と一致することに気づく。第三の事件も予想通りの日時で発生し、偶然ながら殺人現場に潜入することに成功するが、それ以来、事件は彼らの周囲で起きるようになっていって……。
ヒロインのひとり・来栖乃々の視点から語られるカオスチャイルドの物語。主人公である拓留の知らないところで事件に深く関係する人物であった「乃々」と、第一の事件からの「被害者」たちの視点から描かれる事件の真相はゲーム内でも明かされていない情報がたくさんあって面白い。死んでしまう人間からの視点も含まれるので色々としんどいところはあるんですが。
第六の事件の当事者の話はもう無条件でえぐられるんですけど、第三の事件「回転DEAD」の被害者・柿田と有村の馴れ初め話もかなりしんどい。兄の死、家族の裏切り、周囲の人間の「嘘」を突きつけられる日常に参っていた彼女が兄の友人であり、腹を割って話せる柿田との出会いにどれだけ救われたのかと思うと……あと、第四の事件の顛末なんかはトゥルーエンドを読んだ後に読み直すとなんとも言えない気持ちになる。
ゲームのトゥルーエンドルートでの展開を、乃々の視点から読めるのは正直とても嬉しかった。最終的には蚊帳の外になってしまう彼女たちが、物語の裏で彼らを支えた人々が、「彼」の帰りを待ちわびている姿を見れただけでも胸が熱くなるし。それにしてもシリーズの垣根超えて色々な事情を知ってそうなゲンさん、この人一体何者なんだよ……。
ただ、ゲーム本編で語られる部分(=主人公である宮代拓留の視点)については事のあらまししか語られない上、その割には事件の真犯人まで含めてがっつり核心部分をネタバレされる(というか知っていること前提で物語が進む)ので原作ゲームをプレイしていない方はそちらを先にやったほうが良いかも。
良くも悪くも、ゲーム本編と「対」となる物語でした。