クライマックス目前のシリーズ第6巻。長らく引っ張ったけど予想よりあっさり合流したなあ。錆丸と砂鉄達の合流もそうだけど、伊織達との再会もそう。
場面描写は短かったけど、金星の元に集う恋する女の子組の動きが面白かった。どうしてもこれまでやってきたことから恐ろしい、人間外の存在としてのイメージが強い金星だけど、不思議な力を持ってる以外では案外普通の女の子で。錆丸と他の女の子の急接近にテンパって金星特急を迷走させちゃうなんて、よく考えるといかにも恋する乙女っぽくて可愛いじゃないですかー!!………まあ「可愛い」じゃすまない、えぐい被害でてるけど!!
個人的には書き下ろしのアルベルトのちょっと切ない初恋のお話と、ユースタスが不思議な力を得ることになったきっかけのお話がとても好きでした。しかしユースタスの話のオチにはびっくり。まさかそんなところにこの人が関わっていたとは……本来、金星特急には乗り込めないはずのユースタスが特急に乗り込めたのはこの辺の事情もあるのかしら。
次巻いよいよ完結編。物語がどんな結末を迎えるのか、本当に楽しみです。
キーワード:高山 しのぶ (6 件 / 1 ページ)
金星特急5
まだまだ続くよグラナドへの旅。何故か純国普に狙われたりさらわれたりしながら旅を続ける錆丸+月氏の一行と、突然金星特急を下ろされてしまった砂鉄ユースタスアルベルト一行のお話。
巻を追うごとに肉体的にも精神的にも「成長」している錆丸ですが、今回の巻は本当にかっこよかった!赤線で培った人間観察術や様々な技術をフルに生かして大人たちの鼻を明かしていくさまが爽快。というか、子供らしい無邪気さの裏で言動や立ち居振る舞いが気になる主人公だったけど、そんな秘密があったとは。
錆丸の護衛についた夏草・三月の相棒っぷりもまた美味しい。無二の信頼関係も美味しいけど、程度は違えど同じ傷を持つ者同士の共感とかそれがあるから故の遠慮とか。似たような境遇であるが故に夏草が踏み込めない一歩を憎まれ役覚悟で踏み込んでいく錆丸がまたかっこよかった。天才少年を引き連れた雷鳥&無名コンビの旅といい、巻末の夏草の外伝といい、今回は色々な意味で月氏キャラ美味しすぎてご馳走様でした。実は愛され系(主に家族から)な無名が可愛い……そして巻末外伝で明かされた鎖様の過去にキュンとなる。
砂鉄ユースタスアルベルトご一行はもうなんていうか砂鉄×ユースタスを中心にした恋の鞘当て模様がやばい。ユースタスにお熱な新キャラsも登場してまだまだこっちも波風ありそうだけど、とりあえずアルベルトの挑発にまんまと乗せられてヤキモキする砂鉄の様子にニヤニヤが止まりませんでした。次巻収録予定の外伝も楽しみ。
それにしてもオマケペーパーの錆丸の女装が可愛すぎてときめきが止まらない。
金星特急4
波乱だらけのシリーズ4巻。今巻で錆丸が金星特急に合流してめでたしめでたしかと思ったらそれどころじゃなかった!錆丸&月氏組といい特急の残存花婿候補組といい波乱万丈すぎる。
それにしても、花婿候補はいつのまにかここまで目減りしてたんだなあ……と思う。残った候補者達のギリギリの攻防が凄かった。それにしても月長石は1巻からあれだけ危険人物視されてきた割には随分とあっさり。お亡くなりになったわけではないので5巻あたりで一矢報いる展開が来てもおかしくないけど。いやしかし、彼の狂気を上回ったアルベルトの知識狂いぶりこそを畏れるべきなのか。砂鉄を心配するユースタスが一部始終可愛すぎる。
一方、次の停車ポイントで金星特急に合流することを目指す錆丸達にも不穏な影が。乗り遅れた者に対し発動する「ペナルティ」に関する脅威がなくなったと思いきや、一転今度は同じ人間達(しかもてだれ)から命を狙われる事になるこのスリリングな展開が凄い。誰が敵に回るかわからない状況の中、夏草の活字中毒っぷりが唯一の癒しでした。
一方、各地から集められた女性達の方も気に掛かるわけだけど本当にその結論だとしたら金星さん可愛すぎて思わずときめいちゃうよ!?例によって酷いヒキで終っているので続きを早く早く!!
金星特急3
新キャラ・アルベルトを加えて砂鉄の故郷を舞台に繰り広げられる金星からの試練。傭兵集団“月氏”の誰かに挑んで勝たなければいけないという試練に頭脳を使って相手の意表をつくアルベルトや腕っ節には覚えのある砂鉄・ユースタスとは違い戦闘慣れしてない錆丸が絶望的な状況でも突破口を探してなんとか立ち向かおうとがんばる姿が相変わらずかっこいい。それを見守る大人達や“月氏”の面々とのやりとりもよかった。
しかし、彼らの素性が明らかになるのとは対象的に錆丸の過去や数々の特異体質など、金星を取り巻く謎は深まるばかりだなあ。ユースタスのアレもただの外見上だけの話ではなさそうだし、彗星をはじめとした女性達が導かれた謎の場所も気になる。それにしても、ユースタスの砂鉄への態度は…………だと判断して良いのですか!(ニヤニヤ)
そしてまたいいところで引きすぎですよねこれ!!一難さってまた一難すぎる。マスゴミの悪意が大爆発すぎる。フキンシンどころの騒ぎじゃねーぞ!!!
金星特急2
絶世の美女『金星』の婿に選ばれたら栄華が約束されるけど今だ誰も帰ってきた事のない謎の婿取り列車「金星特急」に乗り込んだ人たちのお話。
しょっぱなから途中下車/途中乗車者の末路を聞かされたり……で胆が冷えた後、今度は密林の真ん中で宝探しをすることに。“王の火”とはなにものか、そして消えた列車の行方……と謎解き満載な展開でとても楽しかったです。
力足らずを自覚しながら少しでも自分の出来る事を…と頑張る錆丸が健気可愛いかった。錆丸やユースタスの素性も少しずつ顔を覗かせてきて、ますますこの後どう転がってしまうのか楽しみ。それにしても砂鉄さんは口でなんだかんだいいながらすっかりただの保護者状態で可愛いなあ!!あとがきの「砂鉄運送」で腹筋崩壊した。
謎の不審人物・月長石やら途中乗車できない筈の金星特急に乗り込んできた謎の男といい、物語が加速していく予感いっぱいでますます続きが楽しみです。あと地味に錆丸の家族関係の話が気になる……両親の行方もそうだけど、お兄さんは一体何をしているひとなのか。
金星特急1
絶世の美女『金星』の婿に選ばれたら栄華が約束されるけど今だ誰も帰ってきた事のない謎の婿取り列車「金星特急」。金星に一目惚れした錆丸は彼女にプロポーズするため東京駅に現れた金星特急に乗り込む……というお話。
しょっぱなからのハードな展開にびっくり。予想以上に殺伐してるというか、少女小説らしからぬノリで少年向けレーベルから出てても全く違和感なさそう。香港でのオチが衝撃的すぎる。
現代が舞台なのかと思いきや殆どの世界で共通言語が使われていて漢字が常用じゃなくなっていたり、日本と大陸の間に巨大な橋がかかっていたり……と、ちょっと不思議な世界観。旅を共にする錆丸・砂鉄・ユースタスの三人にもそれぞれ思うところがありそうで…。物語自体はまだまだ「俺たちの冒険ははじまったばかりだ!」という感じなのでこの後物語がどう転がっていくのか、とても楽しみです。