学校にやってきても頻繁に空想病発作に見舞われ、別人になってしまう結衣。めんどうくさいから極力関わらないようにしようとしてるのに、景はなんども彼女の発作の“登場人物”にされてしまい……というお話。「空色パンデミック」シリーズの短編集です。
最後の話を除いて、1巻のクライマックスで結衣が劇場型になる前のお話。特定作品をベースにした空想病発作なのでとりあえず皆でキャラになりきってお話を完結させなきゃ!!という展開なのですが、結衣のもともとの性格や周囲との人間関係を合わせて少しずつ話が脱線していくのが面白い。だいたいどの話でも最終的に青井を踏まえた三角関係になってしまうのにニヤニヤ。あと森崎がどの話でもハイスペックな活躍しすぎでふきだす。
1編目のベースになった「耳をすませば」、3編目のベースになった「メタルギアソリッド3」はよく知らないので話の展開をいっしょになって追いかけるしかなかったんだけど、2編目の「新世紀エヴァンゲリオン」は色々な意味で思いいれのある作品だったので原作展開とズレていくのもふまえてとてもニヤニヤしながら読んでた。別作品の要素や派生作品も踏まえつつアレンジを加えているのがまた面白くて。っていうか「新劇」ネタまで絡ませてオチをつけてくるのが巧妙すぎる。コックピット代わりに使ってた筐体は“戦場の絆”ネタかな?
本編は割と早い段階で結衣が劇場型になってしまい、かなり重たい展開が続いてそちらはそちらで好きなんだけど、こういう軽い話がもうちょっと読みたいなあと思っていたのでとても面白かったです。むしろこのネタでもう一冊短編出してほしかった気がするけど流石に期間的に厳しいか…