内戦という名の戦争により「皇国」と「民国」の2つに分かれた日本。その戦争がはじまった日に、全世界のソメイヨシノが消滅するという事件が起きる。ただ9本だけ、人間の意識と繋がった桜だけが滅びの直前で時間を止め、桜と繋がった人間達は超兵器《桜花》を操る力を得た。《桜花》のパイロットとして集められた、桜により互いの意識を繋げた少年少女達が巻き込まれた「戦争」の物語。
散りゆく桜のような、美しいけど、どこか儚く切ないお話でした。圧倒的な力を誇るが飲み込まれたら二度と還ってこれない超兵器・桜花を駆る主人公たちの苛酷な日常の合間に、仲間達と過ごした掛け替えの無い時間がまぶしい。特にカラー口絵にもなっている4人のお花見のシーンは、後に読み進めれば読み進めるほど輝いて見えて、まぶしかった。
個人的には戦争描写を美化しすぎてるなぁという印象があって、そのへんはちょっとモヤモヤしてしまったんだけど、ちょっと特別だけど本当はどこにでもいるような普通の少年少女達の青春物としてはとても面白かったです。まだまだ続きが出せそうな感じではあるんですが、2巻以降はどうなるんだろう。しかし、綺麗に落ちているのでこのままでいいんじゃないかという気がしなくも……
終盤の展開は杉井さんのデビュー作「火目の巫女」を思い出すなあ、と思ったので火目好きは読むといいとおもいます!(むしろこの作品が気に入った人は是非「火目」に!というべきなのか?)