『いやらしく搾り殺されたい』という不純な願いで淫魔を召喚した引きこもりの青年二十楽和友と、和友によって召喚されたものの卑猥なものに拒否反応が出てしまう傍若無人なポンコツ淫魔・イン子。すったもんだの末に和友は引きこもりからニートに転身、イン子は一度送還されたのち再び二十楽家に舞い戻って怠惰な生活を謳歌していた。そんな彼らのもとに奈良の山奥からやってきたという飛縁魔の少女・乃艶が現れて……。
前巻以上にキレッキレなギャグが楽しかった!
ニートの青年とニートな淫魔が繰り広げる怠惰で愉快な日常を描くギャグコメディ第二巻。これまで人間の文明に触れてこなかったイン子と新キャラの乃艶が初めての電車でテンション上げた挙げ句迷子になったり、初めての自転車に翻弄されたり、何故か男ひとり女3人(うち二名人外)でラブホに入る羽目になったり(※なおエッチな展開は何もない)……と、わちゃわちゃしながら(時にはキレ散らかしながら)様々な「はじめて」を満喫する姿がとにかく楽しかった。前巻も面白かったけど、前巻以上にキレッキレだったなあ。特にイン子が琥大朗が店長を務めるコンビニで臨時バイトをする『バイト淫魔』の傍若無人ぷりが最高に酷くて好き。イン子が飽きた結果、レジが面倒くさい注文入れた客の生贄世襲制になるところとか本当に笑うしかなかった。割りとこの手の話、共感性羞恥を感じてしまい楽しみきれない時あるんですが微妙にひどい目に遭う客の方も店側としては厄介客だったり、迷惑をかけられる琥太郎もなかなかしぶといのでいい感じに居心地の悪さを感じさせない配分で良かった。イン子がキレ散らかした結果厄介な客が暫く寄り付かなくなったの本当に笑う。
そしてイン子がバイトしてる裏で、乃艶と和友の元同級生で元退魔師の茉依がなぜかふたりで体調を崩した和友の看病をすることになる『看病縁魔』の破壊力も凄い。何が凄いってツッコミ不在にも程がある。乃艶のお目付け役として呼ばれたはずの茉依が気がつけば一緒になって和友のパンツでくんかくんかしてるの面白さしかない。
そんなハチャメチャな日常の中、和友の母・久遠那がなんだかんだいいつつも以前よりも明るくなった息子の姿を暖かく見守っている姿が印象的でした。前巻のクライマックスがなかなか重い展開だっただけに、ぎこちないながらもこれまでの空白を埋めようとする二十楽親子の姿にニコニコしてしまう。BBQの話のラストが大変よかったです!!それはそれとして息子の拗れきった人間関係(女子に囲まれているにもかかわらず現状一番好感度高いのが親友の男という謎の人物相関図)にうっかり気づいてしまった久遠那さんは強く生きて欲しい。
もうメインヒロインは琥太郎で良いのではないだろうか(混乱)
終盤でいよいよ乃艶の正体が明かされ、彼女の飢餓を利用して人間社会を崩壊させようとする乃艶の母親と対決する羽目に。前巻でのラストを経て人間と妖怪の架け橋になろうと決意した茉依、そして彼女に賛同した和友がそれぞれの異能を駆使して渡り合いつつ、正気を失いかけた乃艶を取り戻そうとするクライマックスがアツかったです。和友に召喚術師の才能があることは前巻でも語られていたけど、ああいう風に能動的に召喚術師としての能力を使って戦うの、アツいな。あと茉依さんって思った以上に強い退魔師だったんですね……。生き方は違えど同じ妖怪だからこそ乃艶の事を一番理解していたイン子が一貫して和友・久遠那・そして茉依の意向を尊重して共に困難に立ち向かってくれるのが凄く良かった。……凄く良かったのになんでこの子最後の最後で味方の最大戦力と殴り合い始めちゃうの!?自由すぎて笑うし妖怪に対して一番の戦力になるはずのふたりが互いに殴り合ってて何の役にも立ってないの面白すぎる。
そしてイン子以上に普通の人間のはずなのに和友が好きなあまりに最後の最後でラスボスにトドメを刺しに来る琥太郎はなんなの?クライマックス以外にも要所要所で和友への親友アピールと彼への独占欲をむき出しにしつつ、彼に近づこうとする女を次々と排除していく琥太郎がだいぶ面白かったのですが、ラスボス戦に突然乱入してくる琥太郎面白すぎるでしょ。1巻のクライマックスで親友枠のお前が一番愛情重いわとか笑いながらいってましたが、2巻の琥太郎は開き直りすぎじゃない!?茉依はもうちょっと頑張らないとマジで親友に全部持っていかれちゃうよ!!