ページ 146 | 今日もだらだら、読書日記。

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ばいおれんす☆まじかる! 恋の呪文は修羅の道

[著]林 トモアキ [絵]愛媛 みかん

なんとか魔族達の野望を食い止めたが、彼らが力を与えたマッドサイエンティスト・ミスターBの地球征服の野望は費えてはいなかった。彼らの野望阻止の為に毎晩“魔法少女”として駆り出され、睡眠不足と疲労の色を隠せない緋奈。そんな彼女はある日、不思議な少年と出会い、心を通わせるが…
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ヤクザの跡取り娘&引きこもりの落ちこぼれ天使が織り成す、ハチャメチャ魔法少女モノ第二段。今回は緋奈の淡い恋のお話です。

1巻では緋奈が周囲を振り回すというイメージが強かったのですが、2巻ではどちらかというと個性が強くなってきた周囲に緋奈が振り回される展開に…。いつのまにかすっかりゲーオタ化しているミウロスとか、か弱いヒロインを演じたいが為にわざと敵にさらわれたり、次第に黒い部分を覗かせる親友の由香利の個性が半端ない事になってきてます。しかし清次はこんなキャラでしたっけ…?1巻では文芸部メンバーに振り回される常識人で落ち着いた先輩という感じだったのが、2巻からいきなりエロキャラとして位置づけされていたのに物凄い戸惑ったのですが……。

魔族から力を得たマッドサイエンティスト・ミスターBが本格的なボスキャラとして君臨して、敵側のキャラ付けも濃ゆくなってきた様子。仮面の騎士5人組のマヌケな漫才がとてもツボ。なんというか、特にミスターBなんか典型的な悪役なんだけどそこまで悪い人じゃないよ感がたまりません。

今回のメインになる転校生・ユキと緋奈の対決自体はベタ王道で熱くてよかったのですが、1巻のラストがツボで圭一の恋路を応援したい私としてはこのオチだと今後の展開どうなるの!?とツッコミざるをえません。今回特に、いい人っぷりがアピールされてしまっているのが無駄に哀れだ圭一…。シリーズは次巻完結ですが、緋奈の恋路にどのような決着がつくのかが一番気になります。

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ばいおれんす☆まじかる! 九重第二の魔法少女

[著]林 トモアキ [絵]愛媛 みかん

落第天使のミウルスは、ある日人間界に行って人間に力を貸して魔族の地球侵攻を食い止めよという指令を受ける。失敗すれば地球滅亡…という重い任務の中、出来るだけ身長に力を貸す人間を選ぼうとしていたのに、その場の成り行きから粗雑で凶暴なヤクザの跡取り娘・緋奈に力を与えてしまって…!?
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「お・り・が・み」「戦闘城塞マスラヲ」の林トモアキさんのデビュー作。

ヒロインの緋奈が落第天使・ミウロスの力を借りて魔法少女に変身し、地球征服を狙う魔族達と戦いを繰り広げる、魔法少女モノ。……と書くと普通っぽく見えるのですが、肝心の緋奈は鞄の中に鉄板を仕込み、喧嘩となればそれを振り回すという程の超乱暴者。勿論魔族達との戦いでも魔法のステッキで敵をぶん殴る、魔族に操られた普通の人間をボコ殴りにする、挙句とある人物が操られて目の前に現れたら日ごろの恨みとばかりに病院行きになるまでボコボコに殴る……などなど、とにかくその破天荒っぷりを遺憾なく発揮してくださいます。そんなこんなで落第天使で引きこもり(失礼)だけど割りと常識人な相棒・ミウロスは常時涙目。

そんな濃ゆいキャラが織り成す魔法少女モノですが、ハチャメチャ極まりないキャラクター達の行動に笑わせられながらも、後半は王道的な熱い展開もしっかりあって、美味しくいただかせて貰いました。特に恋する熱血不良少年・圭一の、向こう見ずな行動には胸が熱くなりました。

一方、敵側の魔族についてはちょっと強引に出たカンジの人が多いというか、人数出した分相対的に味が薄くなってしまったような印象があったのが残念です。ラスボス影薄いし、メリーサがどうしてパパロンに執着するのかもイマイチ伝わってこなかったし。特にエルシフとかは、無理にキャラ立てしなくても良かったんじゃないのかなあ……別にエルシフに可愛がられてる清次の挿絵がなかったことが残念なわけではないですよ?

デビュー作ということで、色々ツッコミ所は感じましたがそれを補って余りあるほどのノリと勢いが非常に面白かったです。「お・り・が・み」シリーズが好きな人は読んで損はしないかと。

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生徒会の二心 碧陽学園生徒会議事録2

[著]葵 せきな [絵]狗神 煌

いつもの通りだらだらとまったりした時間を満喫する碧陽学園生徒会。しかし、そんな堕落した(?)生活に甘んじる桜野くりむではなかった。
「生徒会も、既存の生徒会と同じ活動ばかりしていちゃ駄目だと思うの!」
そんな生徒会長の言葉を全力で受け流しつつも、生徒会の面々は“新たな活動”とやらについて話し合う事になったのだが…
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放課後の生徒会室を舞台に繰り広げられる、ただひたすら登場人物達が駄弁るだけのライトノベル第二段。この物語には剣も魔法も超能力も、明確なストーリーすら存在しない。だがそれがいい。ほのぼのまったりとした空間の中で繰り広げられる、ハイテンションな会話の数々が面白くて、やってることは同じなのに不思議と飽きさせないシリーズです。というか全開よりもギャグのレベル上がってない?

今回は引っ込み思案な少女・真冬が姉の洗脳によりキリングマシーンと化したり、謎の新任美女教師が忽然と登場し、生徒会を最大のピンチに陥れたりします。まあでも次の章には何事も無かったかのように今まで通り(?)の生徒会が展開しているので、いろいろな意味で安心。ほんといろいろな意味でこのシリーズは最後までこのまったりのんびりした空気を保ち続けて欲しいものです。

ストーリーに関しても、キャラに関してもいつも通りなので特に語ることは無いのですが、個人的には毎回最後に挿入される舞台裏的「えくすとら」がツボ。生徒会役員面々の赤裸々な妄想が形となって読めるのが最高です。そして何気に純情少年な鍵の発言にニヤニヤ。エロゲーの濡れ場でクリック連打するなんて真似を自称「目標:ハーレム」な少年がやらかしていると考えると可愛すぎます。やっぱり鍵は総受で。

ちなみに、女性キャラ的にはある意味鍵の最大のライバルと化してきた真冬さんがやはり最高。男性キャラ率が著しく低いこのシリーズで暑苦しい面々を増やすべく、今回も一人奮闘してくれる姿に好感沸きまくりです。今回も彼女の手によって中目黒先輩という新男キャラが登場しますのでご期待ください。

個人的にはエコー・オブ・デス兄さんも忘れないで欲しいです。

「当然です。真冬は、濡れ場より、過程を重視するのです!そこに至る過程が希薄なボーイズラブなど、真のボーイズラブにあらず!」
「真冬ちゃん……。正直、キャラが確定しないのは君の方だよ……」

むしろ真冬さんと1日、熱く語り合いたい。

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L 詐欺師フラットランドのおそらくは華麗なる伝説

[著]坂照 鉄平 [絵]水城 葵

顔の良さを利用して様々な女を騙し、綱渡りで日々の生計を得る詐欺師・フラットランドはある時、竜の力を持つという“竜徒(ドラグ・ジーン)”同士の争いに巻き込まれ、偶然赤い石<罪人竜の秘宝>を飲み込んでしまう。街の権力者が狙うその石を使って一獲千金でのし上がろうと目論むが、それ以来嘘を吐くと口から火を吹く身体になってしまって…!?
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詐欺師の主人公が知略を巡らし敵を出し抜くサスペンス——かと思いきや、真実はヘタレで嘘が下手糞な詐欺師と世間知らずのツンデレ美少女が繰り広げる、熱血ラブコメでした。いや、タイトルからの先入観って怖いね!!というか、帯だけじゃなくてタイトルも詐欺というか本文と内容どこも関係ねえーー!!あと最近の富士見Fは帯で遊びすぎだと思うのです。(何も言わずに帯を全部広げて見てみるといいよ!)

中盤までは面白いけどどこかフツーだなーというか、アーティアは確かに可愛いんだけど「これどこの炎髪灼眼?」みたいなちょっとツンデレのテンプレすぎという印象が拭えず、全体的にシリアスなのかギャグなのかに偏りきれないストーリー展開もあってイマイチ物語にのめりこめずにいたのですが、終盤で敵に拉致されたアーティアを巡り、ヘタレで卑怯でバカで詐欺師でかっこ悪かったバーンが一念発起するあたりからどーんと面白くなりました。自らの心についた嘘を“息吹”で確かめる場面とか、敵前で思いっきり上げた雄叫び、クライマックスでのハリウッド映画そこのけのアーティアとのイチャつきっぷりに胸を熱くさせられまくり。なんだこの序盤からは想像も出来なかった、青春ど真ん中ストライクな展開は!!というかヘタレで卑怯で不器用な駄目男で、でもいざというときは大好きな女の子のために頑張れる男なんて最高に萌えじゃないかコンチクショー!!!

また、序盤では寒いギャグ担当だとばかり思っていたブロック団長が漢らしすぎました。あの勝手に暴走するギャグキャラからイイ男への変わりっぷりは卑怯だ。またバーンの良き理解者でもあり、舞台である『フロンティア』にすむ人間を物語中で最も体現した女性・カロリアの在り方も非常に良かったです。

色々とツッコミどころは満載だけど、それ以上に魅力的なキャラクター達が突っ走るカンジの物語で、ベタベタな熱血王道ラブコメ展開な中盤以降ではニヤニヤが止まりませんでした。これは2巻が楽しみ。

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人類は衰退しました 3

[著]田中 ロミオ [絵]山崎 透

人類は衰退し、妖精さんたちが“新人類”となった世界。衰退してしまった人類の記録を後世に伝えようという「ヒト・モニュメント計画」の一環として、数世紀前に滅んだ都市遺跡の調査の為にクスノキの里に一時的に電気が通う事になりました。里はたちまちお祭り騒ぎになるのですが、一方で電磁波が苦手な妖精さんたちは不吉な言葉とともに姿を消してしまって…
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人類であるところの「妖精さん」と、衰退した旧人類で調停官であるところの「わたし」がおりなす異文化コミュニケーションストーリー第三弾。今回は1巻全部使って長編です。しりあすですよー?

“わたし”と助手さんが数世紀前に滅亡した都市遺跡の外部を調査をしていたら、いつのまにやら遺跡の中に迷い込んでしまって大変な事に…というお話。いつも助けてくれる妖精さんの助けが見込めない上に当の妖精さんからは不吉な助言(?)をされて、後半までひたすらドキドキしっぱなしでした。今までに無いピンチに手に汗握りっぱなし。妖精さんが現れた時には思わず大きなため息が漏れてしまうほどでした。水がみつからないという極限状況で汚水や(自主規制)の利用を真剣に考え始める“わたし”の姿が、なんだかシュール。

そんなこんなで終盤まで妖精さんたちの出番は殆ど無いのが残念なのですが、2巻から登場した新キャラ・助手さんがとても良い味を出してます。出生が原因で殆ど言葉を喋らない助手さんですが、言葉以上に雄弁にスケッチブックで語る彼の姿がとても素敵です。意外な才能を発揮して主人公を助けたと思えば小学生男子そこのけのモンスター図鑑を作り始めたり、子供が見たら泣き出す事間違いなしなシュールな絵本を作ったりと大爆笑。特に絵本は、イラストが微笑ましいだけに、内容とのギャップが……ギャップが!!

『それから、どうなったかというと——』
『ごちそうさまぁっ♪』

ちくしょう、あのライオンさん、可愛いよ!!!(悶)

そんなこんなで、今回もしっかり楽しませてもらいました。個人的にはほのぼの分、妖精さん分が低かったのがちょっと残念なのですが……その辺は4巻に期待しときます。

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黄昏色の詠使い6 そしてシャオの福音来たり

[著]細音 啓 [絵]竹岡 美穂

授業が自習になって、ミオやクルーエルと共に名詠術の練習をしていたネイトは、ミオからクルーエルの誕生日がもうすぐだと聞かされる。話を聞いて、母親がかつて自分に見せてくれた夜色名詠術で“贈り物”をしようと決意するネイトだったが、失敗ばかりで…ネイトとクルーエル達の愉快な学園生活と、“第二楽章”へと続くエピソードを描いた短編集。
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女 装 ネ イ ト 萌 え 。 (挨拶)

クルルとネイト、カインツとイブマリーのラブラブっぷりや、本編には出てこない愉快な仲間たちの暴走っぷりも最高だったのですが、とりあえず今回の感想はこれに尽きます。「白奏」サイコー。ネイトは絶対女装が似合う子だと思ってたんだ!!

クラスメイト達に押し切られてイヤイヤ女装させられてしまうくだりも最高ですが、女装したネイトをみた先生方が彼をイブマリーだと勘違いして取り乱す姿が妙に笑えました。しかも潜り込むのは男子禁制の“女の園”で、緊張感も無駄にバッチリ。女装潜入モノの醍醐味を存分に味あわせてもらいました。腕の細さを指摘されて、身体を鍛えようと密かに決意するネイトとか、もう最高です。本当にご馳走様でした。

本編自体が優しくてシリアスな物語が多く、コメディ路線は向いてないんじゃないかなとかちょっぴり心配していたのですが、本編とは打って変わってコメディ全開なストーリーが非常に新鮮で、面白かった。濃ゆい学友達に振り回されるクルルとネイトには同情を禁じえませんが、同時にこれまでずっと重苦しい展開が多かった分、物凄く楽しそうな様子が伝わってくるのが純粋に嬉しかったです。特にエイダは本編のシリアス路線でも、短編のコメディ路線でも大活躍で素敵でした。

個人的にはそんな短編側の濃ゆいメンツに加えて、イ短調のメンバーまでが勢ぞろいするオールスターな黄奏「走れ、そいつはあたしのだ!」が一番お気に入り。「なんでもあり」という言葉から、物凄いドタバタなストーリーが展開されるであろうことは予想が付いたのですが、これは予想以上。目的の為には手段を選ばないエイダ&キリエコンビとイフレティカの3人にも爆笑でしたが、帰ってきた爺ーズと親バカ全開イ短調の皆さんが最高!

本編は“第二楽章”に突入し、ますます重い展開になっていきそうな勢いですが、こういう息抜きな短編もちょくちょくやってほしいなあ。ドラマガ本誌連載の短編はまだストックがあるようなので、第二段を激しく期待しちゃいます。

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カミマゴ 羽根としっぽと世界征服

[著]江藤 苑 [絵]ヒナユキウサ

空から降って来た少女には、天使のような翼が生えていた。“人間”に会いに来たという自称“天使”のルーだが、その人類は500年前に絶滅。現在は彼らが残した英知の結晶“マザー”によって生み出された“パラヒューマン”達が製造されて、様々な制約を受けながらも暮らしていた。その現状に不満を抱く敬太はルーを連れて帰り、上手い事利用して自らの野望を叶えようと画策する。
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悪くは無いんだけど、全体的にいろいろな作品の美味しいところをツギハギして作りましたとでもいいたげな違和感がぬぐえない。パクリとかそういうのではなく、無理やりいろいろな要素を持ってきちゃったが為に様々な要素を使いきれず、それぞれに不協和音を起こしている印象でした。コンピューターに支配されている世界システムはデジャヴを感じるレベルでありがちだし、主人公の性格はまんま「殺×愛」のヒソカで、やってることは「デスノート」の月っぽいですよね。

世界征服を目指す冷酷非情な天才少年が純粋無垢な天使の少女と出会い、少しずつ考えを軟化させていくという大筋は良いのだけど、いささか展開が急すぎて、主人公がどうしてそこまでルーに惹かれてしまうのかに説得力が薄い。目的の為にならなんでもする、と思いつめているような様子が描かれている割に、あっさりそれをひるがえすような行動を取り始めるのには、ちょっと興ざめ。いくらなんでも「甘い」とかそういうのを飛び越えてしまってるよなぁ。そんな葛藤も何も無しにあっさりひるがえせるような、軽い気持ちなら世界征服とか言うなと。

ただ、ツギハギだらけで説得力のないストーリーの運び方はかなり微妙なんだけど、キャラの掛け合いがその薄っぺらさ・チープさと絶妙に合っていて、なんかいい。芝居がかってるわ中二病全開だわの掛け合いが、妙にツボにきました。特に敬太とレンの関係は実にオイシイ。なんかこう、腐れ心をガンガンと刺激される何かが、何かが。

というわけで…いろいろとツッコミ所は多かったけど、不思議とつまらなくはなかったです。B級グルメというよりD級グルメ的というか、マク○ナルドや●ーミヤンや松△的な魅力といいますか。これで続きが出たら買うかどうかまでは判らないけど。

…まあなんていうか、レン×敬太でお願いします(何を)

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図書館内乱

[著]有川 浩 [絵]徒花 スクモ

笠原郁の両親が、郁の仕事ぶりを見たいとやって来た。図書館防衛員を志願したことを未だ伝えていない郁は焦る。図書館員を目指す時にも散々ひと悶着あったのに、過保護で心配性な母親にバレたら実家につれて帰られてしまうかもしれない。慌てて周囲と口裏を合わせ、その期間は内勤の仕事を貰うことにしたのだが……
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郁の親子関係、小牧とその幼馴染の少女、手塚の家庭の事情、柴崎の真の姿などなど、各キャラクターに焦点が当たったシリーズ第二段。タイトルの通り、今回は良化委員会との争いよりも図書館内部での「内乱」がメインに押し出されてます。

男勝りの郁に、「女の子らしさ」を強要する郁の母親だの、ぶった切り書評の話題だの、「あるある」感が強すぎて各所で共感しまくり。郁と同僚の女の子達が気まずくなる話なんかはもうそのストレスが容易に想像できて、こちらまで胃が痛くなる思いでした。ほんと、ああいう時は女子のほうが全然残酷だったりするよね…。

特に感想サイトをやってる身としては、やはり「一刀両断レビュー」の話は他人事とは思えませんでした。まあ、砂川のようにそれを「公の」企業サイトでやるというのは問題外ですが、常に自分の書いたレビューが他人の気を悪くすることがあるというのは考えた方が良いのかもしれないなあ、となんとなく思わされました。まあそれでも地雷を踏んだら文句の1つや2つくらいつけたくなるのが人間と言うものですが!(でも、散々作中でも言われてるけど個人のレベルならまだアリだとは思う…w)

そして、キャラクターに重点を置いた連作というだけあって、今回もキャラクターの魅力が凄すぎる。郁と堂上のもどかしく微笑ましい関係には毎度毎度ニヤニヤさせられるばかりなのですが、今回は柴崎とその周辺が美味しすぎます。朝比奈との関係も好きだったんだけど、それ以上にエピローグでの手塚とのやりとりにはマジで身悶えた。いいなあこの二人。あと、玄田隊長&折田のしっとりした関係も素敵で、そっけないメールのやり取りで胸が熱くなる。

……といいつつ、仲悪兄弟萌えとしては、小牧と鞠江に関する騒動のあたりからもう、手塚兄弟にニヤニヤモエモエしっぱなしだったわけですが。イイヨイイヨー天才系フリーダム腹黒兄貴と、そんな出来の良い兄と志を違えながらもなんか嫌えないブラコン弟イイヨー!エピローグで手塚が「俺、ブラコンなんだ」と言い出したときには萌えを通り越して大爆笑してしまいましたが。このフリーダム兄貴にはぜひとも今後とも良き悪役として大活躍して欲しいものです。

そしてそんなフリーダム手塚兄によって投下された爆弾のおかげで、続きが気になって夜も眠れません。
どうしてくれるあの兄貴。

こんな酷い引きだとわかってたら続編はAmazonじゃなくてリアル書店で買ったのに!!!

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人類は衰退しました2

[著]田中 ロミオ [絵]山崎 透

人間が衰退し、妖精さんが新しい「人類」としてまったりと住まっている世界。調停官の仕事をしている「わたし」はある日、妖精さんが作ったとおぼしき謎の不思議道具の知らせを受け、それの調査をすることになりました。その中から計量スプーンを発見した「わたし」が効果を確かめる為、クッキーを焼こうとしてみたところ、いつのまにか妖精さんサイズに縮んでしまっていて…
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人類であるところの「妖精さん」と、衰退した旧人類で調停官であるところの「わたし」がおりなすほのぼのまったりストーリー第二段。妖精さんと「わたし」のやりとりがメインから外れて、あのなんともいえないまったり会話部分が減量されてしまったのが残念なのですが、今回はSF色が強くなっていて、これはこれで面白かったです。

「人間さんの、じゃくにくきょうしょく」は、妖精さんの不思議道具で妖精さんサイズになってしまった主人公が元の姿に戻る為に「小さな」「大冒険」を繰り広げるというお話。ミニマムサイズになってしまった「わたし」がわたわたとあまりにも大きくなってしまった自分の家の中を歩き回るあたりはほのぼのと和んでしまう何かを感じるのですが、後半になるにつれブラックなネタが頻出し、最後の場面では思わず手に汗握ってしまいました。この「数字」増やすための解決法がまたバカバカしくて、このシリーズらしくて素敵。…しかし、最後の方は何故どんどん「数字」が減っていくのかイマイチ判らなかったんだけども。

「妖精さんたちの、じかんかつようじゅつ」は、遂に復帰する事になった「助手さん」を迎えに行ったら、なぜか何度も何度も同じような事を堂々巡りでやるハメに……という、ループもの。…えーと、1度読むだけでは意味がわからなかったんだけども……とりあえずお菓子食べたいだけのために自らの技術力を無駄遣いする妖精さん達が可愛すぎる。そして、なんだかんだと言いながらしっかりと本能のままにお菓子を作ってしまう「わたし」が可愛いですw

ちょっとSF色が強くなったとはいえ、独特のまったり具合は健在で、地味に続きが楽しみなシリーズです。というか続編は今週発売なのかーーーっ!!!なんというタイミング…。

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図書館戦争

[著]有川 浩 [絵]徒花 スクモ

昭和の終わりに公序良俗を乱し、人権を侵害する表現を取り締まる「メディア良化法」と呼ばれる法律が制定され、様々な書物が検閲の上で没収・破棄されてしまうようになった。その悪法に対抗すべく、図書館は『図書館の自由法』によって彼らの超法規的な検閲に対抗する。高校生の頃、一人の図書館防衛員に助けてもらった経験を持つ郁は、彼を追いかけるように図書館の防衛員を志すが…
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政府のメディア弾圧に対抗する為、武装した図書館の中で繰り広げられるバトル&LOVEなお話。あらすじだけ読むと熱血系の人情系軍隊モノ?なんて思っていたのですが、見事に騙されました。これは良いバトルラブコメ。…というわけで、物凄い色々な人からひたすらお奨めされていた「図書館戦争」、結局アニメと漫画版の勢いを得て漸く読むことが出来ました…よ…。電車通勤時間が主な読書時間な人間にとって、ハードカバーは重くて敷居が高い…。

「メディア良化法」が昨今話題の児童ポルノ関連法案とオーバーラップしたり、何かと子供の犯罪を読書傾向の所為にしようとしたり……と架空の世界観ながら色々と現代と似通ったような部分が多くて、そういう現在の世相と照らし合わせて読むと倍面白かったです。検閲の理由がまた、凄くそれっぽいんだよなぁ…「“こじき”って単語がサベツ用語だから没収」とか、ちびクロサンボの話とか思い出して懐かしい。図書館からラノベを撤去されて怒った小学生達が、『大人の喧嘩』で立派に反論するくだりなんか、世間の政治家どもに読ませてやりたいところです。や、フィクションだけど。

本編の物語も非情に面白いんだけど、それ以上にキャラが魅力的。男勝りでズボラでバカだけど実はちょっぴり泣き虫で“王子様”に憧れちゃうような女の子・郁が凄く可愛くて、その破天荒な行動にひとときたりとも目が離せない感じ。そしてツンデレ全開な上司・堂上教官や、郁の良きライバルにして天然カタブツな手塚とのやりとりが非常に素敵なのです。特に手塚はイヤミなカタブツから天然ボケへの変わり身が早すぎて噴いた。

とにかく、まっすぐで人の考えの裏表なんて判らない郁と、遠まわしにしか郁への好意を表現できないツンデレ堂上の関係が、もどかしいやらこそばゆいやら可愛らしいやら…!!二人を取り巻く他のキャラクターたちも魅力的で、ニヤニヤが止まらない。個人的にはメインの3人も好きなんですが、玄田隊長と記者の折田さんの関係が非常に気になります。似たもの同志な二人の独特な雰囲気もさることながら、なんか色々と面白そうな過去がありそうで…。

ストーリー的にも、キャラクター的にも最高に魅力的で、まさに文句なしの面白さでした。
本が好きな人、昨今の児ポ法とかメディア統制に興味がある人には無条件でお奨めできるかも。
とりあえず早いところ続きを読まなくては…!!

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