ページ 154 | 今日もだらだら、読書日記。

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ダブルブリッド5

[著]中村 恵里加 [絵]たけひと

殺されたアヤカシの事件を調査する為、浦木の依頼で元同僚のアヤカシ・帆村夏純とともに事件のあった京都にやってきた片倉優樹。捜査を続けるうち、犯人とおぼしきとある人物にたどり着くのだが…。一方EATの先輩から休暇を勧められ、実家のある神奈川に戻った山崎太一朗はかつて交際していた女性と出会って…
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他所の感想で「この巻以降、表紙は全部優樹一人」というのを見て改めて寂しくなった今日この頃。しかし、個人的にイラストレーター変わって以降だと、この巻の表紙が一番ツボだったりします。優樹さん可愛いよ優樹さん。

今後、この物語の鍵となってくる“鬼斬り”が本格的に登場(いえ、ブツ自体は4巻から出てましたが…)する一方、優樹と太一朗は違うところでお互いの関係を見つめなおす事に。太一朗と同じ“アヤカシを愛してしまった”女性と出会いその愛の形に恐怖する優樹と、実家でかつての恋人と出会い、現在の自分の優樹に対する気持ちを再確認する太一朗。二人とも「いつかまた、以前のように接する事が出来ればいい」という望みは持ちながらも、やはりその気持ちはすれ違ったまま。

太一朗にされるという状況を考えたとき、“抵抗する自分の姿が思い浮かばない自分”が恐ろしかったという優樹はやはりなんだかんだいってこの時点では太一朗にかなり惹かれていたんだと思うんだけどなあ…。そもそも、“彼女”と太一朗を重ね合わせてしまうのはさすがに太一朗が可哀想に思えてしょうがなかったりするのですが……でも4巻の時点でも相当アレか。5巻の時点ではまだしも、後半の太一朗は最凶の男ヤンデレだからな!(言っちゃったー!)

個人的には、来栖と夏純のギクシャクしたやりとりが物語唯一の清涼剤でした。夏純に対してかなりツンデレデレな「くるさん」が超可愛い。さりげなく理由をつけて夏純に取って貰ったぬいぐるみを身に着けてるくるさんがマジ可愛い。ほんと、彼は5巻のみの登場となってしまったのがとっても残念です。

それにしても、ラストの戦闘シーンは最初読んだときかなりインパクトあった印象があるんだけど、今回読んだときにはイマイチたいしたことないように思えてしまったのはその後のもっと凄い展開に慣らされてしまったということなのか……

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少年伯爵は月下に奏でる

[著]流 星香 [絵]おおきぼん太

レオニールと血の契約を結び、“二人で一つ”の吸血鬼となったベルナルド伯爵。一行は化け物達の襲撃を避けながら街の外にある修道院に身を寄せていた。一方、ベルナルドのいなくなった伯爵邸では彼の双子の弟がベルナルドの身代わりとして据えられる。影武者として育てられた彼の立ち振る舞いは完璧だった筈なのに、なぜか王子に正体を見抜かれて!?
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うーーーん、なんかシリーズが進むにつれ、ますますJUNEラノベ化が進んでいるご様子。1巻でそこはかとなく漂っていたホモ臭がかなり露骨になりつつあり、本編そのものよりもそっちが鼻について物語り自体が素直に楽しめなくなってきました。二次専腐女子の私としては、ここまで狙った展開に突っ走られるのはちょっと…。

対の吸血鬼となることを余儀なくされたベルナルド&レオニールがのっけから全開です。本文中に「小動物を可愛がるような?」というフォローはありますが、それにしたって一応男性を姫抱きにするのがデフォな男って色々とどうかと思います。そして今回登場する双子の弟・ルディの可愛さはまさにBL世界からやってきたものとしか思えません。あきらかに総受け。女の子まできゅんきゅんさせちゃう美少年とか、もう発想がBLだよね。いっそ本番ありのBL小説としてルビー文庫から出してくれた方が、余程割り切って読めるのに。

あと本編の物語自体は悪くないと思うんだけど、全体的に展開が駆け足過ぎるかな?という印象が。今まで会った事もなく、今後も会うことはないと思っていたであろう弟をいきなりあだ名呼びする兄伯爵(一体いつそのあだ名を考えたんだっ!?)とか、それまであんなに渋っていたのに突然実家に戻ってしまう辺り(ていうかお祖父さんは何も言わなかったのか!?)とか、弟伯爵のピアノの話とか、無茶な展開に猛烈な違和感を感じた部分がいくつかあり、全体的にキャラクター・物語の動き方が唐突に感じる。文章もイマイチテンポがよくないというか、同じ語尾を使って畳み掛けるように事実だけを描写していくようなカンジで、なんか物足りない印象。

特にルディのピアノの件は強引にまとめすぎ。そんな気の持ちようの違いくらいで動物呼べるようになったら世の中は天才ピアニストだらけだと思うっ!!!

うーん、とにかく、悪くは無いけどちょっと自分には楽しめない作品になってしまったかな?。
近いうちに続巻が出るようだけど、2巻で切りで。

そういえば、今回表紙のベルナルドの髪の色がちゃんと金髪になってますね。
白髪のときは某エクソシストにしか見えなかったんですが、金髪になったらレオニールとあわせて某ガンガンの焔の大佐×豆錬金術師にしか見えません。本当にありがとうございました。


【オマケ。】 この本の説明文が、なんかすごかった。

人気急上昇!!ツンデレ伯爵とオレサマ軍人の最強コンビが放つヴァンパイア・ファンタジー!!
「討ちもらすな」大切な人たちを守るため、求血鬼となった美少年伯爵・ベルナルド。「我が主の命とあらば」正義を貫くため、ベルナルドの〈対〉なる給血鬼となった凄腕の軍人レオニール。怪物を殲滅する彼らをよそに、都ではベルナルドの代わりをしていた双子の弟が、兄の存在を知り、暗殺を企てていた!!月明かりの導きのもと、ここに『血の契約を』??!!ツンデレ伯爵とオレサマ軍人が贈る主従ファンジー第2弾!

(角川書店公式サイト説明文より)

これがビーンズの豆寄せかっ!!!

ていうかベルナルドは貴族として誇高い少年ではあっても「ツンデレ」ではないよ…ね……?なんでもかんでもツンデレツンデレ言うのはよくないと思うんですけども。

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ダブルブリッド4

[著]中村 恵里加 [絵]たけひと

出向期間が残り1週間と差し迫った頃、山崎太一朗はとある決意の元、普段は出勤しない日曜日の捜査六課を訪れた。「今日は特別な日にしたい」そう思って、片倉優樹に自らの気持ちを伝える為に。ところが二人の前に死んだ筈の高橋幸児が現れ、優樹は彼を匿うと言い出してしまう。太一朗の苛立ちは収まらず、二人のすれ違いは大きくなるばかりで……
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優樹と太一朗のどこか奇妙な関係に一旦の終止符が打たれる、シリーズ第4巻。5巻以降はある程度の浮上はあるものの、優樹と太一朗の関係に関してだけはもうひたすら転げ落ちていくのみという感じなので、再読しててもここに差し掛かると何度でも「ああ、4巻が終わってしまったなあ……」と感慨を覚えてしまいます。願わくばもう少しだけ、この二人の生暖かい関係を眺めて居たかった。

それまでなんとなく絶妙なバランスで成り立っていた二人の“友情”が太一朗が関係を踏み出した事、そしてそれ以上に再び現れた高橋幸児の存在によって最早修復不可能な所まで完膚なく破壊されていく姿が、ほんと見てられない。一途になればなるほど空回りして、自ら築いた関係をぶち壊して行ってしまう太一朗の、半ば結末を予想しながらも起さずにいられなかった最後の行動も。どんなに憎もうとしても、自分の写し身のような彼を憎みきれずに奇妙な感情を持ってしまった優樹にも、そして本当は分かり合えたかもしれないのに、こんな終わりを迎えるしかなかった“もう一人のダブルブリッド”にも、なんでもっと上手くやれなかったんだよ、と言いたくて仕方がない。一つ歯車を間違えなければ最良の未来を迎えられた筈なのに、不器用な彼らが辿り着くのは思いつくだけの選択肢の中でも、おそらく最悪の結末。

ここで終わってしまったらある意味綺麗に終われたかもしれない物語は、“主”や浦木達が率いる『特高』や奇妙な少年・片倉晃達の『クロスブリード』を交え、新たな局面を見せつつもまだまだ続きます。9巻まで読むと、何度も「ああ、こんなことなら4巻で終わってくれた方が良かったんじゃ…」と思う場面があるのですが、この後も最悪の選択を選び続けるこのシリーズで、それでも最後の最後の1巻に意地汚く「ハッピーエンド」の奇跡を期待してしまうのは、優樹と太一朗の関係がそれだけ気に入っていたからに他ならないと実感。

終わらないのは、今より僅かでも希望の見える終わり方をするためだ、と今でも信じてる。
本当に、あと1度だけ、笑い合う優樹と太一朗が見たいなぁ…。

(ていうかここで明らかにまとめに入ってる自分ってどうなんですか!!
 落ち着いて!概刊だけでもあと5冊あるのよ!!!

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モーフィアスの教室2 楽園の扉

[著]三上 延 [絵]椎名 優

教頭から注意を受けた綾乃が保健室に入り浸れなくなり、彼女が傍にいないと熟睡できない直人は困ってしまった。一方、綾乃は保健室に居られないならば…と直人の家に居候し始める。当然、彼女をよく思っていない妹の水穂が良い顔をする筈はないのだが、そこに新たな<夢神>が現れて…
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しょっぱなから綾乃との同居にスネて、嫉妬しまくりで「最低」だの「ケダモノ」だのと暴言を吐きまくる妹・水穂ちゃんグッジョブ!!ツンデレ全開の態度も素敵ですがそのボギャブラリーにはとにかく感服せざるをえません。「 淫 獣 」なんて単語、普通の女子学生は中々出てこないと思います。

なんかなんだかんだ言いながらもあっさりと綾乃が周囲に<夢神>の事をばらしちゃったのはちょっぴり意外でした。個人的にはもうちょっと引っ張ってもよかったし、棗に対して綾乃の正体を偽ったのはその後の話で真実が発覚したときへの伏線だと勘違いしていたので拍子抜け。しかし、1巻であれだけ強気な一面を見せた綾乃の脆い一面を垣間見た気がして新鮮でした。

<夢神>の正体は序盤でなんとなく予想がついたように思わせておいて、最後でどんでん返されました。なんでもないあのエピソードが、ラストのそこに繋がるとは思わなかったなぁ…。何気にこのシリーズ、<夢神>の潜有者を推理するのが面白いです。上手い事裏切られて斜め横45度上を行かれる展開に、ニヤリとしてしまいます。

しかし、1巻がこれまでになく派手な印象だっただけに、2巻はその辺が安定しちゃったというかいつも通りよく言えば堅実・悪く言えば地味なイメージが……。いえ、安定して面白いのは良いことなのですが。今回は綾乃・水穂・棗の3人の関係に主眼が置かれていたから仕方ないのかな?とは思うものの謎解きの後はバトルもあっさり目だったのはほんと残念。個人的には  が最後で本性出して抵抗するみたいな展開になってもよかったと思うんだけどなあ?…。

キャラクター的にも綾乃の弱い一面が見れたのはよかったのですが、同時に1巻で強烈なインパクトを残したあの個性が緩和されちゃった気がしてなりません。その辺は今回露骨にヤンデレ化フラグ立てまくられてた棗さんが今後どうなっていくのかで相殺というカンジがしなくもないですが。

ここはひとつ、ラスボスが棗くらいの勢いで頑張っていただきたいです(何をだ)

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ダブルブリッド3

[著]中村 恵里加 [絵]たけひと

中国で生み出された人型兵器“ナタ零番”が作動テストの為、日本にやってきた。ところが、人間としての生活に適応させる為に行われたはずのテストの目的が、何者かの計略によって「大日本帝国陸軍施設の破壊」に変更されてしまう。暴走した“ナタ零番”は偶然、片倉優樹と出会い……
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面白いには面白いんだけど、他の話と比べると明らかになんか浮いちゃってるシリーズ第3巻。中国ってこの後出てきましたっ……け?なんかこの話だけ話の本線と繋がりがないから浮いて見えるんだろうな…この巻のゲストキャラって全員××ですし。

途中まで日本に上陸した“ナタ零番”こと超蒼と、彼の監視役である玄亮の視点を中心に物語が展開されるのも違和感を感じる原因の一つでした。良くも悪くも「ダブルブリッド番外編」という印象で。個人的には本当に短い、優樹と太一朗が二人で居ることの出来た時間の出来事なんだから、もうちょっと捜査六課側の視点があっても良かったと思ってみたり、みなかったり。

しかし、超蒼&玄亮コンビのトンチンカンなやりとりは何気に最高でした。玄亮が超蒼に表情を教えようとする一幕にはうっかり噴きました。一方、六課側では六課入り浸りになり始めた大田先生や食いしん坊な新キャラ・虎司と太一朗のやりとりがとっても素敵です。太一朗はツンデレ。

八牧氏はとにかく、残る六課メンバーである夏純との絡みは6課出向中にはないんですっけ?この時期に出会っていたら結構面白いコンビになりそうな予感がするので、出向中に出会えなかったのは実に残念だ…。八牧と太一朗はある意味キャラが被ってて同属嫌悪してそうな予感。

うーん、良くも悪くも読み終わってみるとやはり他の巻と比べると薄いというか、感想の出てこない話だ…。個人的には今回の見所はやはり虎司くんの破天荒ぶりでしょうか。読了した翌日に焼肉食べに行った位には素敵でした。

そして、エピローグの優樹と太一朗の場面は9巻までの内容を知ってから読むと、なんていうかほんとホロリとくる。これが二人がすごした、最初で最後(←ネタバレ)の「幸せな時間」の共有だったんだと思うと……もう。

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ダブルブリッド2

[著]中村 恵里加 [絵]藤倉 和音

高橋幸治の事件から2週間後、優樹は太一朗と居酒屋に行った帰り道で首筋に血のついた女性が倒れているのを発見する。翌日、内閣府の浦木から吸血鬼がオーストラリアから日本に密入国したという話を聞かされるが、その帰りに噂の吸血鬼?フレドリック・アシュトン・クロフォードに声をかけられ、なぜか彼と勝負をすることになり……
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現在クライマックス手前まで物語が進んだのを見てきた後に2巻・3巻を見ると、優樹と太一朗の間にあった“平和な”ひとときが本当に短かった事を実感して、本当に寂しかったり。後半の鬱々とした展開も大好きなんだけど、出来れば二人の幸せなひと時をもう少し眺めて居たかったという気持ちも感じてしまいます。

冒頭で優樹と太一朗が呑みに行く話が、また凄くいいんだ…この欝でグロいシリーズの中では希少な平和なやりとりの中でも有数に好きな場面かも。酔っ払って優樹に説教かました挙句、前後不正になって優樹におぶわれて帰って、翌朝自分のしでかしたことを勘違いして涙目な太一朗の姿は見ていて実に和みます。

また、大田やクロフォード氏とのやりとりでも素晴らしいヘタレ犬っぷりを発揮してくれて、二人にやり込められる太一くんの姿にニヤニヤが止まらない。今のうちなら言える!!太一くん可愛いよ太一くん!ついでにこのノリなら「クロフォード氏に篭絡される太一くんは、どう考えても受だよね」とか言える!!!(言うな)

一方で、二人が抱える考え方の違いや歪み、すれ違いは既にかなり顕著なものになっていて、改めて読みなおすと一見なんでもない所に火種がこれだけ埋め込まれていたんだなあと思ってしまいました。優樹の無防備な振る舞いにドギマギする太一朗と、その太一朗の赤面の意味がわからなくて「?」となる優樹さんの姿は非常に可愛いのですが…今読み返すとその無防備さが、その決定的なすれ違いの象徴であるようにも思える。優樹と太一朗が自分のトラウマを自覚しながらも、それから逃げ続けようとする姿も印象的でした。

グロい表現もシリーズ内平均を考えるとかなり少ない方だし(無いわけではない)、割と息を抜いて読める貴重な巻。

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ダブルブリッド

[著]中村 恵里加 [絵]藤倉 和音

通常の生物とは異なる遺伝子を保有する生物・通称“怪(アヤカシ)”が発見されて数十年。警視庁の怪捕縛専門特殊部隊「EAT」に所属する青年・山崎太一朗は上司の命令で政府公認の怪のみで構成された部署?通称「第六課」?への出向を言い渡される。直情的で怪の捕縛は人間のみが行うべきだと頑なに信じ、怪を毛嫌いする太一朗だったが六課に所属する唯一のアヤカシ・片倉優樹の人柄に触れるうちにその考えを改める事になり…
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祝・最終巻発売決定!!!
…というわけで、既にかなり内容を忘れている予感がするので、再読祭開催。というか9巻が出た時に内容殆ど覚えてなかった記憶が(酷)しかしこれ、発売日8年以上前の作品になるんですね…ほぼリアルタイムで追いかけていたのに。年取るわけだ…(´・ω・)

というわけで、数年ぶりに読み返したわけですが、やっぱり凄く面白い。政治的とか体面的な事情でほぼ飼い殺し状態にされ閑古鳥の鳴く「第六課」で、3年前に去っていった仲間たちの帰りを待ちながら孤独な日々を送っていた優樹と、緊張感の足りない優樹を前に空回りし続ける太一朗という序盤の平穏な日々の、シリーズ全体からしたら本当に僅かな間でしかなかった平和な日常の描写が密かに大好きです。頭が固くてプライドばかり高くて頑固で自己中で……と、どうしようもなく駄目駄目な太一朗が、片倉優樹という一人の少女に惹かれながらも自らの考えを少しずつ改めていくのと同時に、優樹の方も自分を始めて“人間の少女”としてみてくれる興味深い人間・太一朗という人間に出会って変わっていく…というお約束でベタベタな展開が凄く好き。

「君と私が今まで培ってきた友情は、今から死ぬ」

だからこそ、そんな二人の関係を最後の最後で打ち壊す優樹の独白・変貌とラストバトルは本当に衝撃で初めて読んだときはしばらく呆然としてしまったのを今でも覚えています。“友情”が“死ぬ”といった言葉選びが独特で、非常に印象強かった。その後の展開ももう、基本的にハッピーエンドで王道ベタベタな展開しか読んだ事のなかった私にはかなり印象的で…最後に一応ハッピーエンド(??)的なオチになるとは言えど。

また、この作品を語る上で外せないのがやはりグロ描写。……特に、井の頭公園での戦闘とその後の六課での治療描写はあまりに生々しすぎて今読んでもリアルで吐き気が……うぷっ。シリーズ刊行当時密かに「電撃三大欝グロ作家」とかいらない事を考えていたのも今となれば良い思い出です(ちなみに残りの2人は「Missing」の甲田学人、「インフィニティ・ゼロ」の有沢まみず。…有沢さんは「いぬかみっ!」の感想を見る限りその後方向転換したんだろうなあ…あのグロさが好きだっただけにちょっと残念だー。)

というか、1巻で終わっておけばそれなりに幸せそうな未来が垣間見えてたのにどうしてあんなことに……(しみじみ)

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えむえむっ!

[著]松野 秋鳴 [絵]QP:flapper

佐渡太郎は先祖代々にその血が流れる由緒正しき(!?)ドM体質。自らの初恋成就のため、ドM体質の克服しようという決意をして『願いを叶えてくれる』という噂を持つ第二ボランティア部に足を踏み入れるが、部員の一人が太郎のドM体質を開花させるきっかけを作った少女で…
   ( 評価不能 )
いやあの、なんていうか、なんとコメントしたら良いのやら……

「主人公がドン引きするくらいのドM体質」というのは読む前から聞いていたんですが、噂に聞くのと実際に読むのでは天と地ほどにも差があるというのはこのことかと生まれて初めて実感した気がします。……体質だと、それがどうにもならない遺伝体質だとわかっていてもやっぱり主人公がキモイ。正直この「ドM体質」はこのラブコメにおけるコメディ部分を受け持つ重要な要素であることは理解できるのですが、人間には、理屈では判っていても我慢できない「生理的嫌悪感」というものがあるのだということを思い知った気分です………コメディで済ませるレベルじゃねえぞ!!!

えーと内容としては、正太郎まで変態になっちゃった「ボンボン坂高校演劇部」という印象でしょうか。あの漫画は正太郎が唯一の常識人だからこそ成り立っていたのに(後半ちょっと壊れてたような記憶があるけど…)、この物語では最初から唯一の良心のはずのポジションがどうしようもなく陥落してしまっています。

なんか全体的に、キャラクターが肌に合わなくてきつかった。主人公のドM体質にもドン引きだったし、ベッドに潜り込んで近親相●を求めてくる母親&姉にもドン引きだったのですが、それ以上に辰吉の女装が……うわああああん!!!ぶっちゃけ「女装少年」という言葉を期待して買ったという裏話があるだけに本気で泣いた。あれはないわ…前半の“シホリ姫”のくだりあたりまでは結構良かったのですが、その後辰吉の才能が開花してしまったところで漢泣きした。……先生、ムリです……アレに萌えるには、女装少年萌えスキルよりもオカマ属性萌えスキルが必要な気がしてしょうがありません……イタイケなオトコノコに女装させて、頬を染めながら嫌がる姿をみて萌える私にはもう……もう……(えぐっえぐっ)

……ただ、もうとにかくキャラクターは駄目だったのですが、主人公の家族以外の女の子キャラがかなり魅力的なのと本筋は結構…いや、文句なしに面白かったのは本当にどうしたらいいのでしょう。ツンデレっつーかむしろサドデレ?な石動先輩が時々見せる、後輩思いの優しさには思わずグっとくるものがありますし、嵐子と太郎が不器用ながら少しずつ二人の距離を詰めていく(文字通りの意味で)姿は素敵でした。過去のトラウマに怯える嵐子の所に太郎が駆けつけるシーンは、ドM体質をそんなところで利用するのか!!!と噴き出してしまいました。そしてラストの殴り合いのシーンが熱過ぎる。それまで駄目人間すぎだった部分を散々見せられてきたからこそ、最後のシーンでは胸が熱くなった。ほんと、あの体質がもうちょっとアレなら、結構好きなタイプのキャラなのに、もったいないなあ…!!

いやもうなんていうか、本当に新しすぎるというか私には完全に評価不能。
どうしても一部キャラへの生理的嫌悪感が……物語の本筋は面白かったんで、あと1?2冊くらいなら読んでもいいかなーと思うんだけど、正直キャラが受け入れられないのが致命的すぎる気がするのでサクっと切ってしまった方が良さそうな気が……ラブコメ強化方向に行ってくれるなら読みたいのですが、これ以上ドM体質とか女装趣味とかに磨きがかかると、挫折しそうな予感でいっぱいです。

4巻に入るという噂のBL展開が気になって手を出したシリーズなのですが、太郎と女装モード辰吉でBLっていう話だったら、正直いらないかなー……

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バカテス2巻の感想を書き直してみた

2月のまとめ記事にて

ちなみにこれだけバカテスぶっちぎり状態が続いているのにもかかわらずなぜか2巻の感想のみ全くといっていいほどアクセスが伸びておりません。うーん、確かに1?2巻は一気読みしたので2巻の感想がかなり適当であることは否めないのですが……読み返しを経て、現在最萌え巻と化した2巻の評価が世間的にもあまりよろしくないのが非常に不満な今日この頃。

このままではバカテス2巻感想だけ全面改稿を行いそうな勢いです。
…それはそれでありか?開き直って思いっきり腐れた感想をアップしてみるか?……うーん。

などと書いた私ですが、本当に書き直すとは誰が予想しただろう。

元の記事の修正に、大量の萌えポイント解説を詰め込みました。
だいぶ腐向けですが、バカテス3.5巻で明久に萌えた殿方の皆様には今こそ2巻を再評価していただきたく。



腐成分増量の「バカテス」2巻感想はこちらから★

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千の剣の舞う空に

[著]岡本 タクヤ [絵]柏餅 よもぎ

交通事故に遭い、空手で最強を目指すという夢を閉ざされてしまった速見真一。諦めざるを得なかった“世界最強”の文字に魅せられるようにして“サウザンドソード”と呼ばれる対戦格闘ネットワークRPGを始め、その世界での最強を目指し始めるが、そこで出会った少女がクラスメイトであると気づいて…
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とあるネットワークRPGで“世界最強”を目指している少年がネットゲーム上でクラスメイトの少女と出会って少しずつ彼女の知られざる内面を知っていく……という物語。設定はそれなりに風変わりなものの物語自体は王道すぎるほど王道な爽やか青春ストーリーでした。他所の感想サイトさんでも言われていましたが、一途にゲームにのめり込む少年がその世界での“最強”を目指しながら、自らの“リアル”での生活との両立を見出していくという方向性は、他所でも言われてましたがあの『連射王』に通じるものがありますね。

自分の世界にのめり込むあまりに友人を作る事も出来ず、同時に自らも友人を作らない事を良しとして生きてきたタカヒロ(真一)と、自分とは正反対の明るくて社交的な性格なアスミ(明日美)がリアルの世界では文化祭、「サウザンドソード」の世界では最強のプレイヤー“闇”を倒すため…とお互いの正体に気づかない(真一はその“フリ”をした)まま行動を共にする事になり、2つの世界を通してお互いの抱える違った一面を垣間見ながらも歪みを克服し、成長していく過程が非常に素敵でした。更に、二人を取り巻くクラスメイト達や「サウザンドソード」で合間見える強敵たちも非常に暖かい人たちばかりで、読んでいて心地いい。「悪者」も「嫌なヤツ」も居る世界だけど、それでもこの世界に登場するキャラクターたちはどこか優しい。エピローグの赤シャツのエピソードがあまりにもこの物語の本質を物語っているように思えて、思わずニヤニヤしてしまいました。とにかく、非常に爽やかな気持ちで本を読み終える事が出来ました。

“世界最強”を目指す物語ながら、誰にでもどこにでもありえる親近感もたまらない。続編になるのか新シリーズになるのかはわかりませんが、作者さんの新作に期待!!

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