2006年下半期ライトノベルサイト杯に投票します。(はてな以外の方の投票はコチラ)
殆どの作品はこちらのエントリーで取り上げてるので、良ければこちらもどうぞ。
書名クリックで過去の感想に飛びます。
■単発部門
【06下期ラノベ投票/単発/4829163801 】 ■ネコのおと(新井 輝/築地 俊彦/水城 正太郎/師走 トオル/田代 裕彦/吉田 茄矢/ あざの 耕平/富士見書房)
2006年色々あった面白企画で一番ツボった。2006年の年末を沸かせた蝶・問題作(笑)富士見ミステリー文庫内部の自虐ネタが非常に良い感じです。
| 【06下期ラノベ投票/単発/4044266115 】 ■戦闘城塞マスラヲ Vol.1(林 トモアキ/角川書店)
何の力も無いNEETな主人公がハッタリとその場の運のみで強敵達とのバトルを潜り抜ける…という展開が非常に熱い。そういえば、実は「お・り・が・み」積んでます。今年中には読みたい。
| 【06下期ラノベ投票/単発/4087804399 】 ■DEATHNOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺害事件(大場 つぐみ・小畑 健/西尾 維新/集英社)
デスノ好き…特にL好きなら読んで後悔することはないでしょう。そして実はツンデレだった南空ナオミに一票。
| 【06下期ラノベ投票/単発/4840236453 】 ■みずたまぱにっく。 This is MIZUTAMASHIRO!! (ハセガワ ケイスケ/メディアワークス)
「しにがみのバラッド。」の泣きゲー的雰囲気から一転、ギャグコメへ華麗なる変身。キャラ設定の面白さにはお茶噴きました。作風の変わりっぷりに驚かされたので一票。
| 【06下期ラノベ投票/単発/4199051619 】 ■ギロチンマシン中村奈々子 義務教育編(日日日/徳間書店) 設定は暗いけど中身はコメディ色強めのラブコメ…でもやっぱり内容は暗い。斗貴子さ…もとい中村奈々子のある時は冷酷な殺人マシン、またあるときは恋するロボット少女…という設定がツボでした。
■シリーズ部門
| 【06下期ラノベ投票/複数/4757729359 】 ■終わる世界、終わらない夏休み(あきさか あさひ/ファミ通文庫)2006年で一番泣いた一冊。ループもの。特に前編で殆ど目立ってなかった桜井深優が大活躍する後編は非常に秀逸です。彼女の淡い恋心にも、母親との親子愛にも泣かされました。
| 【06下期ラノベ投票/複数/4757730845 】 ■“文学少女”シリーズ(野村 美月/ファミ通文庫)
遠子先輩の薀蓄、文学小説になぞらえた事件を追うストーリー。
全ての「読書好き」にオススメしたい、そんな一冊です。
っていうか本が好きならとりあえず読め。
| 【06下期ラノベ投票/複数/4757729111 】 ■カーリー(高殿 円/ファミ通文庫) ラブコメ、大河?浪漫、そして女装美少年。萌えの要素が詰ってます。カーリー&シャーロットのウキウキ★ヒンドゥー語レッスン(勝手に命名)は必見。
| 【06下期ラノベ投票/複数/4829118687 】 ■殺×愛?きるらぶ?(風見 周/富士見書房) 5巻までで少しずつ築いてきた暖かい関係を一気にぶち壊す最新刊は必見。5巻と最新刊のギャップがまた…哀しい。
| 【06下期ラノベ投票/複数/4829118423 】 ■フルメタル・パニック!(賀東 招二/富士見書房) 直前まで「レジンキャストミルク」とどちらにするか迷いましたが…せっかくだから俺は投票する人が居なさそうで何時も推してるこちらを選ぶぜ!!何度も言ったが、カシム(宗介)に100000票くらい入れたい。
以下次点
・レジンキャストミルク
・アストロ!乙女塾
・メイド刑事
・化物語
個人的にイマイチ1巻完結のシリーズでツボにきたものがあまり無かったので、単発部門は2巻以下のシリーズ…という形式だったら嬉しかったのになあ、と思いました。特に今期は各レーベルで2ヶ月連続刊行が続出したため上下巻完結作品で面白かった作品が凄く多くて。特に「終る世界、終らない夏休み」はシリーズモノという括りというよりも、単発で投票したかったなぁ…。
しかしファミ通文庫の多さにびっくり。2006年下半期に読んだ3シリーズは全部お気に入りという、とんでもない状態になってました。殆どファミ通文庫は手をつけてないんだけど、他にも色々読んでみようかなあ。
【追記。】 シリーズ部門への投票タグを思いっきりトチってたので修正しました。
[著]細江 ひろみ [絵]みかき みかこ
幼い頃に兄が療養していたサナトリウムで事故に巻き込まれた秀人は最近、過去の悪夢に悩まされていた。偶然買った本で見かけた、そのサナトリウムへと続く山の写真。悪夢の風景と亡くなった兄を求めるかのように訪れたその山で遭難し、野犬に襲われて気を失ってしまった秀人は怪我をして父の会社の研究所に運ばれ、そこで二人の不思議な少女と出会う…。
ちょっと不思議な雰囲気の漂う伝奇系ラブコメ。
なんか凄くギャルゲーにありそうなシチュエーションが炸裂で、「これなんてエロゲ!」とか思いながらも結構ハマってラストまで一気に読んでしまいました。
世間を知らないヒロイン二人が外の世界からやってきた秀人に興味津々で、とんでもない勘違いをしていたり、秀人が勉強を教えてあげたり、教えるために自分が頑張って勉強したり……とほのぼのとしたシーンが凄く魅力的。それぞれ心や身体に傷を持ちながらもお互いを労わり、少しずつ接近していく3人の関係が見ていて気持ち良いです。
特に亜里沙がネットで得た間違った常識を披露して色々勘違いする、
秀人とのトンチンカンなやりとりが凄くツボ。
「ねえ、どうしてイタズラ描きがないの?」
「え?どうしてって、僕は描かないよ」
「どうして?教科書にらくがきなんて、みんな描くものでしょ?」
「する人もいるだろうけど、みんなじゃないし。僕はしない」
「友達どうしで見せ合ったりもしないの…」
突然亜里沙はハッとして言葉を止め、あわてて「この話はやめましょうね!」と打ち切った。どうやら「友達が居ない秀人君」のために、気を使ってくれているらしい。
ここまでくると最早異文化コミュニケーション状態。
一見、常識的で博識に見える彼女のトンチンカンな一面が非常にツボでした。
ていうか最初から最後までこのラブコメ路線でいけばかなりの期待作だったのに!!
後半。秀人と和葉が犯したたったひとつの“ひとだすけ”をきっかけに自由は無くても幸せだった箱庭生活は終わりを告げます。
…ということで物凄い勢いでストーリーが展開し、読者置いてきぼりのまま終了。正直なところ、各登場人物の動機や描写が薄すぎて感情移入できなかったです。秀人と和葉、和葉と蒲生所長、蒲生所長と亜里沙、そして秀人と秀一、親子の関係に至るまで、折角の美味しい設定なのに何もかもが描写不足。いくら軟禁状態で暫く過ごしたとはいえ秀人が和葉を命を投げ出してまで救おうとするのはなんかおかしい気がするし、いくら恩人とはいえ亜里沙が所長にそこまで惚れ込む理由も“一目惚れ”じゃ弱い気がします。正直彼女は恩以上の仕打ちを受けているはずなのに。また、秀人が元々淡白な性格だからか、イマイチ父親に関する描写も薄いんですよね…電話を研究所側から止められていたという設定はなんとなく読めますし。もっと秀人が研究所に居る間、連絡の無い父親に対して不安や疑念を抱いたり父親に会えない事に寂しさを抱くような描写があれば違ったんだと思いますが…
全体的に1巻に詰め込みすぎて上手くまとまってないという印象を受けます。リュックサックにお菓子を詰めすぎて重要な道具がポロポロこぼれてしまった感じ。3巻?5巻くらいでキャラクターや設定をじっくり掘り下げてくれれば確実にお気に入りの一作として紹介できた気がするので、非常に残念です。ていうかもうラブコメ部分だけでいいよこの話。
そしてエピローグ。なんか何も成長していないっぽい秀人君の姿が非常に印象的。なんだこのダメ男は!!こういう展開になったら、何もかもを捨ててでも二人を探しに行くか、いつか彼女達に見合う男になってみせる!!と一念発起するのかと思うのが筋というもんでしょう。それなのに何もかもを捨てるまでは踏ん切りがつかずに家に引きこもり、性能の良い兄貴との実力差を見せ付けられて半ニート状態になり、ギリギリの成績で中学卒業ってなんですかこのダメ男は。(ネタバレ)
これだから最近の男はダメだとか言われるんだよ!!
和葉や亜里沙が自分達の信念に基づき、最後まで“自分”を通して見せたかっこよさに対して、こいつはあまりにも情けなさ過ぎます。結局この作品を通じて秀人が自力で得た物なんて何も無かったわけです。兄貴には表面上勝ってるけど全面敗北したようなもんだし。ていうかマジ、ラストでニヤついてるんじゃねえとか思う。お前のそのふがいない半年を土下座して恥じるとかできないのか。
ライトノベルの中だけでいいので、女の子も男の子に夢を見せてください。
[著]奈須 きのこ [絵]こやま ひろかず
精神を歪ませ、その肉体に“新部”と呼ばれる変化を起こさせる奇病・アゴニスト異常症?通称“悪魔憑き”。とある事故により左腕を失った石杖所在(アリカ)が出会う、“悪魔憑き”達の引き起こす事件とは…!?
読みづらいとか そのフォントはさすがにないだろうとか色々ツッコミ所はありますが、凄く面白かったです。文章も綺麗だし、志貴や士郎のような一直線な流されキャラではない、ちょっと捻くれ系主人公のアリカをはじめとしたキャラクターも良いです。特にカイエやアリカの妹はかなりのインパクト。特にアリカの妹が可愛いです。サンドバックとか素敵すぎ(笑)
1話、基本設定とかを掴むまで中々ストーリーを読み進められず、かなり辛かったです。でもラストの展開は良かったなあ。しかしツラヌイやマトさんのキャラがそれっぽいのか、妙に西尾維新っぽいと感じてしまったのは私だけでしょうか。
個人的に一番気に入ったのは2話の久織姉弟の話。日常の中に潜む異常性みたいなのが凄く良かった。怖さ的には、グロ描写のないMissingとでもいいますか。何か色々とデジャヴというか、既視感を感じると思って居たんですが 「ラノベなPSP」さんの感想(のタイトル)を見て合点がいきました。既視感の正体は明らかに そ れ だ !
3話。実に3回連続のミスリードに懲りずに引っかかったのは私です。トリック明かされるまで全然気づきませんでした。我ながらこういうところに疑いを持たずに読めるのは美味しい性分だなあと思いますw
しかし「空の境界」を読んだ際にも思ったけど、回りくどいというか文章が難解というか伏線張りすぎというか…一言で言えば かなり読みづらい。特に1話を読み終わるのに相当苦労しました。サウンドノベルで読めばそこまで読みづらさは感じないんだけど、この謎のとっつきにくさはなんなんだろう…。
あと、雰囲気を出すためだろうとは思うけど、文章のフォントを全文特殊フォントで書かれてしまうのはちと読みづらいです。ああいうフォントは要所要所で使うから味があるんだよ!!ついでにちょっと気になったのが、箱から出して読んでるとまるで装丁から字体から 同人誌みたいな印象を受けるんですよね。
[著]喬林 知 [絵]松本 テマリ
夏休み、村田に誘われてやってきた海の家でのバイト中にまたまた眞魔国に呼ばれてしまった渋谷有利。ところがどうも様子がおかしい。着いた途端に刺客に襲われ、コンラッドやギュンターに庇われ、命からがら元の世界に強制送還されるのだが、着いた先は何故か敵国ど真ん中で…?!
一気にストーリーがシリアスになりました。戦争の匂いはプンプンするし、コンラッドは生死不明だし、ユーリは村田と一緒に敵国のど真ん中に行っちゃうし…ギュンターとグウェンダルは……もうアノ人達は ギャグ担当で確定ってことにしといていいですか?
コンラッドの告白まがいかつ 死亡フラグ立てまくりの意味深発言が、物凄く重い。考えてみると「トサ日記」での彼の過去話はこの話への前フリだったんですね。凄く美味しいキャラなので、生きてるといいなあ。
重苦しい雰囲気の中、村田のボケとギュンター&グウェンダル&アニシナトリオの暴走っぷりが唯一の心の清涼剤。村田の正体は実は……らしいですが、彼の正体もそろそろ明かされるのかな?ユーリが気絶した後に見せた、シリアスな発言が個人的にかなりツボです(笑)
そして良く思っていなかったはずの次兄の生死不明に心を揺らしつつ、行方不明になったユーリを探しに行こうとするヴォルフラムが、出番が少ないながら非常に良いです。長兄の立場も理解していて、自分が本来どうしなければいけないのか判っていても行動を止められないのがヴォルフラムの良いところですよね。顔には似合わない漢らしさにすっかり骨抜き。是非次巻ではドーンと活躍してくださいっ!
[著]川上 稔
野球部に所属する高校生・高村コウは、何に対しても本気になりきれない事に悩んでいた。野球は「楽しい」が勝つため・レギュラーになる為一生懸命なチームメイトに共感することが出来ず、距離を感じる毎日。ある日、電車待ちの時間つぶしに立ち寄ったゲームセンターでコウは一人のゲーマーがシューティングゲームに“本気”で向き合うところを目撃する…。
シューティングゲームに青春を賭ける、熱き漢達の物語。
主人公が野球部での事や人間関係に悩みながら『大連射』というSTGをワンコインクリアする所までを描きます。「シューティング」というジャンルからして非常に漢らしいのですが、主人公はコンティニューをしない主義だったり、自分がクリアできていないポイントから先のプレイは見ないように心がけていたりと物凄くストイック。まさに『漢』の世界です。古きよき昔のアーケードゲーマーと言う感じ。
とにかくSTGの楽しさが伝わってくるような、そんな作品でした。ゲームをプレイしているときの爽快感やボスを倒した時の喜びなど…このジャンルのゲームは殆どプレイした事無いのに読み終わるとゲーセンに行ってコッソリとシューティングやってみようかな、と思ってしまうほど。また、主人公を間接的にSTGに引き込んだゲーマー・竹さんのシューティング解説が妙に実用的で面白い。
なんか凄く本当の「ゲーマー」達の姿を見た、という感じがします。ただお金を使い込むんじゃなくて、ただストイックに自分の目的を果たす為に色々と攻略法を考え、スティックの持ち方から何から考えて(時には熟練者にアドバイスを貰って)ラスボスを倒す。知らない人から見たら“たかがゲーム”なんでしょうが、どこか爽やかなまでに健全な、男達の勝負の世界がありました。
都市シリーズや終わりのクロニクルのような面白世界設定も異能力もありませんが、十分すぎるくらいに熱くさせてくれる青春物語です。下巻も楽しみ。
→下巻の感想はこちら。
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