“ツカサ” の検索結果 | ページ 2 | 今日もだらだら、読書日記。

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銃皇無尽のファフニール5 ミドガルズ・カーニバル

 

フレスベルグ戦から帰還した悠たちは、学園祭を開くことになった。盛り上がるクラスの中、リーザはどこか浮かない様子。どうやら両親に婚約者を決めさせられるのが憂鬱らしい。そして、悠はリーザの両親の前で恋人役を演じることになる。だがそこに、悠の記憶の鍵を握るドラゴン、“緑”のユグドラシル消滅の情報が入り―!?「…止めませんわ。止めたところで、あなたは行くのでしょう?」「ああ―もちろんだ。よく分かったな」「当然です。本日限定とはいえ、わたくしはあなたの恋人ですから」きらめく刹那の祭りの中で、つなぎあった指先だけが、揺れる二つの心を結んで―。アンリミテッド学園バトルアクション第五弾! (「BOOK」データベースより)

 ミッドガルで学園祭が執り行われることになった。リーザの両親の前で“恋人同士”として振る舞うことになった悠は彼女と恋人らしい振る舞いかたの練習をしたり、クラスの出しものを手伝ったり……と楽しくも忙しい毎日を送ることに。ところが、学園祭当日にやってきたのは思いがけぬ人物で……!?

女装姿で自分を調教した元上司(男)と自分を支配しようとするドラゴン(男)に取り合われる物部悠(曲解)

 いやもう正直女装だけでもありがとうございますな上にコスチュームがメイドさんで本当にありがとうございますわたくしにはご褒美です!!!!という感じなのですが、しかもそこにロキ少佐登場で倍々ドンとかいってたらまさかの少佐からの壁ドンだしユグドラシルも不気味な動きをみせてこの主人公のヒロインっぷりどうしたらありがとうございます(動揺)

 一種の敵の敵は味方みたいな感じだとおもっていた“緑”のユグドラシルが突如として動き出す。反作用こそあれど、今までその真意について深く受け止めてこなかった「ユグドラシルとの取引」。他に選択肢がなかったとはいえ、普通に考えれば真っ先にユグドラシルの真意を疑うべき話なんだよなあ。悠にとっては“疑問に思ったことがなかった”のではなくて“疑問に思うことができなかった”で、第三者であるイリスを挟んだからこそその歪みが見えてしまった。おそらく、ユグドラシルさえ望めばどうとでも出来る状態だったんだと思うとぞわっとする。

 リーザとの“恋人ごっこ”が本当に甘酸っぱくて可愛くて辛い。“D”となったために家から離れ、自由を得た少女。大人になって“D”としての権能を失ったら家のために誰かのもとに嫁ぐことを受け入れて、だからこそせめて今の“D”としての自由な時間を精一杯謳歌しているリーザの姿が本当にいじらしかった。リーザまじいい女……。

 必死に悠のためにあろうとするイリスや、イリスと悠の関係を見抜いて一歩引いた位置にあろうとする深月を含めて、本当にこの作品のヒロインたちはみんな良い子で、だからこそいろいろなことがままならないことが辛いなあ。


銃皇無尽のファフニール4 スピリット・ハウリング

 

ユグドラシルとの契約。そして、代償としての記憶の喪失。それらの秘密を打ち明けられたイリスは、悠の記憶を取り戻すことを決意する。その時、姿をくらましていた災害指定の“D”の少女キーリが、フィリルの故郷・エルリア公国に姿を現した。ミッドガルの保護を求める彼女のため、悠たちはエルリアへ向かう。国王であるフィリルの両親たちのもと、舞踏会などひとときの異国の非日常を楽しむ悠たち。だがその前に現れたのは、魂を喰らう黄金の魔鳥―“黄”のフレスベルグで―。たとえ何を失っても、守ってみせる。魂のすべてをかけて―。アンリミテッド学園バトルアクション第四弾! (「BOOK」データベースより)

 ミッドガルの保護を求めてきたキーリを護衛するため、フィリルの故郷・エルリア公国へと向かう悠達。同じ頃、エルリア公国ではフィリルの祖父である国王が逝去し、その死を悼むための賑やかな式典が始まろうとしていた。つかのまの非日常を楽しむ彼らだったが…。前巻の展開からリーザ回かなとおもっていたけどフィリル回だった!任務の一貫で来ている上にキーリの存在や悠の記憶など様々な不安事項はあるものの、異国情緒溢れるフィリルの故郷でつかの間の休日を楽しむ姿が微笑ましい。

 災害指定の“D”であるキーリを狙ってロキ少佐が放った刺客“フレイズマル”に苦戦する悠。ニブル時代の悠の話が軽く出てくるけど、ロキ少佐のやり口が想像以上に洗脳教育っぽくてヤバイな。しかも、人の魂を食らう“黄”のドラゴン・フレスベルグにフィリルが見染められてしまうという四面楚歌な展開に。

 記憶の欠損が生じるとわかっていても大切な仲間たちを護るためにはユグドラシルとの取引をしないわけにはいかない悠。最後の、失った記憶の大きさにぞっとした。ある意味、完全に失ってしまうよりも残酷な結末。過ごした時間の違いがあるので仕方ないのだけど、悠がイリスや他のヒロイン達と新しい思い出を作っていく中、深月と悠に関わる記憶ばかりが失われていくのがやるせない。

 しかし、記憶の件を打ち明けられたイリスと悠が完全に出来上がりかけてる雰囲気の中、周囲でフラグばかり乱立していくのどうするんだこれ。キーリやリーザとも若干のフラグ感あるし、ニブル時代からの刺客・ジャンも現れてますますフラグ乱立の気配を感じる。

 ラストのフィリルのハーレム発言が男前すぎて震えました。抱いて!!!(悠を)


銃皇無尽のファフニール3 クリムゾン・カタストロフ

 

“赤”のバジリスクがいよいよ動き出した。視線により海を塩化させて侵攻するバジリスクに対して、無人の火山島を遮蔽物とした遠距離攻撃で撃退をはかる深月たち竜伐隊のメンバー。だが、かつて深月が“紫”のクラーケンとともにその手で討った少女・篠宮都の存在をめぐり、深月とリーザの間にわずかな空隙が生じる。対立、協調―そして温泉(!)。揺れ動く心を抱えながらも、彼女たちはミッドガルを護るために戦うが…!?「私が兄さんを守るんです!」「いいや、俺が守る」もう二度と届かないもの。今ここで育まれゆくもの。紅に染まった終末を越えて、それぞれの想いはどこへ向かうのか―。アンリミテッド学園バトルアクション第三弾!(「BOOK」データベースより)

 うわティアの「応援」つよい。
 正直、今回一番の萌えキャラはディラン少将だったのではないでしょうか。

 赤のバジリスクを討滅するにあたり、未だ親友を討った自分を許せずに居る深月と、その責任を一人で背負おうとする深月が許せないリーザのわだかまりが表面化することに。誰よりも仲間への情に熱い彼女だからこそ、深月を「許さないままでいる」という選択は必然のもので、だけどとてもつらい選択だったのだろうな。2巻から引き続きリーザ株がストップ高。

 自らをドラゴンと名乗る少女と、彼女が“母”と慕う謎の存在。そして不可解な動きを見せるドラゴンたち……と、今後の伏線となるのであろう謎が大量に提示されたお話。そして、時間を操ることで何もかもを奪ってしまう“赤”のバジリスクとの戦いが熱い。極限状況の中何度も試行錯誤を繰り返し、そして仲間たちの力で強敵を打ち破る展開なんて燃えざるをえないじゃないですか!

 最後に突きつけられた自らの記憶の“齟齬”の正体に、物部はどうやって向き合っていくのか。そしてイリスと深月どころかリーザやフィリルとのフラグまで乱立しはじめて本当にどうなってしまうのか。続きが楽しみです。


銃皇無尽のファフニール2 スカーレット・イノセント

 

“白”のリヴァイアサン撃退から約二週間。悠はうっかり妹の深月の裸を見てしまったりしつつ、クラスメイトたちとつかの間の日常を過ごしていた。そんな中、悠たちのもとに、新たなドラゴン―“赤”のバジリスクが動き出したという情報が入る。一方、時を同じくして、学園に二人の少女が転入してきた。そのうちの一人・ティアは、頭に二本の角を持ち、自らを人間ではなくドラゴンだと主張する。さらに彼女は悠の“お嫁さん”になると言い出して…!?「―わたしは、なあに?」「君は―可愛い、女の子、だよ」暗闇に居場所を探し続けた少女は、光に焦がれ、自らの存在の意味を見つけてゆく―。アンリミテッド学園バトルアクション第二弾! (「BOOK」データベースより)

 ドラゴンに立ち向かう“D”の少女たちを集めたミッドガルにやってきたただひとりの“D”少年・物部悠の物語。第二巻は悠がかつてスレイプニルにいた頃に見逃したDの少女が“赤”のバジリスクに見染められ、ミッドガルに保護されるというお話。

 「家族」への情に熱いDの少女達との出会いによって、両親を喪ったせいで人間に対して頑なな態度をとっていたティアが少しずつ「ドラゴン」から「人間」の少女へと戻っていく展開が胸に熱い。リーザはほんといい子……というかいいオンナだなあ。小説ではわりとさらっと流されてましたけど、アニメ版でティアを守って戦うリーザの姿がとてもかっこよかったです。

 イリスと悠のあまずっぱい初々しいカップルぶりや、深月・ティアを含めた恋の鞘当てというにはあまりに無邪気な関係性にニヤニヤが止まらないんだけど、それだけに、悠と深月の間に生まれた記憶の齟齬と、そこからすれ違いが生まれていくのが見ていて辛かった。かつての深月との“約束”をも手放してしまった悠が、自ら身を引こうとする深月を押しとどめる展開が皮肉すぎる。記憶の大切さを知っている悠だからこそ言える言葉で、だからこそ深月が「何を諦めようとしたのか」を悠が思い出すことができないのが本当に残酷だ……。


銃皇無尽のファフニール1 ドラゴンズ・エデン

 

突如現れたドラゴンと総称される怪物たちにより、世界は一変した―。やがて人間の中に、ドラゴンの力を持った“D”と呼ばれる異能の少女たちが生まれる。存在を秘匿された唯一の男の“D”である少年・物部悠は、“D”の少女たちが集まる学園・ミッドガルに強制的に放り込まれ、学園生の少女イリスの裸を見てしまう。さらに生き別れの妹・深月と再会した悠は、この学園に入学することになり…!?「本当にどうしようもなくなったら、俺がイリスを―殺してやる」「信じて…いいの?」最強の暗殺者になるはずだった少年と、落ちこぼれの少女が繰り広げる、“たった一つの物語”が幕を開ける―!アンリミテッド学園バトルアクション!(「BOOK」データベースより)

 アニメ・コミカライズで大まかな流れは知っていたんだけど、おもった以上にカットされた部分が多くて驚いた。本来女しかいないはずの「D」という特殊能力者。男でただひとりその能力を持っていた主人公の物部悠は軍でとある特殊部隊の一員として生きていた。ところが、任務として「D」の少女達が集う学校に呼び寄せられ……というお話。

 兵器としての教育を受け、今にも心を押し潰されそうになっていた悠が、ヒロイン・イリスと出会い、恋に落ちる事で自分の“人間”としての部分をどうしようもなく思い知り、すんでのところで救われるという流れが、なんというか凄くうつくしかった。アニメやコミカライズではなんでもない場面のように描かれている二人の出逢いの場面にこんな大きな意味があったとはと、改めて胸が熱くなる。

 その一方で、イリスと彼女が生きるセカイを守るため、“人間”として培った絆を手放して竜を殺すための兵器になっていくのが切なくて、やるせない。あと本当に悠の義妹である深月の想いが切なくて……この1巻の終わり方、凄く好きです。手放したくないものをピンポイントで喪っていく感じ、物凄くぞわぞわする。

 しかし元々、コミカライズで悠を“悪竜”として教育した張本人・ロキ少佐があまりにもいかがわしくてうっかり原作にまで手を出したわけですが、コミカライズともアニメともまた違った意味でロキ少佐がいかがわしかった……。ニブル時代の話がどうよみなおしてもこの身囚われても心までは囚われない系ほもなんですがどういうことなんですか?悠が地文で少佐を呼ぶ時の呼称が“彼”なんですがマジどういうことなんですか?“私の悪竜(と書いてファフニールと読みます)”ってやらしくないですか?心までは囚われないしイリスと出会って救われたんですけど、ミッドガルにきた今もなお身体に染み着いてる昔の男との関係性みたいなのまじなんなんですか…だ、大丈夫講ラノだよ!(震え声)

 アニメはロキ少佐のねっとりとしたボイスが大変いやらしく、コミカライズに至っては開始3Pでいきなりほもがはじまる(曲解)のでほんとうにわけがわからない。コミカライズはほんと開始3Pがちょっといみわからないのでほんと読んでください!!→公式サイトに1話試し読みがあります

スレイプニルはロキ少佐と8人の美少年達なんですかね……。
(悠のスレイプニル時代の番外編ください)


RIGHT×LIGHT 空っぽの手品師と半透明な飛行少女

[著]ツカサ [絵]近衛 乙嗣

船の事故で両親と妹を亡くした啓介は、妹の手を掴めなかった「右手」で掴んだ物を消してしまうという呪いにも似た力を得る。事件以来孤独を恐れ、周囲に怯えながら生きてきた彼はある日、自らを魔術師と名乗る半透明な少女・アリッサに出会い、何故か彼女にとり憑かれる羽目に!?
   個人的お気に入り度数
過去の事件がトラウマになってしまって、周囲の顔色をうかがいながら生きてきた主人公が前向きで正義感の強いアリッサと出会って変わっていくというとても素敵なボーイミーツガールものでした。最初は謎の“仮面”達に襲われているアリッサを見ても助けようとすらしないくらい臆病で酷薄だった啓介が、気持ちがいいくらい真っ直ぐなアリッサの物言いに共感して過去の自分を取り戻して、さらには過去の事件のトラウマから解き放たれていく…という過程は凄く直球な青春物語という感じでとっても素敵。

色々とトラウマとかグログロした展開もあり、魔術師達の話だけあってエグい展開も多少はありますが、表紙イラストから印象的な「空」のイメージが良く似合う、とても爽やかなお話でした。エピローグも綺麗にまとまってて…特に主人公が自らが作っていた「壁」を自覚する所なんかは凄く良かったです。

個人的にはいささか主人公の後半の行動がかなり唐突過ぎるのと、後半になるにつれて露骨に奈須きのこ臭がプンプンしてくるのはどうかなーと思ったりしますが、まあ面白かったので無問題です。よく判らない所でやたらと強調文字を使うのがちょっと厨臭いとか、後半の行動原理がもうどうしようもなくどっかの衛宮士郎だろとか、多分ツッコミしちゃいけない部分。強調表現は、地の文で十分に表現できていたと思うんで余計な事しない方が普通に良かった気がするんだけど。

ただ、「魔法」と「魔術」の定義の違いのあたりは、ちょっと説明不足気味なものを感じたかも。前述の奈須きのこ作品をはじめとして既存の作品でもそういう設定の作品がちょくちょくあるようなので説明不要と思われてるっぽい印象を受けましたが、そういう知識がまったく無い人には判り辛かったんじゃないでしょうか。

そんなこんなで全体的にバトルシーンがちょっとイマイチな印象を受けたのですが、ボーイミーツガールものとして読むと非常にツボな作品でした。イラストも雰囲気に合ってて、文句なし。続編が出るか、新作が出るときには是非ともバトル分薄めにした少年少女の成長物語を読んでみたいなあ。