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くますけと一緒に

[著]新井 素子

小学生四年生の成美は、未だにぬいぐるみが手放せないちょっと「普通じゃない」女の子。両親を交通事故で喪い、母の親友だった裕子さんの家に引き取られる事になったが、彼女には1つだけ不安があった。それは、ぬいぐるみの「くますけ」が両親を殺した「悪いぬいぐるみ」なんじゃないかということで……
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久しぶりに再読。初読は中学校低学年の頃で、私にとっての初新井素子作品。
(実際に持っているのは新潮文庫版ですが、書影があるので徳間版で…)

両親の愛に恵まれなかった所為で片時もぬいぐるみの「くますけ」を手放せなくて、ぬいぐるみと会話をしてしまうような女の子が、引き取られた家で少しずつ子供らしさを取り戻していく。しかし、死んでしまった両親の幽霊が夜な夜な彼女を苦しめて……というお話。中学時代に始めて読んだとき、主人公である成美に全く共感できず、彼女の電波的な部分ばかりが不気味な印象を残していたのだけど、そう感じられた中学時代の自分は物凄く家族に恵まれていたんだなあ。今読むと成美の異常性よりも「子育ての難しさ」とか「親から子供への愛情の大切さ」そういうものの方が印象に残る。

裕子さんが懸命に成美に「外で遊ぶ楽しさ」を教えようとしたり、成美に言われて仕方なく成美を引き取った晃一が少しずつ考えを変えて一生懸命彼女と触れ合おうとする、血は繋がっていないけれど少しずつ「親子」になっていく3人の姿が微笑ましいのに対して、成美が囚われてしまう「本当の両親」とのシーンはとにかく不気味で暗くて重い。母親の形見のネックレスに拘束されたくますけ、という悪夢の中の描写が得体の知れないこの「悪夢」の不気味さを端的に現しているように感じました。

何はともあれ彼女が悪夢から解放され、3人が本当の「親子」としての生活を送り始めてめでたしめでたし……と思いきや、エピローグで冷水ぶっかけられます。最後の最後で物凄いオチが貴方を待ってます。ぬいぐるみつええ。


これは決して「ヤンデレ幼女」の話ではない。
「ヤンぬいぐるみデレ」の物語である。

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