ブラック・キャットI | 今日もだらだら、読書日記。

ブラック・キャットI

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ブラックキャット (1)
[著]新井 素子 [表紙]石関 詠子 [絵]山崎 博海
集英社 1984-01

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某ジャンプの萌え漫画ではないのであしからず(笑)

調べてみたらこのシリーズ、10年ぶりの新刊発行なんですよ。
通常の本も私が高校生時代に出た「チグリスとユーフラテス」が最後で止まってて
新潮とかだと既に概巻が軒並み絶版状態になり・・・
そんな状態で文庫が平積みになっていたので喜び勇んで買ってきてしまいました。

それで、第一巻。表題作「ブラックキャット」と短編が数作収録。
挿絵は今の新潮文庫みたいな感じの絵で、今のライトノベルからは一線画した感じ(3巻で挿絵変わりますが)
それもそのはず。この本って初版20年前なんですよねえ。そりゃ古く感じるはずだ。
ご当人があとがきで「短編は苦手」と書かれていますが確かに長編の方が面白い感じ。
でも、短編は短編でまた長編とは全然違ったテイストで楽しめて、面白かったです。

盗むとき以外は不器用なスリの千秋、運動の出来ない泥棒「キャット」、人が殺せない殺し屋の明拓。このまさに「三重苦」な3人が協力して怪盗ブラックキャットとして宝石を盗み出すという話。三人とも技術としては超一流なんだけど、どこか変わっているというかなんというか。まず「スリなのに不器用」とか「泥棒なのに運動できない」なんて設定からしてかなり好み。あとは、根本的に新井素子さんの書くストーリー、キャラクター、世界観に私が惚れ込んじゃってるんで。悪役が居ても、どこか憎めない。そんな雰囲気とか世界観とか。
更にどうしようもなく文章の語り口が好きなんです。

もうちっとも本の紹介になってませんが、是非ご一読を。本当に面白いから。

話は変わって、短編の方の感想。
これ、まず読んで感じたのが「素子さんの本なのに一人称じゃない!」でした(笑)確かに主人公の一人称じゃない小説も結構あったんですよ。「チグリスとユーフラテス」とか「おしまいの日」なんかもそう。でも、それにしてもなんだか喋り言葉を聞いているような、そんな独特の文の書き方じゃないんですよね。

個人的には「チューリップ」と「でんしゃのあいちゃん」が好きだったかな。
どっちも後味的にはかなり怖い、ホラーっぽい話なのですが・・・
起こった事件自体は非常に残酷なのに、この人が書くと全然誰が悪いって雰囲気じゃなくなってしまうのです。
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