ドラゴンに立ち向かう“D”の少女たちを集めたミッドガルにやってきたただひとりの“D”少年・物部悠の物語。第二巻は悠がかつてスレイプニルにいた頃に見逃したDの少女が“赤”のバジリスクに見染められ、ミッドガルに保護されるというお話。
「家族」への情に熱いDの少女達との出会いによって、両親を喪ったせいで人間に対して頑なな態度をとっていたティアが少しずつ「ドラゴン」から「人間」の少女へと戻っていく展開が胸に熱い。リーザはほんといい子……というかいいオンナだなあ。小説ではわりとさらっと流されてましたけど、アニメ版でティアを守って戦うリーザの姿がとてもかっこよかったです。
イリスと悠のあまずっぱい初々しいカップルぶりや、深月・ティアを含めた恋の鞘当てというにはあまりに無邪気な関係性にニヤニヤが止まらないんだけど、それだけに、悠と深月の間に生まれた記憶の齟齬と、そこからすれ違いが生まれていくのが見ていて辛かった。かつての深月との“約束”をも手放してしまった悠が、自ら身を引こうとする深月を押しとどめる展開が皮肉すぎる。記憶の大切さを知っている悠だからこそ言える言葉で、だからこそ深月が「何を諦めようとしたのか」を悠が思い出すことができないのが本当に残酷だ……。
銃皇無尽のファフニール2 スカーレット・イノセント
著
ツカサ絵
梱枝 りこ“白”のリヴァイアサン撃退から約二週間。悠はうっかり妹の深月の裸を見てしまったりしつつ、クラスメイトたちとつかの間の日常を過ごしていた。そんな中、悠たちのもとに、新たなドラゴン―“赤”のバジリスクが動き出したという情報が入る。一方、時を同じくして、学園に二人の少女が転入してきた。そのうちの一人・ティアは、頭に二本の角を持ち、自らを人間ではなくドラゴンだと主張する。さらに彼女は悠の“お嫁さん”になると言い出して…!?「―わたしは、なあに?」「君は―可愛い、女の子、だよ」暗闇に居場所を探し続けた少女は、光に焦がれ、自らの存在の意味を見つけてゆく―。アンリミテッド学園バトルアクション第二弾! (「BOOK」データベースより)