冬休みを間近に、念願のCクラスへの昇格が現実的なものとなり浮かれるDクラスの面々。その一方で、真鍋の存在から容疑者を絞り込んだ龍園がいよいよ堀北の後ろに居る「黒幕」を燻り出そうと、不穏な動きを見せ始めていた。龍園との鬼ごっこが続く中、茶柱先生に呼び出された綾小路は因縁の男と再開を果たして……。
いよいよ綾小路の過去に迫るシリーズ8巻。もう割とこれまで綾小路の出生に関するヒントは色々なところでばら撒かれていたので色々と「ああやっぱりな」という感じではあった(あとアニメが割とずばっと映像で出してた)のですが、父親からの接触によって「堀北達の後ろからAクラスを目指すのに力を貸す」という綾小路の立ち位置に変化が生じてしまう。というか会話の流れからしたら茶柱先生の言うことを聞いてクラスの中心人物として悪目立ちして退学処分を食らうのが一番相手が狙ってきそうな展開だし、言うこと聞かなくても退学にされる流れはなさそうだし…で、そりゃ綾小路としては降りるよな。
ただ、綾小路が円満に表舞台からフェードアウトするためには現在自分を燻り出そうとしている龍園と決着をつけるしかない。一方、龍園は綾小路と繋がりがある軽井沢の過去のトラウマを抉ることで「黒幕」の正体を暴こうとして……完璧なタイミングで軽井沢のピンチを前にして現れるところとか本当にまるで主人公みたいなんですけど(主人公だよ)お前それ出ていくタイミングまで図って全部計算ずくでやってるのが本当に最低だな!?軽井沢が完全にヒロインだし最高に可愛かったけどぶっちゃけ調教済み感も漂っており、正直「この男はやめておいたほうがいいよ!?」と真顔でアドバイスしたくなってしまう。Cクラスとの対決の方もなんか綺麗に収まったようにみえてお前そのモノローグでだいなしだよ!!そこがいいんだけど!!
屈強な肉体と鋼のメンタルを持つ龍園が肉体的にもメンタル的にも綾小路の前に完全敗北するの最高でしたしそこに付随する挿絵が本当に本当に本当に最高なんですが正直この挿絵の話だけで一時間くらい語れるので駄目。怯えを含んだ龍園の表情に対して、殴ってる綾小路の方が1ミリも表情変えてないのが性癖直撃すぎて駄目です。そもそもこのシリーズを読んだきっかけはここの挿絵を見せてもらったせいなんですけどその場で「この挿絵を見るために読みます」といって7巻まで買った私なかなかチョロいなと思いました。好みが把握されすぎている。
しかし、この形で内々に龍園率いるCクラスとの決着を付けたのも全ては今後自分が表舞台から姿を消すための布石なわけで、色んな意味で今後どうなるんだ。このまま淡々と綾小路を中心にしたラブコメ学園ラノベになるわけはなし、今回一切動きを見せなかった櫛田の様子も気になるし、生徒会長との約束というのはおそらく生徒会関連のアレの話かなとおもうのでまだまだ掘北との関係は疎遠にならないとはおもうんですけど。
それにしても、綾小路グループもいいんだけどやっぱり須藤達と疎遠になったの寂しいな〜。綾小路が部屋を片付けてるシーンでホロリとしてしまった……。
ようこそ実力至上主義の教室へ7
著
衣笠 彰梧絵
トモセシュンサク2学期も終了間近の12月半ば、Dクラスを裏で操る存在Xの特定のため、Cクラス龍園の執拗な調査が開始された。高円寺までもが疑いの対象となり、ターゲットが絞られる中、ついに龍園の魔の手は軽井沢恵に迫り…。そのような状況で清隆は唐突に茶柱先生に呼び止められる。珍しく弱気な表情の茶柱が案内した先にいたのは―「既に退学届は用意させてある。校長とも話がついている。後はおまえがイエスと言えばそれで終わりだ」「あんたの命令が絶対だったのはホワイトルームの中での話だろ。あの部屋はもうない。命令を聞く必要もない」退学を迫る清隆の父親、そして学校の理事長から、秘められた高度育成高等学校のシステムが語られ―!? (「BOOK」データベースより)