ヴィエレヒト司教領で勃発した次期大司教の座を掛けた争い。殺された元大司教の娘・ヘンリエッテは父の無念を晴らすため次期大司教を目指す事を決意する。だが、その道には多くの困難が待ち構えていた。カレルは、彼女との縁談を持ちかけられたコルネリウスを伴い内乱を鎮圧するためヴィエレヒト司教領に向かう。
コルネリウスとヘンリエッテの関係性がめちゃくちゃ好き!!子供らしからぬ態度で大司教の座を望む彼女と、そんな彼女を不器用ながらも年相応の少女として扱い、護ろうとするコルネリウスが不器用ながら少しずつ距離を縮めていくさまが最高に良かった。幼くして大人の世界に足を踏み入れなければならないヘンリエッテにとって、コルネリウスが唯一本音を見せられる存在になっていくのがとても良い。
今回はカレルとヴェッセル、二人の立場の微妙な違いが透けて見えるのも楽しかったです。味方同士でありながらもどこか腹の探り合いをしているというか、今はただ「思惑が一致しているから共闘している」にすぎないんだよなあと。ひたむきに魔王が襲来するという未来に備えて五芒国の平定に突き進もうとするカレルと、ちょっと引いた立場で魔王を倒した「その後」の各国のパワーバランスまで計算しているヴェッセルの動きが印象的でした。それにしてもラストのヴェッセル挿絵のこの会心のドヤ顔最高かな?
それにしても、無事に4巻が出てよかった。明らかに妊娠フラグを感じるセシリアや側室フラグ立ってるミーリエルやら女性陣の今後の動きも気になる所。というわけで、富士見書房様におかれましては5巻もよろしくお願いします……。