たとえ望まれていなかったとしても。PTAからの要請によって窮地に陥ったプロムを成功に導くため、雪乃とは違う形で動くことを決意した八幡。当て馬目的で別のプロム企画を立ち上げ、わざとPTA側の目に留めさせ危険視させることで本命のプロム中止を食い止めようと画策するが……。
終わりを感じさせる展開に、しんみりしてしまう
様々な意味で懐かしい人達が登場し、そこに終わりを感じさせられてしまうラスト直前の巻。玉縄・折本はもちろんだけど、地文でそれとなく差し込まれる相模や鶴見の名前、腐女子キャラをかぶっていない海老名さんの登場で自然とこれまでのエピソードを思い出させていくのはなんていうか凄く物語の構成が上手いなあと……割と13巻を読むまでにブランクがあったので、自然とエピソードを思い出せることにびっくりしました。ところで久しぶりに濃厚な葉山と八幡の絡み愛(海老名さん的視点)を目の当たりにした気がしますが、他の人の目のあるところで厭味の応酬する葉山と八幡なんだこれ完全にただイチャついてるだけじゃない???あとわたりんは過去に深い傷を持つ優等生タイプに巨大感情持たせるの好きすぎじゃない???(クオリディアの方を見ながら) 葉山くんの理解度で八幡と張り合っちゃう戸部が可愛い。
それは果たして「成長」か「間違い」か。
危なっかしい部分は感じながらも周囲の「協力」を仰ぎながら展開される八幡の作戦が新鮮。その彼の行動は確かにこの1年で得た「成長」といっていいはずなんだけど、周りがことごとく描いた絵面のようには動いてくれなかったりと不安要素は多く、これを素直に「正解」と捉えてしまって良いのか不安な気持ちにさせられる。ぶっちゃけこれまで通り八幡が一人で抱え込んで突っ走っていたら、周囲に様々な禍根を残しつつもダミープロムの計画は滞りなく目的を完遂していたと思うんですよね。致命的な間違いをどこかで見落としているような、そんな気持ちが消せない。それはそうとダミープロム企画が正直楽しそうすぎて全くそういう状況ではないんだけどワクワクしてしまった。いやもう頓挫するところまで想定内で、好き勝手に夢ドカ盛りした架空の企画作るの絶対楽しいやつじゃないですか!!!巻き込まれた遊戯研が割と文句言いながらもノリノリなのわかりすぎる。泣いても笑ってもあと1冊!!
まちがった関係を正して関係性の決着を望む雪乃とこのままでいたいと願う結衣、思い悩む八幡がそれぞれにすれ違う姿が印象的。今回はほぼずっと一緒に居た八幡と結衣も正直なにか噛み合ってない感じがして、それがまた不安を想起させる。八幡と雪乃の勝負には一応の決着が着いたけどいろいろな意味でこのまま終わるとは思えない。雪乃からバトンを託された結衣がどう動くのか、本当にあと1冊でどう決着をつけるのか、楽しみなような怖いような……。というか11巻の序盤読んでた頃はこんな終わりの間際になってこんなしんどい話をぶちこまれるとはちょっと思ってなかったですよね!!シリーズ中盤で八幡が一人で突っ走って奉仕部内がギスギスしてた頃はしんどくてもまだ彼らが再び手を取り合う日を信じて読めたんですけど、今回はそこかしこで奉仕部の終わりを見せつけられていくので、別種のしんどさがある。本当に最後これどうなってしまうんだ……。