バレンタインの水族館でのやりとりをきっかけに、雪乃は母と向き合うことを決めた。妹・小町の受験も一段落したころ、一色いろはから奉仕部にとある依頼が持ち込まれて──終わりの始まりの巻。今月いよいよ完結巻が出るとのことで慌てて読みました。
割といろいろな意味で10巻までが激動の連続で、11巻もラストが爆弾で、そこから始まった12巻は小町の受験やらいろはの持ち込んだ卒業パーティ(プロム)の依頼やらと、どこかこれまでと違った空気を感じさせながらも思ったよりも穏やかな日々が続いていて。水族館のあの日に彼らは戻れないところまで進んでしまったはずなのに、少しなかだるみ感すら感じて。でも、最後の最後で奉仕部の関係に致命傷を与えかねない最大級の爆弾が落ちてきたなと言う感じでした。穏やかで停滞したところから急転直下で転がり落ちていく展開が凄まじい。
最後まで読んでから改めて思い起こせば、小町の受験をめぐる比企谷兄妹のやりとりが濃厚に描かれたのも、葉山やいろはとのとの何気ないやりとりも、最後の陽乃さんの一言のためのお膳立てでしかなかったのだろうと。そしてその言葉は比企谷八幡にとっては一番忌憚していた関係のはずで。年度代わりを前に否応なく変わりゆく人間関係の中で、三人それぞれの葛藤が胸に痛かった。どうなるんだこれ。
陽乃さんの言葉はラストのアレもそうなんですけど個人的には酒に関するやりとりが最高にキたといいますか、そうわかる陽乃さんも八幡もそっちのタイプだよな〜〜ガハマさんとか普通にめちゃくちゃ泣き上戸になりそうだけどあなたたちそっちのタイプだよな〜〜〜…………とてもつらい。
「けど、たぶん君もそうだよ。……予言してあげる。君は酔えない」