各クラスに大きな衝撃を与えた『学年末特別試験』が終了。多くの生徒が釈然としないまま春休みに突入する高度育成高校。ついにAクラスに昇格した堀北クラスだが、綾小路を中心に生徒達の多くは疑心に囚われたままになっていた。一方、綾小路は兼ねてからの「計画」を実行に移すために動き出して……。
軽井沢…坂柳……堀北……一之瀬……一之瀬ェ!!!
2年生編の諸々に決着を付ける完結編であると同時に3年生編への準備回でもある春休みのエピソード。学年末試験の後始末、軽井沢との映画デート、一之瀬との「約束」、そして予想外にぶち込まれた三者面談──これまでの巻でも語られてきた予定通りの物語ではあったけど、予想を大きく超える展開も多くて楽しかった!何よりも、ここから見えてきた3年生編の勢力図が予想外過ぎて楽しみすぎる。軽井沢と綾小路のお別れデートはもう、予想は出来ていたけどツラかったなぁ。いずれこうなることは見えていたけど、デートに向かおうとして少しだけ足が動かなくなった綾小路、一人称から僅かに漏れ出る未練……あと一歩なにかが違えばなんとかなっていた気がしなくもないのが辛いんですよね。そのなにかがどうにもならなかった結果がこれだし、正直綾小路の一人称なんてどこまで信用して良いのかわかりませんが。でも、軽井沢の一人称と重ねるように連ねられた綾小路の一人称、どこかに本心が混ざっていたことを期待してしまうな。(でも綾小路だからなあ……)
ちなみに12.5巻と同日発売の1年生編ガイドブックに付き合いたての軽井沢と綾小路のゲロ甘SSが掲載されているので是非読んでほしい。よう実フェスタの特典冊子で、あまりのいちゃこらぶりに読んでひっくり返ったやつ。これをこのタイミングで出してくるの酷くない!?
そして軽井沢とは対象的に、綾小路の予想を大きく超える形で再起した一之瀬と、彼の事情を知りながらも綾小路と「いつかの再会」を誓って学園を去る坂柳……いろいろな意味で今回はこのふたりのヒロインに全部持っていかれた感が凄い。壮絶なヒロインレースの裏で仄かな恋心を自覚した堀北は太刀打ちできるのか!?例によって1年生編11.5に引き続きまた最後の挿絵がめちゃくちゃに凶悪で最高に興奮した。(こういう挿絵きそ〜〜ってやつがピンポイントできたよね)
余談ですがこれまで以上に綾小路への対抗心を燃やすであろう龍園、さりげなく名前呼びから苗字呼びに戻ってて好感度の低下が著しそうな気配しかしない平田……綾小路との男子生徒との関係性も色々と不安になる展開の中、石崎だけがマジで態度変えないで付き合ってくれるの癒やしでしたね。綾小路が「平穏な学園生活」を送れるのなら彼らの横がいい……と内心で吐露しているのが印象的で。綾小路グループの崩壊は綾小路の実力開示がそもそものきっかけだったし、自分の実力や本心をある程度見せているのに同じ態度で接してくれる石崎達Cクラスって本当に居心地良いんだろうなあ。
激動の2年生編終了→3年生編が楽しみすぎ
学年末試験の結果を経て上位クラスに躍り出た堀北・龍園クラス、そして下位クラスに転落した坂柳・一之瀬クラス。2年生編開始時の構図を思い出すと本当にどうしてこうなったとしかいいようがないくらいの激動の一年間でした。一方外野では星ノ宮先生と茶柱先生の対立が浮き彫りになり、綾小路父・高円寺父が密談を交わしていて……三者面談周りの話は堀北クラスのお荷物でなかった高円寺を動かすためのお膳立てを外部が丁寧に立てましたといわんばかりの展開だったし、坂柳の「またお会いしましょう」発言も含めて3年生編ではこれまで以上に外部の思惑が絡んできそう。綾小路父が何もしないとかいってるの逆に信用できないでしょマジで。でも外部が動いてる分、ホワイトルームに戻るしか道のなかった綾小路の進路にも何かが見えかけている気がするわけで……。そして作中期間半年前後かけて匂わせ続けてきた綾小路のクラス移動大作戦。移動先は概ね予想通りの感じなんだけど予想以上にハンデを背負った状態で、知り合いもあまり居ない状態で再スタート。ただ、Aクラスに上がって盤石だと思われていた堀北クラスは本人達も知らぬ間に最大の功労者を失い、龍園クラスにも色々脆そうな部分が示唆され、脱落寸前だと思われていた一之瀬クラスはリーダーの再起によりこれまで以上の強敵になりそうで……綾小路の目論見通り、本当にどのクラスが最後に勝っても全くおかしくない、文字通りの四つ巴状態になってるの凄い。
いろいろな意味で3年生編どうなってしまうのか先が見えなくて楽しみすぎる!!