“壁井 ユカコ” の検索結果 | 今日もだらだら、読書日記。

キーワード:壁井 ユカコ (8 件 / 1 ページ)

K -Lost Small World-

 

中学一年の八田美咲は、寡黙な同級生、伏見猿比古に惹きつけられていた。この偏食の眼鏡少年は、八田にはない聡明さを持っていたから。伏見もまた、次第に八田を必要とするようになっていった。この小柄な少年は、伏見の持たない不思議なエネルギーと優しさを持っていたから―。彼らの小さな冒険。そして、より大きな力への憧れ。だが、彼らが少年だけの世界から抜け出した時、待っていたのは、決別だった―。TVアニメ『K』オリジナル小説第4弾! (「BOOK」データベースより)

 テレビアニメ「K」の前日譚ノベライズ第四弾。中学一年生の八田と伏見が出会い、かけがえのない親友となり、共に“吠舞羅”に入り、決別するまでの物語。

 最初は同じものを見ていたはずの2人の関係が少しずつすれ違っていき、“吠舞羅”にはいった事で致命的な亀裂を生んでいく。その亀裂に気づき、同時に八田への強い執着を覗かせる伏見の葛藤に微塵も気づかず、伏見もまた当然のように周防の事を慕っていると信じて疑わない八田という構図は「SIDE:RED」や「メモリー・オブ・レッド」でも繰り返し描かれているものなんだけど、改めてその構図にヤキモキする。というかしょっぱなから八田は伏見と仲良くなるきっかけの所からして全く同じ過ちをおかしてるのにも関わらず学習しないの凄い、それだけのことがあっても身内として内に抱き込んだ人間を疑わないのは八田のいいところでもあるんだろうけど。

 これ、「K」が八田主役の物語だったら、八田が精神的に成長して伏見と不健全じゃない信頼関係を築く話になってたんだろうな……っておもうと、彼は主役じゃないのが最大の悲劇な気がする。正直、二人の関係性はかなり序盤からどこか健全な関係ではなかったとおもうし、伏見が自覚する前から彼らのすれ違いは始まっていたのだとおもう。“吠舞羅”に入る前、《jungle》と対決しようとしたときに、伏見が「上手く行かなかったら宇宙船作って太陽に突っ込もう(突っ込んで死のう)」と言うのに対して、伏見なら太陽に突っ込んでも大丈夫な「超かっこいい宇宙船」を作ってくれると無邪気に信じている八田の返しが、既に未来を象徴しているように思えた。

 たったひとりの親友だった八田が周防に心酔していく姿への苛立ち、あらゆる面で叶わない周防への畏怖。同じ思いを共有できない事からくる疎外感と後ろめたさ。よくも悪くも周防のカリスマで成り立っている組織の中で浮いた存在となっていった伏見が「青」の王・宗像と出会ってそのありかたに惹かれていくのはどうしようもないことのような気がする。アニメを見た感じでは酷く淡白のようにみえる宗像と伏見の関係だけど、なんだかんだで伏見は宗像という「王」に惹かれてあの組織に入ったんだなあ。赤のメンツとは対称的な2人のやりとりと、2人の王の間で選択を迫られた伏見の取り乱す姿が物凄く好き。

 縮めようのない亀裂を描き、伏見の離反という形の関係性の崩壊によって締めくくられる物語だけど、最後に加えられたエピローグの物語が彼らの新たな「物語」を感じずには居られないもので、胸が熱くなった。劇場版でもその後でも、彼らが再び手を取り合う日が来る事を願わずにはいられません。


2.43 清陰高校男子バレー部

 

まぶしいほどに純粋、てれくさいほど真っ直ぐな青春小説、誕生! 東京の強豪中学バレーチームで仲間を自殺未遂に追い込んでしまった灰島公誓は、 子供時代を過ごした母方の郷里・福井に転居し、幼なじみの黒羽祐仁と再会。 ずばぬけた身体能力を持ちながらプレッシャーに弱い黒羽と、バレーへの圧倒的な 情熱と才能ゆえに周囲との摩擦を引き起こしてばかりの灰島はエースコンビとして 成長していく。 だが、中学最後の県大会で二人は衝突。絶縁状態のまま、やがて地元の 清陰高校に共に進学する。 身長163cmの熱血主将小田と身長193cmのクールな副主将 青木の凸凹コンビや日光アレルギーで常に長袖長ズボンの2年生棺野らと出会い、 黒羽と灰島はもう一度バレーで全国を目指すが……

 従兄弟の腰巾着しながら適当に生きていた黒羽はひょんなことから東京に転校して戻ってきた幼なじみ・灰島につきあってバレー部の活動に精を出すことに。ところが、そこには様々な困難が待ち受けていた。思った事をそのまま口に出してしまう性格と高すぎる能力ゆえに周囲から浮き上がりがちな天才セッター・灰島と、身体能力は高いがプレッシャーに弱いおぼっちゃん体質のアタッカー・黒羽がすれ違いや衝突を繰り返しながら名コンビへと成長していくお話。

 黒羽・灰島を中心に様々なコンプレックスやトラウマを抱えた登場人物たちがそれぞれの形でそれを克服し、1つの強い「チーム」へとまとまっていく姿に胸がアツくなる。中学時代の歯車が合おうとする度に上手くかみ合わない鬱屈した展開が結構ツラいんだけど、離れている間にもお互いへの強い執着を隠しきれていない態度が!!もうね!!!最初は二人の仲を邪魔するばかりだったドラ従兄弟の頼道がだんだんデレていくのにはニヤニヤせざるをえない。

 メイン2人の物語も荊と棺野のすれ違いラブコメ具合も凄く美味しかったけど、高校編に入ってからの小田・青木の関係性が物凄く好きで……この2人メインのスピンオフください!!黒羽・灰島にも似たような事言えるけどお互いに憧憬しあいながらも同時に強いコンプレックスを抱きあう関係ってとっても美味しいです。あとエピローグの青木が意味深すぎるんですがどういうことなんですか。

 スポーツに掛ける少年少女の熱い思いと成長と、それだけでは収まらない人間関係のあれこれがとても楽しかったです。


4088704533 ところで「バレーボールもの」というとどうしてもいま『ハイキュー!』を思い出すわけなのでとりあえず一緒に並べてオススメしておきますね!!

 最初敵として出会った影山と日向がどんどん名コンビとして成長していく課程がたまらないのですがそれ以上に、チームメイトや先輩達、敵として出会う他校チームのひとりひとりそれぞれから熱い思いが伝わってくるのがもうほんと凄くて、大好きなマンガです。


NO CALL NO LIFE

 

ある日、有海の携帯に残っていた奇妙な間違い電話。何故か着信履歴には10年前の日付けが記されており、留守電には母親の帰りを待つ男の子のメッセージが残されていた。その間違い電話に導かれるようにして向かった東京湾を望む埠頭で、有海は2つ年上の春川と出会い……

まろんさんに背中を押されて、7月末の文庫化を前にいまさらながら読んでみた。発売日に買ったまま3年弱積んで熟成してたのは内緒だよ!

過去のとある出来事のせいで心に深い傷を持つ二人・有海と春川が織りなす、今にも擦り切れそうな青春と恋の物語。不思議な留守番電話を巡るミステリーっぽいお話を想像していたら、ものすごく青春でサツバツで病んでました。そうかこれは退廃的といえば良いのか…(←最後はざっと感想サイトを巡っての感想)

有海と春川が少しずつ近づいて行き、とある事件をきっかけに同棲するようになるのですが、読んでいる方には明らかに終わりの見えてしまっている二人の刹那的な幸せがなんともやるせない。もちろん当人達にもこの生活を長く続けられないことは判っているはずなのですが…「無敵になった気分」「怖いものなんて何もない」と根拠なんか何もない万能感に満たされている二人を見ると、ますますやるせなくなってしまう。

「欠落を埋め合っているような気がする」という言葉とは反対に、同じ場所にある欠落をただ舐め合っているだけの二人の姿を見ると作中で有海の従兄が言うとおり正直「一緒にならない方が良い」二人ではあるのだけど、あまりにも幸せそうな二人を眺めていると、“こういう形もありなのかもしれない”と思ってしまう不思議。でもやっぱり、二人の関係を見ているとその先には“何もない”のが判ってしまってなんともやるせない気分になってしまいます。

ラストは、ある意味ベタな展開だとは思うけど泣いた。
もっと本当の意味で幸せになった二人の姿が見てみたかったけど、心に残るエピローグでした。


カスタム・チャイルド

オンライン書店ビーケーワン:カスタム・チャイルドカスタム・チャイルド

発売:2005.4
発行:メディアワークス
[著]壁井 ユカコ [絵]鈴木 次郎
posted with 簡単リンクくん at 2006. 8. 2
壁井ユカコさんというとどうにも
なんてありがたい神様なんだろう、死んじゃえ
があまりにも強烈過ぎて、というかこの台詞が印象強すぎたんだか
キーリの印象これしか残ってないとかそんな状態なんですが
ぶっちゃけ壁井さんの作品だと気づいたのは購入後だったとか
更に挿絵が「アキハバラ奮闘記」でお馴染みの鈴木次郎さんだったのも購入後に気づいたとか
兎に角私の中ではお馴染みの方々が書いているのに全然気付いてなかったというか(笑)

ストーリーは遺伝子改造が一般化した近未来で繰り広げられる、
ボーイミーツガールストーリーっていうかラブコメっていうか。
良くも悪くも王道展開なので安心出来るといえば安心出来るみたいな(笑)
我侭な女王様タイプの女の子に振り回されるヘタレな青年という構図は
かなり大好きなタイプの王道なので私は楽しめました。

ただ、電話ボックスのシーンは「リバーズエンド」の1巻を髣髴してしょうがなかったような。
もうリバーズエンド読んだの何年も前なのであまり覚えてないですけど。
いや、普通にじーんと来ましたけど(笑)

また、生まれる前に遺伝子操作するというのが普及した世界…という設定は
斬新じゃないのかもしれないのけど考えさせられました。
あそこまでいくとある意味子供も商品だよなというか、
本当になんだか作中での「子供」の扱いが商品とかペットの扱いに近くて。
なんかこんな未来が本当に来ちゃったら嫌だなあ。

個人的にはかなりマドカが可愛くて、彼女の行動を追っているだけでも楽しかったです。
ストーリーはありがちというか王道というかなのですが、キャラが立ってるように思えました。


「私の好きな」ライトノベル・オールタイムベスト・75(草稿)

ラノベオールタイムベスト100の話題を見かけてからずっと「自分のオールタイムベスト100を作りたい」と思っていたのですがいつもの調子で紹介入りで記事化すると地獄のように長い記事になるので体力があれば夏コミで本にしようかな……と思っていたのですが、そのうち普通に「自分のオールタイムベスト100」の流れが界隈に来たので取り急ぎ出します。コミケで紹介本……というのは割と真面目に考えているのでもし覚えていたら夏コミ1日目のFC小説島をチェックしてみてくださいね(まだ本が出るとは言ってない)

なお、100タイトル選ぶつもりで85まで選んだところで「これは無理に100にするよりもここから少し削ってまとめたほうが正しいな……」という気持ちになってきたので75に削って出します。夏コミで本当に本にするなら改めて100にするかもしれないし50くらいまで更に削って出すかもしれない。そして好きな順・刊行順ではなくだいたい私が読んだ年代順です。

1990年代

1:神坂一「スレイヤーズ」「このジャンル」を認識した始まりの一作
2:山本剛「魔導物語」良きノベライズ
3:神坂一「闇の運命を背負う者」
4:新井素子「グリーン・レクイエム」続編の「緑幻想」が特に好き。
5:あかほりさとる「セイバーマリオネットJ」
6:久美沙織「MOTHER2 ギーグの逆襲」MOTHERがBROTHERになってしまう。
7:北条風奈「小説TWINSIGNAL」シンガポール行きたくなる!!!2巻が特に好き。
8:神坂一「ロスト・ユニバース」
9:庄司卓「倒凶十将伝」

2000年代

10:時雨沢恵一「キノの旅」
11:中村恵里加「ダブルブリッド」オールタイムベストスリーには余裕で入る
12:椎野美由貴「バイトでウィザード」
13:甲田学人「Missing」
14:神野オキナ「シックス・ボルト」
15:杉原智則「頭蓋骨のホーリーグレイル」
16:有沢まみず「インフィニティ・ゼロ」
17:鈴木鈴「吸血鬼のおしごと」
18:木ノ歌詠「カラっぽの僕に、君はうたう。 フォルマント・ブルー」
19:川上稔「AHEADシリーズ 終わりのクロニクル」電子書籍化待ってる…
20:賀東招二「フルメタル・パニック!」
21:岩井恭平「消閑の挑戦者」
22:岩井恭平「ムシウタ」
23:三上延「シャドウテイカー」このへんの三上延作品セット買い。
24:後藤リウ「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」この本があったから18年待てたんだとおもう
25:藤原祐「レジンキャストミルク」殊子先輩が好きだ
26:風見周「殺×愛 ─きるらぶ─」
27:高殿円「カーリー」
28:土橋真二郎「扉の外」
29:喬林知「まるマシリーズ」三男派
30:虚淵玄「Fate/Zero」
31:林トモアキ「戦闘城塞マスラヲ」
32:井上堅二「バカとテストと召喚獣」
33:水瀬葉月「ぼくと魔女式アポカリプス」
34:菊池たけし「アリアンロッド・リプレイ・ルージュ」TRPGリプレイの中ではこれが一番好き。
35:神坂一「ドアーズ まぜこぜ修繕屋」神坂一挙げすぎってそろそろ思ってるよね。わかるよ。
36:小野上明夜「死神姫の再婚」
37:葵せきな「碧陽学園生徒会シリーズ」正式名称を使うめんどくせえオタク
38:田口仙年堂「吉永さん家のガーゴイル」最後の名乗りのカタルシスよ
39:平坂読「ラノベ部」平坂先生のリレー小説描写は神
40:田口仙年堂「魔王城」電子書籍化して!!!!!!!!
41:杉井光「さよならピアノソナタ」火目の巫女とどっちにするか悩んだ
42:田尾典丈「ギャルゲヱの世界よ、ようこそ!」
43:うえお久光「紫色のクオリア」
44:壱月龍一「ラ・のべつまくなし」
45:渡島健康「魔王様げ〜む!」

2010年代

46:本田誠「空色パンデミック」こっちも電子書籍化して!!!!!!!!
47:あざの耕平「東京レイヴンズ」
48:海羽超史郎「STEINS;GATE‐シュタインズ・ゲート‐」続編「比翼連理のアンダーリン」が特に好き
49:柳実冬貴「Re(アールイー): バカは世界を救えるか?」
50:森 美紗乃「奥様は貴腐人 旦那様はボイスマイスター」
51:かじいたかし「僕の妹は漢字が読める」異色の萌えディストピアSF
52:和ヶ原聡司「はたらく魔王さま!」
53:大樹連司「ボンクラーズ、ドントクライ」甘酸っぱくてほろ苦い青春の三角形。
54:夕鷺かのう「(仮)花嫁のやんごとなき事情」
55:渡航「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」
56:榎宮祐「ノーゲーム・ノーライフ」
57:賀東招二「甘城ブリリアントパーク」続きが読みたい……
58:壁井 ユカコ(GoRA)「K -Lost Small World-」男二人の依存関係とすれ違いと
59:ツカサ「銃皇無尽のファフニール」
60:羊太郎「ロクでなし魔術講師と禁忌教典」
61:望公太「最強喰いのダークヒーロー」
62:speakeasy(さがら総・橘公司・渡航)「クオリディア・コード」前日譚も本編も全部違う味わいがある
63:望公太「ラノベのプロ!」良い幼馴染ラノベだった
64:瀧ことは「腐男子先生!!!!!」書籍版完結してよかった……
65:師走トオル「ファイフステル・サーガ」
66:瘤久保慎司「錆喰いビスコ」3巻までしか読んでないんだけどその3冊がメチャクチャに好き
67:衣笠彰梧「ようこそ実力至上主義の教室へ」

2020年〜

68:二月公「声優ラジオのウラオモテ」
69:七夕さとり「悪役令嬢レベル99 〜私は裏ボスですが魔王ではありません〜」
70:有象利路「サキュバスとニート」このへんの有象利路作品も著者セット枠。
71:紫大悟「魔王2099」
72:七斗七「VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた」
73:鏡 貴也「伝説の勇者の伝説」令和になってから読んだ。
74:南野 海風「魔術師クノンは見えている」
75:とくめい「アラサーがVTuberになった話。」


2013年に面白かったライトノベル7選

 大変遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

 新年の恒例行事ですが2013年に読んだライトノベルから面白かったものをいくつか。試しに計算したら2012年の125冊からガクッと落ちて2013年は69冊しか本を読んでいなかったので控えめです。控えめですが色々思うところはあったので情熱はつめたつもりです。またお前その作品かっていうのも混ざってますが仕方ないんです諦めてください。

 巻数少な目のものから順不同。

和智 正喜「消えちゃえばいいのに」(⇒感想
  消えちゃえばいいのに (富士見ファンタジア文庫)
 祖母が死んだ翌日死神を名乗る少女から手渡された、100人の名前が書かれた名簿。この名簿に名前の書かれている人間達はこれから「自分のために」殺されるのだという。

 淡々と容赦なくシステマチックなまでに次々に死んでいく登場人物達と、それに対して殆ど感情を動かさずに受け止めていく主人公と、彼を取り巻く異常な愛の姿に理解できないものへの嫌悪感がすごいけどそれが良い。最後まできっちりと、救いの見えない終わりを貫いてくるのがよかったです。そしてラストのやりとりがどうしようもなく好きだ。

友野 詳「クレイとフィンと夢見た手紙」(⇒感想
  4840154104
 届く事のないはずの手紙を届ける『郵便屋』のふたりが、つぎはぎだらけの世界のさまざまな人に手紙を届ける連作短編。

 MF文庫Jで男子ふたり表紙とか珍しい!!と大変不純な理由で購入しましたが、キャラクター達の掛け合いといい物語が進むに連れて明らかになっていく世界の謎といい、大変好みのお話でした。電撃文庫とかで一時流行ったちょっと不思議な連作短編系列が好きだった人なら美味しくいただけるかと。主人公コンビのやりとりが、とても好きです。

壁井 ユカコ「2.43 清陰高校男子バレー部」(⇒感想
  408771523X
 東京に転校して数年ぶりに戻ってきた幼馴染の灰島はバレーバカになっていた。最初は興味本位で彼のバレー部活動に付き合い始めた黒羽は、次第に自らもバレーという競技の虜になっていく。ところが、とある一件をきっかけに灰島との関係がぎくしゃくしはじめて……。

 中学時代の歯車が噛みあいそうで後一息のところで致命的にかみ合わない感じがすごくもだもだするんだけど、その分高校時代編に突入してからの展開がアツい!黒羽・灰島を中心に様々なコンプレックスやトラウマを抱えた登場人物たちがそれぞれの形でそれを克服し、1つの強い「チーム」へとまとまっていく姿に胸がアツくなりました。バレーボールものというよりはそれにまつわる少年少女達の関係性を描いた物語なんだけど、スポーツに掛ける少年少女の熱い思いと成長と、それだけでは収まらない人間関係のあれこれがとても楽しかったです。

あざの 耕平「東京レイヴンズ」(⇒シリーズ感想
  48291375764829138092482913865348291390994047129119

 アニメ化に際して途中で止まっていたのを一気読みしたんだけど、とんでもなく面白かった!!あざの作品はスロースターター、と良く耳にしますけど7巻くらいから別物かっていうほどに面白かった。特に9巻での、これまでの巻でばら撒かれた伏線を一気に回収して行く爽快感はやばい。萌えと燃えの同時多発テロにもほどがある。

 序盤から冬児・春虎の悪友関係をずっとプッシュしているのですが、後半になればなるほどそういう意味での美味しい組み合わせが増えて言うというか、京子と鈴鹿とか、土御門親世代萌えとか、鏡vs大友とか、大友・木暮の親友コンビとか、大友と存在がネタバレなあの人とか、とにかく萌え(燃え)ポイントがたくさんあるのでヤバイ。アニメが盛り上がればいいなあと思いつつ、原作の新展開の続きを楽しみにしています。

裕時 悠示「俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる」(⇒シリーズ感想
  47973728424797372850

 去年に裕時悠示作品の一気読みをした時は「踊る星降るレネシクル」の方がむしろ好きだったんですけど、アニメ化の最中に出た6巻の破壊力がスゴかった!!真涼さんが可愛すぎて生きるのが辛い……恋に不器用どころじゃない彼女の生き方と、そんな彼女の頑なな心までも解かそうとする黒歴史ノートの破壊力がすごかった。来月、1年越しの新刊が出るようなのでそちらもとてもたのしみ。

 あと、6巻とはまったく別の意味で、6.5巻が凄かった。カオルはもうここまできたら最後まで性別不詳を貫いて欲しい。短編「カオルのカオリ」での性別不明な魔性っぷり素晴らしかったです。

和ヶ原 聡司「はたらく魔王さま!」(⇒シリーズ感想
  4048914065404891580040489185404048661612

 正直ほんとうにアニメには期待してなかったのに、アニメの出来が半端なく良くて震えた「魔王さま」なんだけど、同時進行ででてた原作も凄く良かった!!天使勢の来襲からはじまった「エンテ・イスラ編」。庶民派ファンタジーなのに異世界いっちゃって庶民派分はどうなるんだろうと心配していたけど、そんな心配などどこふく風で異世界でもしっかり庶民ネタをぶつけてくるのが凄い。そして、ついに長年のわだかまりに決着をつけた恵美の心の動きが、とてもアツかった。

 思い返すと、2013年だけで4冊、BD特典含めると6冊出てるんですね。なんか色々な意味で、魔王さまイヤーだった気がする去年。次から始まる新展開も楽しみにしています。あと、アニメの2期も待ってる!!

井上 堅二「バカとテストと召喚獣」(⇒シリーズ感想
  40472875204047292931

 「またこれか」といわれようがこればかりははずすわけにはいかなかったんだ……!!長年追いかけてきたシリーズの、本編完結編。正直10巻ラストで長年の因縁の決着を3年生に邪魔されてからの展開には色々ともだもだする部分が多かったんだけど、そういう鬱屈をぶっとばしてくれる素晴らしい完結編でした。明久にきちんと相手を選ばせつつ、同時に選ばれなかった方にもまだまだチャンスはあるよっていう恋愛関係の決着のつけ方もとても好き。

 そして最後に手を取って逃げるのは雄二なんですね最後までナイス悪友ありがとうございます!!11巻で自暴自棄になった雄二を叱咤するわデレるわで再び立ち上がらせた明久と、12巻で茫然自失状態に陥った明久に自らは何も働きかけずに周囲に発破を掛けさせ、再起を信じてお膳立てだけは整えて待つ雄二という、正反対のようでどこか似たもの同士な反応が大好きです。

 残るは短編のみということで、もう12巻のようなアツい展開は見られないのかなあと思うと本当に本当に寂しいのですが、終盤では控えめだった「バカ」をもう一度見れると思えば、それはそれで物凄く嬉しい。井上先生の新シリーズも含め、今年の展開も本当に楽しみにしています。


「好きなライトノベルを投票しよう!!2013下期」に投票します

企画元:好きなライトノベルを投票しよう!! 2013年下期

 2013下半期は本当に本読めなかったんですが年変わってから無理矢理追い上げたりして8作品選んでみました。ラストスパートした俺ガイルと東京レイヴンズが本当に面白かったので読んでください。バカテスが面白かったのは最早自明の理なのでやっぱり読んでください。ハイキューとKのロスモワ的に壁井ユカコせんせいのバレーボール小説「2.43」とかも全力でオススメしたいので読んでください。

既存部門

amazon.co.jp:バカとテストと召喚獣12
井上堅二「バカとテストと召喚獣12」(⇒感想
 最後までアツい男子の友情を魅せつけられましたありがとうございました。
 あとこのラスト悪友エンドってことでいいんですよね?(迫真)

「お待たせ、雄二。準備は出来てる?」
「おせぇぞ、明久。誰に向かって言っていやがる」

【13下期ラノベ投票/9784047292932】
amazon.co.jp:ノーゲーム・ノーライフ5 ゲーマー兄妹は強くてニューゲームがお嫌いなようです
榎宮祐「ノーゲーム・ノーライフ5 ゲーマー兄妹は強くてニューゲームがお嫌いなようです(⇒感想
 複数の種族を一手に相手取る展開がアツかった!「最弱」の人類が他種族達をあの手この手でねじ伏せていく下克上っぷりがとてもたのしい。アニメも期待してます。

「一回、俺YOEEEからスタートし直せ。それでもまだクソゲと思うなら──」
「……何度、でも……遊ん、で……あげる」

【13下期ラノベ投票/9784040660806】
amazon.co.jp:はたらく魔王さま!10
和ヶ原 聡司「はたらく魔王さま!10」(⇒感想
 異世界を舞台に熱いバトルを繰り広げつつ、根底に根ざしすぎてる生活臭が最高。美味しい所を持って行く魔王のヒーローっぷりやばい。この挿絵がヒドい2013年下半期(P261)。

「この『ヒヤヤッコ』と『ミョウガ』を使えば、悪魔大元帥アルシエルは、
悪魔大元帥ルシフェルや、魔王サタンですら凌駕する力を手に入れられるのよ」

【13下期ラノベ投票/9784048661614】
amazon.co.jp:東京レイヴンズ10 BEGINS/TEMPLE
あざの耕平「東京レイヴンズ10 BEGINS/TEMPLE」(⇒感想
 第二部開始。色々わからないことだらけだけど、これからの展開に期待せざるをえないお話でした。新キャラクターの秋乃がどういう形で鍵を握るのか。とても続きが楽しみです。

その光線を受けて──東の空の彼方に、巨大な闇鴉が飛翔している。
黒衣の陰陽師が、東を目指し空を行く。
また、置いていかれた。

【13下期ラノベ投票/9784047129115】
amazon.co.jp:やはり俺の青春ラブコメは間違っている。8
渡航「やはり俺の青春ラブコメは間違っている。8」
 不器用な登場人物たちが、ある人は正面から向かい合い、またある人は背を向けることで心地良い居場所を維持しようとしてすれ違ったり傷つけあったり空回りしたりする姿が本当に辛い。あと葉山が八幡好き過ぎてこれは海老名さんでなくても辛い(別の意味で)

「……すべての人があなたを気に掛けて、嫌っているなんて自意識過剰だわ」
【13下期ラノベ投票/9784094514513】



新規部門

amazon.co.jp:2.43 清陰高校男子バレー部
壁井ユカコ「2.43 清陰高校男子バレー部」(⇒感想
 ラノベ枠に入れていいのか判断が分かれるけど。バレーバカの灰島と灰島につられてバレーを始めた黒羽が、様々な紆余曲折を持ちながら高校バレーの頂点を目指すお話。バレーで青春で男の友情で重い過去です。よもう。
「証明する。秋季大会で。おまえにあげるトスは全部、最高にいいやつにする。
……取り返したかったのは、おれだから……」
【13下期ラノベ投票/9784087715231】
amazon.co.jp:クレイとフィンと夢見た手紙
友野 詳「クレイとフィンと夢見た手紙」(⇒感想
 MF文庫Jで男二人の相棒物な連作短編!!頭脳労働担当なちっさい系先輩・フィンと肉体労働担当なおっきい系後輩・クレイが「届く筈の無い手紙」を届けに行くお話。ちょっとふしぎなお話も楽しいんだけど、主人公コンビの軽妙なやりとりに始終ニヤリとさせられてしまう。
「おい、助けてやっただろうが。礼のひとつもなしか?」
「後輩くんのおしごとは、先輩であるぼくのサポートでしょう?」

【13下期ラノベ投票/9784840154109】
amazon.co.jp:魔王と姫と叡智(えっち)の書
霜野おつかい「魔王と姫と叡智(えっち)の書」(⇒感想
 魔王(ピュアな貞操観念をお持ちの常識人)がファンタジー世界でエロ同人作家(男性向)のお姫様や執事や勇者やらに振り回されるお話。タイトルと表紙じゃ内容つたわらなさすぎるのマジ遺憾の意。あとツイッターネタがリアル同人女子すぎてわろえない。まじあの1Pの衝撃といったらない。
没姫(@botsu_p):あーあーあー…………。
没姫(@botsu_p):やってしまいました…………うわぁ…………ない…………あれはない…………。

【13下期ラノベ投票/9784797375275】



電撃コラボレーション 最後の鐘が鳴るとき

[著]電撃文庫記念企画
(壁井ユカコ、渡瀬草一郎、三上 延、佐藤ケイ、柴村 仁、有沢まみず、鎌池和馬、成田良悟)
[絵]片瀬 優、文倉 十
 
3ヶ月連続刊行のコラボシリーズ最終巻。ちょっと不思議な噂のある"MW(マリー・ホワイト)学園"が廃校になり、その最後の1日に起こった様々な出来事を描く連作コラボ短編集です。それぞれの作品のいろいろな所で他作品のキャラクター達が顔を覗かせ、2作目「MW号の悲劇」よりも各作品のリンク率が上がってる印象。

どれも面白かったですが、コラボシリーズ皆勤賞の有沢まみず・成田良悟はやはり別格だった気がする。好き勝手バラバラな各短編にリンクを持たせて補完までしてしまう成田作品の凄さは言わずもがな。よもや完全に各作品の中でも異色作だった「学園ホロたん」まで関連性をつけるとは誰が予想したことだろうか。そして泣きゲー系&ラブコメ作家の印象しかなかった有沢さんの作品は1作目でホラー、2作目で中年の悲哀モノ…と、いちいち毎回意外性ありすぎで驚かされました。というか、なんで最後の最後で腐女子大喜びなホモネタ書きますか有沢まみずの守備範囲SUGEEEEEEE!!!

他作品も結構平均的に面白くて、これといって飛びぬけてツボにきたものはなかったけど、どれもこれも隔たりなく楽しめました。作風的には佐藤さんの「MW学園の崩壊」が一番ツボ。怪奇的な"自殺"を遂げた少女を巡り、彼女の友人グループの3人がそれぞれの思惑を持って時計塔に集まる…という話なのですが、各キャラクターの語りから浮かんでくる少女の人物像のブレやどんどん狂気的な方向に向けて進展するキャラクター達の思考が不気味で、最初はラブコメ的な雰囲気すら漂っていたのがどんどんホラーな雰囲気になっていくのが素敵。ただ、個人的な嗜好として終わり方が唯一(成田さんの補完を持ってしても)いまいちスッキリしなかったのが残念だったり。確かに、一応事件のきっかけや真相はわかって綺麗に終わってはいるんだけど、色々明らかにならない部分が気になってしょうがない…。しかし、有沢さんといい佐藤さんといい、今回はラブコメ作家にしてやられまくりだなぁ。

個人的には、「マヨイガハレルヒ」の続きが普通に読みたい。最後のぼやかし方がまたニクイんだっ…。