婚約者の浮気相手から身に覚えのない罪を着せられて糾弾され、絶対絶命の大ピンチになっていた子爵令嬢・コニーを救ったのは10年前に処刑されたはずの令嬢・スカーレット(の亡霊)だった。婚約者の浮気やなにやらの傷心に浸る暇もなく、助けられた対価としてスカーレットが処刑された事件の真相追求と復讐を請け負う事になってしまう…!?正反対の二人の令嬢が過去の事件を追って貴族社会の闇に踏み込んでいく物語。
コニーとスカーレット、正反対の二人の令嬢が繰り広げる「相棒もの」
家訓である『誠実』を頑なに守る地味で平凡だが優しい令嬢・コニーと稀代の悪女と名高く圧倒的な美貌と高い知性を兼ね揃えるスカーレット。正反対の二人の令嬢がひょんなことから運命共同体となり、ある時は協力しある時はぶつかり合いながらも少しずつ仲良くなっていく姿が微笑ましかった。優しいけれど弱腰で臆病だったコニーが逃げ道だった偽りの「誠実」を捨て、強く成長していく姿が印象的でした。また、水面下で手を組むことになったランドルフとの恋愛的な意味での進展も気になるところ。
それにしても、貴族社会の闇が深すぎる。
ちょっとでも隙を見せれば食い殺される、貴族社会の闇がひたすら怖い。しょっぱなでコニーに罪を着せようとしてコニーじゃない人たちに「やり返された」パメラどうなったの……。犯罪行為が横行するあやしげな『夜会』やら不審死を遂げた事件の関係者などなど、一寸先は闇といわんばかりの展開が満載。女は消えるしイケメンだって気を抜いたら喰われる(性的な意味で)。いや、スカーレットの存在以外のオカルト要素はないんですけど、完全にホラーですよねこの貴族社会!!コミカライズに「ひぐらしのなく頃に」や「ルートダブル」のコミカライズをされている桃山ひなせ先生を当てたのが大正解すぎてガンガン編集部のわかりみの高さに膝を打つ。(ルートダブルはいいぞ……)ただ、そんな陰鬱でホラーな展開をコニーとスカーレットとの掛け合いが適度に薄めてくれるので、怖くなりすぎず楽しく読めました。また、章ごとに入っている登場人物紹介がいい感じにテンション高くてガス抜きをしてくれる。
それにしてもなんてところで…
謎の死を遂げたスカーレットの親友・リリィが残した「エリスの聖杯を破壊しろ」という遺言、キリキ・キリククなる謎の言葉……と謎が謎を呼ぶ展開の中、とんでもないところで次巻に続いたーー!?2巻は春に発売が決定しているようなので安心ですが、うっかりこれが発売未定とかだったら卒倒していたところです。続編が読めるのを楽しみに待ってます。