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スレイヤーズ 25周年あんそろじー

 

ファンタジー小説の金字塔『スレイヤーズ』刊行25周年を記念して、『スレイヤーズ』を愛してやまない作家陣が贈るアンソロジーが登場だ!原作者・神坂一はもちろん、秋田禎信や日日日、さらに『デスマーチからはじまる異世界狂想曲』の愛七ひろ、『ライジン×ライジン』の初美陽一、『デート・ア・ライブ』の橘公司ら豪華作家陣が書く特別短編、そして豪華イラストレーター陣の描く特別イラストも収録!『スレイヤーズ』を長年応援してくれたファンへの感謝を込めた1冊。読んでくんないと、暴れちゃうぞ! (「BOOK」データベースより)

 すごい久しぶりに読む気がする、「スレイヤーズ!」の25周年アンソロジー。この手のアンソロジーはよくも悪くも当たり外れが激しいイメージなんだけど、どの短編も凄く楽しく読めました。リアルタイムにスレイヤーズの原作やアニメ追った世代になら是非薦めたい一冊。

 正直、25という文字に衝撃を隠せませんがアニメから入った世代なのでまだ大丈夫です(何が)アニメがはじまったときにすでに1部最後までいってたから……相当時差あるから……。

■秋田禎信「ゼフィーリアの悪魔」
 リナがまだ旅立つ前、子供時代。性格に問題アリで学校をたらいまわしにされ、最終的に魔道士の学校にやってきたリナが同級生に怖れられたり振り回したりするお話。落ちこぼれの問題児かとおもいきや冷静な分析力をのぞかせたり、子どもとは思えない機転を効かせて周囲の敵をなぎ倒していくあたり、魔道がなくてもリナはリナという感じのお話でした。そしてオチの1Pにニヤリとしてしまったり。

■日日日「ミリアンヌの肌」
 まだリナと出会う前のゼルガディスが、ひとりの少女と出会うお話。スレイヤーズ本編に雰囲気の近い、ちょっと後味の悪いシリアス話。本編のシリアスで物悲しい雰囲気もなんのその、出番そんなに多くないのにヌンサの存在感が高すぎてズルい。しかもこの魚人が無駄にかっこいいのがズルい……!!ちょっと萌えちゃったじゃないですか…!!

 しかしこれ、原作でヌンサがゼルガディス側につかなかったことを考慮すると、凄く萌えるんですけど。一度は同じ目的の為、心を通わせた仲だとおもうんだけどなあ。ほんと個人的には美味しい話でした。

■愛七ひろ「リナ=インバース討伐!」
 こちらはスレイヤーズ「すぺしゃる」のノリに近い、短編設定ベースのどたばた話。容赦なく周囲の人間やナーガをこき使いつつ、自分ひとりがいいとこ見ようとするリナちゃんまじえげつない。全部は分からなかったんだけど、「すぺしゃる」の方を読んでいればニヤリと出来るのであろうキャラクターがいっぱいで、とても愛を感じる二次創作という印象でした。も、問題は既刊が多すぎて細かいキャラを覚えてないことなんですけど、私が!!スレイヤーズすぺしゃるは既刊冊数多すぎて、なんというかファン愛が試される……。

■初美陽一「呪術遺跡の偽愛戦争」
 ゼルガディスの身体を元に戻すためとある呪術師の遺跡に向かったら何故か呪術師の遺したゴーストにカップルと振る舞うように迫られて……!?という、ゼルガディスとリナのラブコメ未満のコンビ話。キャラが途中から完全に崩壊してるんだけど、勢いでどんどん先を読まされてしまうかんじは凄い。ゼルがラブコメラノベばりのツッコミ担当系ムッツリ助平にされているのはある意味壮観……だが両者ともキャラは崩壊している(大事なことなので)

 個人的には、リナが凄くゼルの前で「オンナ」だったのがなんというか不思議な感じで、そこだけどうしても引っかかってしまった……こ、これが二次創作における「解釈違い」というやつか……!!(多分非公式の本当の「薄い本」なら普通に美味しくいただいたと思う)

 ところで、著者コメントからゼルガディス好きなの伝わりすぎてアニメのリアルタイム世代としてジワジワ来る……仕方ないですよね……あのグリーンリバーライトボイスに人生狂わされた人きっといっぱいいますよね……。

■橘公司「冥王フィブリゾの世界滅ぼし会議」

 タ イ ト ル が ズ ル い 

 とりあえずこのタイトルにホイホイされて買ったといっても過言ではないのですが、タイトルでピンときたらホイホイされて良いと思います!!(絶賛)混沌の海という名の「あとがき世界」で冥王フィブリゾとそのゆかいな仲間たちが今後の世界滅ぼし活動をどうするかという事を話し合うという内容なのですが、ベースがあとがき世界線なので最初から最後までヒドい。そしてメタネタまで織り交ぜつつ話の腰を折りに来る魔竜王ガーヴいいかげんにしろ!!!(褒め言葉)

 スレイヤーズどころか神坂ファンタジー作品の共通世界観に言及しはじめたり、アニメやら原作のツッコミを入れ始めたりとあまりにも自由すぎる短編でした。笑いすぎて腹筋痛い。あとヤシガニはやめてあげて!!!アニメ界に残る黒歴史のことはふれないであげて!!オチのぐだぐだ感といい、スレイヤーズのあとがき好きなら間違いなく楽しめる感じのお話でした。これはタイトルに一本釣りされてよかった。

■神坂一「スレイヤーズいんたーみっしょん リナ=インバースの記録」
 第一部中盤、アメリアが旅の途中で万が一があった時のために記録を残しておこう!と言い出す。しかし、彼女が書き始めた「記録」はいろいろな意味で間違いだらけのシロモノで……!?というお話。アンソロジー内ではあんまり出番の少なめだったアメリアの正義節が炸裂すぎて可愛い腹筋つらい。短いお話なんだけど、久しぶりに本編一部の4人が勢揃いしてワイワイやってるのを見るのはどこか感慨深いものがありました。最後のあとがきも当時のそのままで懐かしすぎた。