三期生の加入やステラ・フリークスとのコラボを経て盛り上がる「Re:BIRTH UNION(通称リバユニ)」。二期生で謎の執事Vtuber・正時廻叉も外部Vtuberとのコラボやゲーム実況など、これまでになかった活動を経験して少しずつ知名度を上げていく。そんな聖夜を控えたある日、Vtuber業界に大きな動きがやってきて!?
閉じていた世界が広がったような気がするシリーズ第2巻
外部企業勢や個人勢とのコラボ配信、リバユニ内でのアレコレ掛け合い、そして三期生にも様々なコラボのお誘いが……リバユニ内の閉じた関係性/尖ったキャラクター描写が強めだった1巻に対して、今回は3期生の加入や外部コラボを経て閉じていた世界観や人間関係が一気に広がったような印象を受けたシリーズ第2巻でした。特にオーバーズの男子V集合学力テストイベントにMCとして廻叉が呼ばれるエピソード、珍回答を巡ってわちゃわちゃしているオーバーズ男子達&MC廻叉の容赦ないツッコミがハマりすぎててめちゃくちゃに楽しかった!それに、これだけ大量の男子Vを集めた企画の描写って既存のVtuber小説でもあまり無かったと思うので希少だしてぇてぇだなあ……と思わず拝む。そんな外部とのわちゃわちゃで気を緩めた所にリバユニ全体で行われた「ハロウィンコラボ」や正時廻叉の集大成とも言える「収益化記念配信」の個性が強烈過ぎて落差で目を灼かれる。「七つの大罪」をモチーフにしたハロウィンコラボをきっかけにしてそれぞれが自身の持つ『大罪』──過去や現在と向き合い、これまでの自分を乗り越えてくる流れは本当に「リバユニ」ならではだなあ……と思うし、リバユニの面々を巻き込みつつ彼本来の持ち味である演技に全振りしてきた収益化配信の異質さが際立つ。1巻でもその傾向ありましたが今回は特に中の人である「境正辰」の中での「正時廻叉」が徐々に独立した人格を持ち始めてる印象で、それだけ彼が強固にVtuber正時廻叉という人物を作り上げているということではあると思うんだけどそれだけ入り込めるのいろいろと凄い。自分の話をするときに2人分の意見を喋ったり、「私」と「俺」の使い分けする姿を目の当たりにしたあとで収益化記念配信ぶつけてくるの本当にズルいんですわ。
三期生であるユリアや四谷の登場・それに伴う箱内ファン層の変化などもあって、少しだけ「きな臭く」感じる場面もあったんだけど、まあこの人たちならなんとかしてしまうんだろうなあという安心感がある……というかアンチスレを酒の肴にするのはやめろォ!!!いやマジでリバユニの一期・二期生ってそういうやつらだって理解してたけどさあ!!これ半年後くらいには絶対四谷も同じことやってそう。ユリアちゃんにはこのままでいてほしい(でも三期生との顔合わせで廻叉が言った通り、彼女もしっかりとリバユニのノリに染まっていきそうな気もするんじゃ……)
ユリアがピュアすぎるせいで廻叉との関係性がまっすぐな憧れとして昇華されすぎてて逆に変に「恋愛」っぽく解釈されないのは上手いなあとおもいつつ、実は鉄仮面の下で案外普通に動揺してたりユリアとの距離感を測りかねている廻叉可愛いかよ〜〜となりました。そんな中、聖夜を前に突如復活を匂わせてきた「最初の7人」の消息不明のふたり。海外企業の参入も匂わせてきて……業界全体を巻き込むであろう大きなムーブメントを前にして、今なお独自路線を突き進むリバユニの面々がどう動いていくのか、とても楽しみです。
それにしても、とにかく個性豊かすぎて強烈なキャラクターの多いこのシリーズなんだけど、三期生の片割れである小泉四谷がめちゃくちゃいいキャラしてて最高ですね……デビュー配信の時の演出も強烈だったしオフライン時のデキる後輩キャラっぷりも良きなのですが、何よりオーバーズとのクリスマスホラーFPS配信が描写短いながらもめちゃくちゃ良かった。外部コラボの自己紹介の締めに「さあ、相互理解のお時間です」はずるいて。
あと今回、オーバーズの面々が脇役としていい味だしすぎてたから見た目がわからない&1つの場面に大勢集まると区別つけにくい問題だけが本当にもったいない……語尾で特徴付けるみたいなの、こういう地文少なめの会話劇やるときは地味に助かるやつなんですが……。3巻はぜひとも最初に人物紹介コーナーを作ってほしい&オーバーズ男子全員にイラストをください!!!