[著]有川 浩 [絵]徒花 スクモ 「過去に戻れるとしたらいつがいい?」 そんなたわいも無い会話で盛り上がる堂上班。副隊長・緒形は大学時代に始まったかつての恋を思い出す。公務員を志していた彼がかつて配属されたのはメディア良化委員会だった。当時は「嫌われ者の職場についてしまった」程度にしか思っていなかったが…「あの二人」のその後もわかる、スピンオフシリーズ第二弾。 |
柴崎がストーカーに遭遇したのをきっかけに、3年前(「図書館革命」時)ちょっと接近があったものの未だ付かず離れずの関係を維持していた手塚との関係が一気に進展するというお話なのですが、今まで割りと女性としての優秀さ・強さが強調されてきた柴崎の脆さ・弱さが全面に押し出された展開で、読んでいてハラハラしっぱなしでした。特に3編構成うち後半2編は本当に読んでいて恐怖感や生理的嫌悪感を始終感じるような展開で……とにかく重たい。つかどっちのストーカーも痛い人すぎて……。
ていうか主犯についてはしょっぱなでなんとなく予想できてしまったんですが……ああ、まちがいなくこいつの地雷踏みまくってるよ!余計な恨み買ってるよ!みたいなの。いや、決して柴崎が悪いんじゃなくて、彼女は通常とは真逆な意味で「空気読めない」部分があるんじゃないかなーと思うのです…「デキるオンナ」であるがゆえにどうしてもそれ以外の人間に自分と同じ事を求めてしまい、それが故にどうしたって「見えない」部分があるというか。まあ、かといって今回の犯人に同情しようとは1ミリも思いませんけどね!
何はともあれ、本編ではずっと付かず離れずを保っていた二人が遂に結ばれたのは本当に嬉しかったです。手塚かっこよすぎだろ…!!!その後、柴崎が漸く自分の弱いところを見せられる相手をみつけて、泣きながら大切にしてほしいと叫ぶ場面では胸が熱くなりました。そしてエピローグでの、堂上夫妻にも負けず劣らずなイチャつきっぷりに萌えた…!!特にウェディングドレスのくだりとか、可愛すぎる…!!
あと、地味にニヤリとしてしまったのが「教官モード」の郁。フルメタルジャケットばりの鬼教官っぷりが漢らしすぎる…というより、もろに旦那の影響受けたのが丸判りで。一瞬篤さん(笑)のセリフかとおもいましたよ、マジで。
大団円なラストでとても満足でした。御馳走様でした。
コメント
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主役が柴崎と手塚で抑えた甘さや苦さの、人前でもたぶん安全な完結巻でした。
緒方副隊長の...