[著]田口 仙年堂 [絵]日向 悠二 南口商店街と北口商店街の野球対決に繰り出され、ついつい本気のバトルに発展してしまったケルプとガーゴイルは、通りがかった人物に怪我を負わせてしまった。しかも茫然自失となったガーゴイルはそのまま全機能を停止。過去の辛い記憶に捕らわれ、目覚めないガーゴイルを追ってイヨとともに再び過去に飛んだ双葉だったが…… |
急転直下のシリーズ第9弾。過去のトラウマを掘り起こしてしまって機能停止したガーゴイルを復活させるため再び過去に飛んだらそこは昭和20年、終戦直前の日本で…というお話。
すっかり「家族」として大きな位置を占めるようになっていたガーくんがいなくて、沈み込む吉永家の様子も既に十分過ぎるほどに重いのですが、戦時中にタイムスリップした後がひたすら重い。歴史の事なんか殆どわからない双葉が、その時代の人々との考え方の違いに戸惑ったり理不尽に思ったり……じわじわと戦争というものの恐ろしさが肌身に沁みてきます。更に、そんな不安なときにガーゴイルはかつての融通の利かないガーゴイルに戻ってしまっていて……戦争という暗い影の中、不安ばかりが募る展開。
一方で、自分の出来る範囲でやれることをやろうとする双葉が今まで以上に可愛い。というか本当にオトコマエな小学生だ……得意の暴力と悪ガキ的なカリスマ性で子供達をまとめあげる手腕がかっこよすぎます。
和巳達の残った現代にも不穏な影が落ち、上下巻構成で10巻に続く。うわあここで切られるのは色々と反則だ…!とりあえず続きが楽しみ。
ところで、後ろの方に「コッペとBB団」の短編が載っていて「くぬーやりやがったな!」という気分になりました。ああ、なんかこういうどっかオマヌケさんな悪役達+天然だけどスゴイ娘という組み合わせはとてもいい……ガーゴイルみたいなほのぼのさせておいて最後でちょっと泣かせに入る展開もよかったです。ガーゴイル読破したらコッペにも手を出してみようかなあと思わせる短編でした。