[著]田口 仙年堂 [絵]日向 悠二 百色とガーゴイルに静かな復讐の炎を燃やす男・レイジがやってきた。以前の小物ぶりとは打って変わって余裕の表情で吉永家に現れたレイジに、ガーゴイルと百色・ケルプ・デュラハン・オシリスという最強の面々で立ち向かうが軽くあしらわれてしまう。今までには無い強敵の出現に警戒を強める一同だったが、適確にそれぞれの弱点を突かれ… |
シリーズは遂に完結編に突入したシリーズ第14弾。これまでのほのぼの暖か展開とはうってかわって重く、痛く、シリアスな展開。…というか、今までの13巻、時にシリアスも挟みながら基本的にほのぼの&あったかでやってきたという積み重ねがあったからこその重さと痛さ。ご近所アットホームコメディでこんな痛々しい展開を見ることになろうとは……
13巻で明確になったガーゴイルの弱点をレイジが適確に突いてきた形で、御色町に潜伏している間にご近所さんからの信頼を勝ち取り、「いい人」と認識させた上で攻撃してきたガーゴイル達が悪であるかのように錯覚ていく姿は敵ながらお見事と言わざるを得ない。今まで散々、長所として描かれてきた御色町の人々の人のよさがこんな風に裏目に出るとは…とにかくレイジ、悪趣味にも程がある…。
ガーゴイルや百色の御色町を護ろうとする思いが伝わらず、むしろレイジの手によって正反対の方向にゆがめられていく姿を読者として見る(読む)事しかできない事が、とにかくもどかしかった。そして文章の構成が悪趣味すぎる(※褒め言葉です)。つい数日前まで確かに存在していたはずの暖かい関係と、その関係がみるみる崩壊していく様子を交互に読んでいかなければならないのは正直かなり精神的にきつかった。なんかもう、13巻までずっとガーゴイルと吉永家とご近所さんたちの関係を持ち上げて持ち上げて持ち上げてきたのはここでどん底に突き落とす為だったんじゃないかと考えてしまうほどの、重く痛い展開。そして更に引きが凶悪すぎるっ!!!
泣いても笑っても、次が最終巻。
全員が笑って一発逆転・大団円なラストが見れることを心の底から期待してます。