小さな頃から恋心を抱いてきた幼馴染・志紅のため、空位になったままの"天后"を目指している雛花。ついにその能力に目覚めた…と思ったら、志紅が異母兄を殺して帝位を簒奪してしまった!?しかも、自分を皇妃として指命してきて…。
兄を殺され、憧れの人と腹心の部下には裏切られ、『天后になる』という夢も閉ざされかけて…失意のドン底に落とされた主人公が、自虐と嫉妬癖が生んだ観察眼の高さを武器に、簒奪事件の真相を知るために立ち上がる姿が印象的でした。安定安心の男前すぎる夕鷺ヒロイン。王家に脈々と受け継がれる神降ろしとそれを巡る物語はとても重たいもののはずなのに、雛花の自虐と嫉妬が一周回った前向きさと、どこかシリアスになりきれない展開でぷっと笑えるものになっているのが本当に楽しかったです。
幼い頃から想い合っているにもかかわらず、なぜかお互いの事となると勘の良さも観察眼も働かない志紅と雛花がお互いを想うが故にすれ違い続けるのがもどかしいんだけど同時に微笑ましくて仕方がない。これだけわかりやすく横でヤンデレムーブされてるのに気づかない雛花のニブさはいかにもという感じなんですが、あれだけガッツリ告白されておいてまだ誤解してる志紅お前もさーー!!雛花からわかりやすい好意を向けられると途端にヘタレになるのずるいと思います!
そしてあとがきのヤンデレ連呼と『旦那にしたくないことに定評のある夕鷺ヒーロー』が言い得て妙すぎて爆笑してしまった。確かにクロウ好きだけどリアルの旦那にはしたくない!!