国の根幹に関わる超存在の謎と桃華源という国自体の成り立ちに迫るシリーズ第三巻。すわ3巻完結か!?というくらい気前の良く謎が解き明かされ、最初から最後までクライマックスもかくやという盛り上がりでしたがゴールテープだけは最後の最後で掻っ攫われた感というか続いて良かったけどいろいろな意味でこの終わり方ーー!!
お互いに「自分が死んで相手が幸せになるならそれで良い」で平行線だった志紅と雛花の関係が、何度かの本音のぶつかり合いを経て少しずつ「相手も自分が死んだら悲しむ」「だから共に生きよう」の方向に変わっていくのが胸熱。少年向けラブコメラノベの主人公もびっくりなこじらせ方をしている鈍感ヒロインの雛花ですが、少しずつ自分の本当の気持ちを自覚して素直になっていく姿が印象的でした。でも、自覚したのはあくまで「自分の気持」なんだよなあ……志紅にあれだけ全力で押されているのにまだ(志紅からの感情が)「恋愛じゃない」っていってるの強敵すぎませんか!?
多くの謎が明かされた一方で解らなくなった点も多く。雛花達の周囲で謎の動きを見せる人々や、なにより『丹朱』の思惑に関してはますます謎が深まった感じ。少しだけ前進したとはいえ、雛花と丹朱の関係は切れないままだし、今後は否応なしに動きを封じられていたアノ人も動き出しそうな印象で本当に続きが楽しみなんですけどほんとうにこの作品、自己犠牲精神高い人多すぎるよね。その血の呪いのせいとはいえ、彼の人の戦線復帰で更に話が面倒くさくなった感がすごい。
というかこの人、こんなキャラだったのか……もっとこうサバサバしてるキャラだと思っていたと言うか、物語の根幹には絡んでこない流れだとおもってたので意外だ。