とある出来事をきっかけに学校に行くことを拒否してしまう陽菜。その「女王蜂」としての能力は実戦を重ねる度に強くなっていき、徐々にその能力は人間離れしていく。それとは対照的に、有紗の体調は悪化の一途をたどっていた。そして有紗の様子を見た敷島は──「天使病」と呼ばれる奇病が蔓延し、その病気から人間外の存在になった者達と人類との闘いが勃発する架空の現代日本を舞台にした現代ファンタジー、シリーズ完結編。
これまで隠されてきた様々な事実が怒涛のように明かされる展開で、読んでいる方もひたすら圧倒されるばかりだったんだけどそんな中でもなんとかドン底から這い上がって、強くなった陽菜が自分の大切な人達を護るために、自らの意思で14歳の少女には重過ぎる決断をする場面では胸が熱くなりました。
しかしそれよりも個人的にドツボに入ったのが、もーちゃんこと覚野のデレっぷり。陽菜とのデート(?)を反芻して布団の中でゴロゴロ悶えてるもーちゃんにむしろ私がゴロゴロゴロゴロした。1巻の頃は、確かにツンデレっぽいてらいはあったもののアレだけ「嫌なやつ」に徹していたもーちゃんがよくぞここまで…!!!素晴らしいデレっぷりに感動した!!!
打ち切りに近い終わり方だったようで、この1冊で無理やり伏線を回収しちゃった感が否めない部分はあったし、出来ればもーちゃんの「誓い」が果たされる日が来るまで物語を見守って居たいという気持ちはあるんだけど(特にラストでちょっとだけ出てきた、覚野と湊の凸凹コンビはもうちょっと見たかった!!)、それでもやはり色々な意味で素晴らしい最終巻だったと思います。素敵な物語を本当にありがとうございました!
そして続けて夏コミで購入したオフィシャル同人誌「AAST」も読みました。
最終巻直後の、人間とアンゲルゼそれぞれのキャラクター達が新たな道へと進んでいくお話。覚野や敷島や神流島の人々のその後の物語と、陽菜やマリアや他のアンゲルゼ達の物語の2編が収録されています。本編ではさわり程度にしか出てこなかった敷島の「娘」をはじめとして、本編では尺の都合か語る事の出来なかったと思われる部分がいろいろと語られていて、この物語が好きなら是非この同人誌までたどり着いて欲しい!と思う作品でした。
しかし、素晴らしかったからこそ陽菜と覚野がふたたび再会する場面が見られない事が惜しくてたまらない。
集英社様……うっかり手が滑って5巻が出たりしません……か……