声優ラジオのウラオモテ #02 夕陽とやすみは諦めきれない? | 今日もだらだら、読書日記。

声優ラジオのウラオモテ #02 夕陽とやすみは諦めきれない?

 

第26回電撃小説大賞、選考委員満場一致の《大賞》受賞作!! 第1弾は発売即日重版で話題の青春声優エンタメ、おまちかねの第2弾です! 裏営業スキャンダルが何とか収束を迎え「コーコーセーラジオ!」も、めでたく続行決定! ――とほっとしたのも束の間…… 「本当甘ちゃんだよね。ふわふわ友情ごっこがしたいならよそでやれよ」 ストイックな実力派の先輩声優・柚日咲めくるに突然浴びせられた強烈な罵倒。でもそんな彼女も実は、秘密の《ウラオモテ》を隠していて…… さらに、夕陽とやすみの高校まで追いかけてくる、不躾な視線やシャッター音。事態に業を煮やした夕陽の母が、ふたりに課した超難題とは!? こじらせ先輩声優めくるのホントの思いも明らかに――! 「そのまま行け、ふたりとも――ッ!」 声優生命最大の危機でも、夕陽とやすみは止まれない、中途半端じゃ辞められない……! 諦めきれないふたりの声優ラジオ、ここに再びON AIR!!

1巻に引き続き仲が良くて仲が悪い主役二人の言葉の応酬とアツい展開がとても楽しかった!クライマックスはいろいろな意味で現実ならありえない展開だなと思うんですけど、現実にありえないからこそ胸が熱くなってしまう。ところで余談ですが2巻の表紙が1巻の表紙に対応したやすみピンのものに変わったみたいなんですが、1巻のふたり表紙が良かっただけに「ええ?」となってしまう。これ2巻と3巻の表紙を対にするんじゃいけなかったんですかね…(2巻完結か?とおもったけど、どうとでも続けられそうな終わり方なんだよな)

前回やらかしてしまったことへの「けじめ」のお話

ラジオの打ち切り騒動や夕暮夕陽の炎上騒ぎも乗り越え、なんとか平和な毎日に戻った…はずの由美子と千佳。ところが、炎上騒ぎの結果『アイドル声優』という顔を棄てざるをえなくなった影響は思ったより大きかった。仕事にも大きな影響が出た上に学校前で待ち伏せされたり、先輩声優からキツい言葉を浴びせられたり……由美子自身も現在の状況にスッキリしないものを感じていて!?

1巻のラストが素のキャラを出したおかげでラジオの人気が好転して──という終わり方だったのでこのままなしくずしに次のステップに進むのかな?と思っていたのですが、2巻では彼女たちが「キャラ変」をした悪影響と、それに対する「けじめ」の物語でした。

1巻であれだけアイドル声優としてのキャラ作りを切り捨てたふたりが、2巻で元の性格を強調した「キャラ作り」を要求されるのめちゃくちゃ元の木阿弥っぽくてしんどいんだけど、そんな中でふたたび「アイドル声優だった自分たち」に焦点を充てていく展開が印象的でした。1巻はアイドル声優であるふたりが声優として成長するお話だったけど、2巻は彼女たちが「アイドル」という声優業の一面を受け入れるお話だったのかなあと(正直声優さんの中身は知りたくない派なので本当にいい演技してくれればいいじゃんって思うんだけど、たとえアイドル声優じゃなくなったとしたって現在の業界だとほぼ芸能人みたいなもんではあるよな…)。

夕陽の炎上騒ぎに介入したことで事務所に迷惑をかけたこと、千佳のアイドル声優としての生命まで共に奪ってしまったことを反省しつつも「後悔はしていない」と言い切る由美子がかっこよかったし、その後の展開でどんなにしんどくても同じ轍を踏むことは出来ない彼女の姿が良かったです。たとえそこに元売れっ子である千佳への嫉妬や「他人の事に自分の声優生命までは賭けられない」という後ろ暗い本音があったとしても、前回と同じような短慮に走らなかったのは成長といって良いんだと思う。

現実にはありえないけどだからこそアツいラストが素晴らしい

自分たち本来のキャラを強く印象づけることで再起を図ろうと奔走するふたり。以前よりも無理してキャラを作らなくて良くなったはずなのに以前よりも息苦しさを感じるのはなぜなのか──そんな状況に少しずつ答えが見えてきた中、ファンの粘着騒ぎを重く見た千佳の母が「夕暮夕陽」の声優活動の休止を事務所側に申し入れてくる。何も出来ない事にもどかしさを感じる由美子だが、話を聞いた由美子の母が更にとんでもないことを言い出して──!?

いろいろな意味で、クライマックスの勝負の件はこんなご都合展開ありえないでしょって思うんですけど!!現実にありえないからこそ最高にアツい展開でした。アイドルだった頃のふたりのファンの皆も、面倒くさい先輩も、「売れない元アイドル声優・歌種やすみ」本人ですらも。みんな腹に後ろ暗い思いを抱えつつも「それでもあなたにここから居なくならないでほしい」と声を大きくして叫べる世界があまりにも優しい。いや本当にこんなご都合展開ありえないだし、千佳母の言う通り厳密には負け条件抵触してるよな!?(オタクの独り言が多すぎる!)ですけど!!それでも、彼女たちを害そうとする人たち以上に彼女たちを応援したいと思う人達がたくさんいて──それを理解してくれたからこそのラストなのだと思いたい。

そしてエピローグの展開がいろいろな意味で声優さんならではだな〜と思って笑ってしまうというか、昔の声優ラジオの間に挟まれるドラマCDみたいなことになってますね!?この対応ファン的にどうだったのかすげー気になるので、なんとかして3巻も出してほしいです。

ところで新キャラの「柚日咲めくる」さんが好きです。

ところでストーリーの本編とは微妙にズレてしまうのですが、新キャラで夕暮夕陽の先輩声優・柚日咲めくるがめちゃくちゃ好きです。序盤からツンデレの気配を感じていたんですけどそれ以上に面倒くさいオタクじゃないですかやだーーー!!!本性明らかになったときのバレかた最高に可愛いし、クライマックスの一番良いところを持っていく彼女の発言がいちいち面倒くさくて可愛くて好きです!!

といったら電子書籍版特典SSがめくるさん視点の話だったので小躍りした。完全に面倒くさい声優オタクで可愛い。短編とかでじっくり彼女視点の話やってほしい。

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