子供時代のトラウマから「二次元絵を3秒以上見つめると気絶してしまう」という筋金入りの二次元アレルギーで文豪を夢見るラノベ作家と腐女子の女の子の繰り広げるラブコメディ。あらすじからオタク系「あるある」ネタ満載+コメディ率高めのドタバタものを想像していたのですが、予想に反して直球なラブコメでびっくりしました!未だ恋を知らない小説家と恋に臆病になってしまった女の子の、甘酸っぱくて初々しい恋のお話。
二次元アレルギーのせいでラノベ作家なのに「オタク」の世界のことを殆ど知らない矢文が生粋の腐女子の明日葉に一目ぼれし、彼女と付き合う為に一生懸命(周囲の協力者たちに振り回されながら)腐女子知識を身につけて……というひたむきな姿が一途でなんだか可愛らしい。でも、腐女子ネタの使い方が割とすっきりしてて、あざとくない。もちろん腐女子として共感できる部分も多いし、特に矢文と圭介のやりとりに妄想力を掻きたてられて一人でゴロゴロしている所なんかはもう気持ちがわかっちゃうだけにこっちまでニヤニヤしちゃうんだけど、ちゃんと明日葉が「等身大の女の子」として描かれてるのが好印象でした。こう、結構ラノベに出て来る腐女子って普通の女の子キャラとはちょっと世界が違っちゃってるというか、痛々しいところ強調されてる部分があるように思える部分が多かったのですが、明日葉はちゃんと「どこにでもいる腐女子の女の子」と感じる部分が多かったです。
それにしても、矢文と明日葉がすれ違ってしまい、彼女をとりもどすために矢文達がとある大胆な作戦に打って出るクライマックスの展開も素敵なんだけど、何よりも終盤の矢文&明日葉、圭介&ゆずのラブラブっぷりが凄い!!特に明日葉の誤解を解くために圭介がとった行動と、その行動に対するその後の圭介&ゆずの意外すぎるやりとりがたまりませんでした!こ、これだけ手練れなカップルっぽい雰囲気を漂わせておいてその初々しさは反則だろ……!!!
一部置き去り気味にされてる伏線とかあって消化不良な部分もありましたが(渚との関係はちゃんと決着つけて欲しかった気がする)、その辺は続編で消化する感じなのでしょうか。1巻で綺麗に終わってる感じもしますが、もうちょっと彼らの物語が読んでみたい気も……個人的には、続きもあるといいなあ。というか圭介&ゆずに的を絞ったスピンオフとか読みたいなあ、と思ってみたり。