Shiri | 今日もだらだら、読書日記。

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ルートダブル - Before Crime * After Days - √After

 
Shiri
 
原作
イエティ/レジスタ

2030年9月16日午前6時19分。研究学園都市・鹿鳴市の郊外にある巨大施設、原子力生物学機構第6研究所・通称『ラボ』にて、深刻な事故が発生する。救助に来たレスキュー隊の隊長・笠鷺渡瀬は、その現場で気を失い、記憶を失くした状態で目を覚ます。しかも、セキュリティシステムの誤作動で、爆発の続く施設内に閉じ込められてしまう。仲間との再会、襲い来る火の手、そして謎の惨殺死体…。最悪の極限状況の中で、壮大な人間ドラマがいま幕を開ける。 (「BOOK」データベースより)

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 Xbox360で発売されたアドベンチャーゲーム「ルートダブル」のノベライズ。とある事件の顛末を立ち位置が全く違う2人の主人公の視点から追った物語で、今回発売された「√After」と「√Before」はひぐらし・うみねこでいう出題編のような位置づけになっています。√Aはレスキュー隊の隊長“笠鷺渡瀬”がメルトダウンを起こした原子力研究所「ラボ」の事故の最中、なぜか記憶を喪ってしまい??という所から始まる物語です。

 記憶が不確かなまま同僚のレスキュー隊員とともにある時は火事に立ち向かい、要救助者を助けながら研究所脱出の手がかりと、被爆を防ぐ為に1時間1本の摂取が必要な薬剤“AD”を求めてラボ内を捜索していくのですが、脱出の手がかりはまるで掴めないにもかかわらずADが人数分確保できなかったり他殺体が見つかったり……と割と絶望的な状況。徐々に生き残った人間達の間でも互いに不信が芽生え始めて…という流れは、本当に絶望的な展開しか予想できなくて、ゾクゾクする。

 記憶を失った渡瀬が、状況だけでなく時折聞こえてくる幻聴や自らの記憶の不整合さに不安と不審を覚えながらもとにかく仲間を救う為に出来る限りの事をしようと精一杯奔走する姿が不器用だけどかっこいい。苛酷な現実に押しつぶされそうになりながらも最後までなんとか活路を見出そうとする姿が印象的でした。そして、ゲームプレイ済だと最後に立ち上がったあの人の姿にニヤリとしてしまう。

 …しかし、良い意味でも悪い意味でも原作を忠実にノベライズしているだけ感が強くあり、原作ゲームプレイ済だとあまり買う意味がないかも。基本的に私なんかは、ノベライズはゲームとは別の視点や、ゲームでは描ききれない隙間、会話劇だけでは表現しきれない主人公以外の感情の動きなんかを少しでも描いてくれるのを期待して買うのですが。特に、今回ノベライズされた部分はエンディングをコンプしようとすると余裕で何度か読み直す羽目になるので…なにかプレイ済でも楽しめる仕掛けが欲しかったです。……個人的にはあと挿絵欲しい(表紙絵がとても良いだけに、本文に一切挿絵がないのは残念)

ただ、ゲームシナリオ→小説への落としこみというか、再現度は非常に高いのでゲーム未プレイの人がストーリーを追うのには向いているかと思います。ちなみに、PC版は9月28日発売ですよ!!!Xbox版はハード的に手が出せない……というかたは是非ともこちらを。分岐エンドがかなり多いので(殆どがバッドエンドだけど)、小説を読んだ後でも楽しめると思います。


ルートダブル - Before Crime * After Days - √Before

 
Shiri
 
原作
イエティ/レジスタ

2030年9月16日午前6時19分。研究学園都市・鹿鳴市の郊外にある巨大施設、原子力生物学機構第6研究所・通称『ラボ』にて、深刻な事故が発生する。ある目的のために施設を訪れていた高校生・天川夏彦たちは、その内部に閉じ込められてしまう。迫り来る炎の中、なぜか過去の記憶を鮮明に思い出す夏彦。だが、その記憶の中には、生き延びるための重要なヒントが隠されていた。奇妙な感覚、事故の本当の原因、そして残酷な真実―。最悪の極限状況の中で、壮大な人間ドラマがいま幕を開ける。 (「BOOK」データベースより)

hontoで探す Amazonで探す  個人的お気に入り度数

 Xbox360で発売されたアドベンチャーゲーム「ルートダブル」のノベライズ。とある事件の顛末を立ち位置が全く違う2人の主人公の視点から追った物語で、今回発売された「√After」と「√Before」はひぐらし・うみねこでいう出題編のような位置づけになっています。√Bはごく普通の高校生“天川夏彦”が友人たちと共に、コミュニケーターと呼ばれる超能力者を狙うテロ事件に巻き込まれていく中で過去のトラウマと対面し、それを克服していく物語です。

 √Aが「メルトダウンした原子力研究所の中で繰り広げられる極限系人間ドラマ/サスペンス」なので√Bを読むといきなりの女子高生ハーレム状態と学園異能モノ具合に驚くことになること請け合い。確かに√AでもBCと呼ばれる超能力の存在については語られてきたんだけど、表立ってこの能力を使うキャラクターが存在しないため完全にステルス設定化してるんですよね。

 9年前、偶然ラボでの事件に巻き込まれて大きな精神的外傷を負った幼なじみの少女と、彼女を巻き込んだ事を負い目に感じながら平穏な生活を望むようになった主人公。殻に閉じこもる事で閉じた世界の中で停滞していた彼らが、√Afterで語られたラボでのメルトダウンに巻き込まれたことを切っ掛けに少しずつその心を開き、BC能力を開花させながらかつての姿を取り戻していく姿が熱い。

 少しずつ前向きに変化していった夏彦に9年前の事故の真実の一端が襲いかかる場面は本当に衝撃的なんだけど、原作でこの事実を知ってからノベライズを読み直すと改めて……な場面が結構あって、面白かった。特に、夏彦の事をずっと見守ってきた彼女の行動の不自然さとその意味がわかると、なんというか胸にじんわり来るものが。周りの人々の本当の気持ちに触れ、自分がどれだけ彼女達に愛されて育ったのか目の当たりにすることで完全に「かつての自分」を取り戻す姿が頼もしい。

 原作ゲームプレイ済視点からいくと彼女の動きをはじめとして小説だからこそ見えやすくなっている行動がある一方で、微妙にカットされたり変更された展開が多かったのが気になりました。√Aでも渡瀬がトイレで“彼女”の幻影を見るシーンがカットされたりしてるんだけど、√Bは夏彦達の放課後ショッピングや徹夜カラオケの描写が削られてしまったのがちょっと残念。個人的に、平穏な日常を象徴する二大ほのぼのエピソードだったんだけどなあ、あれ。

 原作のままでいくと次の√Currentがかなり短いシナリオになるはずなので、これまでの微妙に変更された場面はそちらに関わってくる伏線なのか。多分グランドエンディングルートに行くんだろうけど√Doubleのグッド・ノーマルエンドがとても好きなのでそちらのエッセンスも盛り込んで欲しいなあというか、残りのルートの書籍化の際は小説ではないと見られないなんらかの仕掛けに期待したいです。

 なお、原作ゲームではどちらのシナリオから進めても良いつくりになっていて、時系列的には√Afterの前、もう1人の主人公である“笠鷺渡瀬”が記憶を失う前の物語になるんだけど、√Afterに関する重大なネタばらしがあるので個人的には√After→√Beforeの順番で読み進めることをオススメしたいです。というか、√Aはやはり渡瀬の正体知らないまま読んで欲しいよね。記憶喪失のヒーローまじかっこいい。

 そして大事なことなのでもう一回言うけどPC版は9月28日発売ですよ!!