ページ 134 | 今日もだらだら、読書日記。

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嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 6 嘘の価値は真実

[著]入間 人間 [絵]左

大江家での事件から2ヶ月が過ぎ、僕とまーちゃんは以前通りの自堕落な生活を満喫中。今日も体育の時間をサボった僕達が生徒たちの目につかない所でイチャイチャしていたところ、黒くて長い棒(性的な意味ではない)を持った男が乱入。かくして、体育館には血の花が咲く羽目に。まーちゃんとののどかなランチタイムを満喫するため、仕方なく事件解決のため動き出したけど…
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一度手に取るのをやめた「みーまー」シリーズを再び手に取るきっかけは、各所の6巻感想の不可解っぷりが気になって気になって、そんな気持ちが最後にフラン☆Skinさんの感想を見て頂点に達した…という過程があったわけですが、これは確かに、なんてコメントつけたらいいか分からない。

学校の体育館を占拠した通り魔に対抗するため、いささか不純な動機でみーくん(+むしろ足を引っ張るまーちゃん)が立ちあがる!というお話。まーちゃんさえ無事ならどうでもいい、といいつつさりげなく伏見や長瀬を気に掛けるみーくん可愛いなあ。あと今回でついにみーくんのフルネームが明らかになりましたね。しかし、嘘つきみーくんで「枝瀬(エセ)」って物凄い名字だな……

これまでみーくんとかかわったキャラクターの一人称によるモノローグ的なモノが挿入されたり、なんか色々と思わせぶりの多い今回。いろいろ張りっぱなしの伏線とかあるんでこれで完結編ではないと思いたいですが、ある意味ここで本当に終わったりしたらこれ以上になく「みーまー」らしいよなあ、と思う気持ちもあり。

それで、結局これはどういう結末なんだ?エピローグで真犯人が投げかける問いの答えは、みーくんともまーちゃんとも、はたまた挿入されたモノローグが不審な途切れ方をしたあの人とも受け取れるわけだけど。個人的には最後説が有力かなあ(続きを出す問題的な意味で)と思うのですが、表紙のまーちゃんがとても意味深だったりして、なんかいまいちどれと言い切れない物が……うーむ。

まーちゃんにも些細ながら意味深な変化が見られるし、このまますべてうやむやのまま終わるというのも(いやまあそれはそれでアリですが)落ち着かないので、ぜひとも続きを読みたいです。しかし、少しずつ風呂敷を畳んでる感じを受けるので出たとしても次で完結とかそういう感じになりそうかな。

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嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 5 欲望の支柱は絆

[著]入間 人間 [絵]左

破綻したマユを直す為やってきた元我が家は密室仕様に改造され、殺人事件が起きていた。そんなことはさておいてまーちゃんを「直す」ための準備も整ってそろそろ事件でも解決させておこうかなんて思っていたら、犯人最有力候補の僕は後頭部を強打されて嫌な思い出が多数眠る元我が家の地下室に閉じ込められてしまう。密室殺人事件らしくやっぱり行き着く先は華の全滅へ一直線…?
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4巻から続く、みーくんの「元我が家」を舞台にした密室連続殺人事件・解決編。

今までの中でバツグンに読みやすかったという事もあるけど、それ以上にこのシリーズの中では一番面白かった…というか興味深いというか…な話でした。大概の密室殺人事件は推し量ったかのように事件を解決した直後に救いの手が差し伸べられるものなんだけど、嘘と悪趣味で構成されているこの物語はそんなテンプレ通りの展開は全く起こらず。その代わりといっては何ですが……事件の真相なんか笑顔でぶっとばす、人によっては死ぬほど後味悪いクライマックスが待っています。

なんという異次元空間。黒幕の思惑といい、実行犯である「あの人」の行動原理といい、いい具合にイカレちまってるなぁ。後半の殺人犯との鬼ごっこはまさにリアルクロックタワーかバイオハザードかはたまた(黒幕の)理由のくだらなさ的にはリアル鬼ごっこ。狂気を売りにしたラノベにしては狂気分が足りないなあと思っていた分を見事取り返すかの如く、怒涛の勢いで狂気分を充填させてくれました。言動と比べて茜さんが普通の人間精神持ってたのは意外だったけど、もうほんと彼女とゆずゆずくらいじゃないですか、まともな精神持ち合わせてるの。あの状況でなんだかんだと平静を保ち続ける湯女&みーくんも大概にアレです。

というか良くも悪くも胸糞悪い真相とその後に襲うクライマックスの恐怖が強烈過ぎて、逆に感想が出てきません。あれはもう「体験してみろ」としか言えない。あ、地味にみーくんの「日記」が良いエッセンスを醸しておりました。だんだん文章が破綻してくるのが実に良いですね。ページが一部破けて読めなかったりとかそういう特殊効果が入ってるとモアベターだったと思うですよ(それはそのまんま「おしまいの日」ですねわかります)

一方で、離れていて出番の無いまーちゃんの事についてもなにやら意味深の会話があったりして、今後の展開も期待。というか、聞いた話によるとあと1冊ではないかと思われるのでどうやって決着をつけてくれるのかに期待と言うべき?そして、なんだかんだとエピローグのみーくんのはしゃぎっぷりにニヤニヤしてしまった私。

それにしても、みーくんの浴衣姿が結局挿絵にならなかったのが実に残念…

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嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 4 絆の支柱は欲望

[著]入間 人間 [絵]左

些細な出来事をきっかけに記憶と現実の整合性が取れなくなったマユが破綻した。彼女を「直す」ため、僕は彼女を壊した誘拐犯が住んでいた家…—要するに元我が家へと向かう。まだ、僕はまーちゃんを騙し足りないから。その「元我が家」は大江という人の所有物になっており大改装を受けていて…なぜか伏見まで付いてきてて…ついでに殺人事件まで起きて…!?
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3巻で一旦切ったはずなんですが、あと3冊だっていうし、最終巻の内容気になるし……で再び手に取ってしまった「みーまー」の第4巻。今回はみーくんの「元・我が家」で起きる密室殺人事件のお話・前編です。

相変わらず「嘘だけど」だらけで真実の把握が難しく、回りくどい語り口は健在。今回は「すべての事象を逆に覚えている」というゲストキャラクターの登場でますます読者を混乱の極みに突き落としてくださいます。あ?やっぱりこの回りくどい文体だけは好きになれないなぁ。これが売りだといわれると文句のしようもないのですが。今回は短いのでなんとか耐えられたという感じが……

まーちゃんの電波とヤンデレをミックスしたような素っ頓狂な行動はあらすじで語られている通りの理由でほとんど無く、その代りに代理ヒロイン(?)の座を勝ち取った伏見柚々は行動こそ電波入ってるもののとても普通の人間らしい行動を見せてくれて、ある種このシリーズ的には新鮮。しかもマユがいないのを良いことにしっかりいい雰囲気になっちゃいます。マジでこれ、マユに知られたら血の雨が降りそうです……

一方、そんなヒロインの分を取り返すかのように大江家の皆様が良い具合に壊れていらっしゃる。大江家の長男・貴弘さんが両親に紹介される場面ではうっかり「ああ、いつもの"みーまー"だ!」と安心してしまったり。唯一まともだと思っていた桃花さんからもサラっと物凄い発言が飛び出したり。父親の耕三さんは……あの滅茶苦茶なキャラは元からなのか、それとも殺人事件でテンパってるだけなのかが気になるところ。…とはいえ、母親に主犯がありそうとはいえ、あの子供たちの親という時点で、マトモとも言い難い気が。みーくんとの成り立ってない会話には緑茶噴いた。

次回はこの事件の解決編のようですが、どうなることやら。誰もが犯人になりえそうなのが怖い。個人的には茜さんの煙に巻かれまくりのさかさま発言がキーになってそうな気がするけど…。

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バッカーノ!1931 鈍行編 The grand punk railroad

[著]成田 良悟 [絵]エナミ カツミ

強盗団にギャングにテロリストに泥棒カップル、そして不死者…様々な思惑をもった人々を乗せて、列車「フライング・プッシーフット号」はNYへ向かう。泣き虫少年・ジャグジーは泥棒カップルから「線路の影をなぞる者(レイル・トレーサー)」の怪談を聞かされ、怯えるままに車掌室へ向かうのだが……
 
アチャーorz

うっかり間違えて「特急編」から読んでしまったバッカーノの1931年シリーズ「鈍行編」。続編となる「急行編」と合わせて、列車「フライング・プッシーフット号」で起きた事件を描きます。様々な人間の視点から物語が語られていきますが、鈍行編では泣き虫な強盗団のボスの少年・ジャグジーとその仲間達の動向が中心。ちょっと貨物室に眠るお宝を強奪するだけのはずがギャングやテロリスト達と乗り合わせてしまい、さらには正体不明の怪物まで現れて大変な事に…!?というお話。

…なんていうか、もう、とりあえず、うっかり「急行編」を先に読んでしまったのが痛すぎる。なんであのキャラが死んでるのかとか、ラッドがなんで車掌室の事をやたらと聞いてきたのかとか、何よりレイルトレーサーの正体とか…とか。とくに「正体不明の」「赤い怪物」のおどろおどろしい描写を読むたびに「正体知っててごめんなさい」状態でorz

2つで一つの物語構成になっていながら、「鈍行編」から「急行編」を読むと最高に面白くなるようにできているお話なので、この物語を正当に楽しめなかったのがとても残念。というか、やはりもう少し順番わかりやすいように作っておいてくれないかなあ…というのが本音だったり。

しかし相変わらずバカップル二人のやりとりは楽しい。あとジャグジーの「いつも泣いている理由」にはちょっと胸がキュンとなりました。

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ツァラトゥストラへの階段3

[著]土橋 真二郎 [絵]白身魚

ようやく自らのパルス能力を使えるようになってきた福原は、再び囚人ゲームの誘いを受ける。手渡されたゲーム機には、かつてバベルの塔で出会った少女・オリビアが囚われている姿が映っていた—。オリビアを救出するため東京を歩き回り魔王の手から姫を救出する"ゲーム"に参加する福原だったが…
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ドロドロの人間関係と悪趣味なゲーム展開が魅力のシリーズ第三弾。今回は「東京」という現実の街とオリビア達が居るゲームフィールドをリンクさせて姫を救うために様々な場所を歩き回るというRPGゲームのお話。

光の無いオリビアの居るフィールドでは現実と全く同じ障害物や人間が「敵」として配置されており、ダメージを受けない為には現実空間に居る福原が自らのパルス能力を使い、現実の風景をフィールドのデータとしてフィールドに投影させなければならない。しかも人間の「アタリ判定」がかなり広くて、オリビアは接触する前に敵を倒さないとダメージを受けてしまう…という設定で、最初は普通に面白そうな設定だと思ったのですが実際にゲームが進んでいくと、とにかくそのゲームの「悪趣味」さに気付いて惨憺とした気分に…ダメージを受ける要素は非常に高いのに特定のポイントと自動回復以外の回復手段が無いのがかなり痛い上、彼女が安全に歩けるフィールドを構築するには福原側にも巨大な負担が……と、作品を読んでる最中5回くらい「もう駄目なんじゃ…」と思いながら読んでました。特に新宿駅で降りる事になった場面では普段の人の多さを知っているだけにもう…。

一方で安定して面白くなっている分、物語の流れがテンプレ的になって元々の最大の持ち味だった気持ち悪い人間関係は当初ほどのドロドロ感がなくなってきてるなあ…。今回はもろにどの辺が寝返りそうか判っちゃってたし、カレンはどんどん「悪役だけどいい人」というクライマックス直前でしぶしぶ仲間になりそうなキャラになってきちゃってるし。

前作「扉の外」と比べてドロドロ人間関係分が足りなく感じてしまうのは、やはり飛鳥・舞・由紀(+オリビア)というヒロイン達がしっかりと主人公の周りと固めている所為でしょうか。私今回は絶対、途中で利己関係の相違から飛鳥が敵に回ったり、オリビアが実は性悪で?みたいな展開が来ると信じてたんですが…ちょっと拍子抜けですっ!!一般人の由紀はまだしも、オリビアや飛鳥はもうちょっと自分本位な性格でも良かった気がするんだけどなあ…

…とかなんとかいいつつも、今回のヒロイン勢は皆が皆美味しいポジション過ぎる。「エージェント」としてクールな態度をとろうとしながらどこか人情を捨てきれない舞、なんか微妙なフラグが立ちそうで怖いけど今のところ素晴らしい癒し系な由紀、そして「戦友」的な絆で結ばれた飛鳥。ラストの展開からするとルート的には飛鳥が正ヒロインで決定なのかな?という感じがしますが、本格化しそうな戦いを前に対照的なポジションの3人のヒロインと福原の関係が今後どう変化していくのかも楽しみです。

それはそうと、「あとがき」のデンパっぷりは異常だと思う。普通に「オーレ」言うなw

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吉永さん家のガーゴイル15

[著]田口 仙年堂 [絵]日向 悠二

ケツァルコアトルとの戦いに敗れ、破壊されたガーゴイルはレイジの策略で御色町を破壊した張本人として、"御色町の敵"と認識されてしまう。町中で冷たい目線を浴びながらも、砕けたガーゴイルの破片を集めるため、町中を奔走する双葉。一方で百色や東宮達など真実を知る僅かな人々もまた、反撃の機会を伺っていて……ガーゴイルは御色町を守ることが出来るのか!?
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シリーズ完結編。…くそう、今までの総決算の如く要所要所に泣かせポイントが仕込まれていて、最初から最後までノンストップで胸が熱くなりっぱなしでしたよこんちくしょう!

人災による怒りと混乱で不安定な精神状態にある御色町の人々につけ込んだレイジの陰謀を、吉永家とガーゴイルが2年間かけて築き上げたご近所との信頼でひっくり返していくという展開。最初は聞く耳持たずだった人々の意識が少しずつ変わっていって…双葉がガーゴイルの破片集めをしている最中に偶然その破片を持っていた人々が揃って「お守り」という言葉を口にする場面には胸が熱くなった。目撃者が何人もいる以上その信頼を取り戻すには相当な冷却期間が必要なのでは…と思っていたのですが、考えた以上にガーゴイルが2年間で培ってきたものは大きかった。

双葉たちの奮闘、高原親子の絆、怪盗百色と梨々の信頼関係……などなど、魅せ場だらけの1巻でどこを取っても語りつくせないほどなんですが、なんといってもガーゴイルが復活した後のクライマックスが熱すぎる。今まで決まり文句のように「吉永家の門番」という名乗りを上げてきたガーゴイルが和巳や双葉たちに"護られる"ことを是とし、「吉永家のガーゴイル」と言い直す場面では思いっきり泣かされました。考えれば、今までガーゴイルはその名乗りを上げることで最後の最後で吉永家の一員となることに線を引いてきたのではないかと。作中時間で2年・実に15巻分もの長い物語を経て、ガーゴイルはやっと真の意味で吉永家の一員になったのではないかという思いで胸がいっぱいになった。

一方で、レイジとの方はなんか実に中途半端な決着になってしまって…ある意味、ご近所時空に毒されなければ最後まで最凶最悪の悪役であれたのではないかという気がして、案外復活したら仲良くやっていけるんじゃないかという気がしてしょうがない、微妙な終わり方でした。うーん、でも、このお話に人殺しはやっぱり似合わないし、かといって彼らが手と手を取り合って暮らしていける程、並み半端な憎しみでもなかったんだろうなぁ…最後の最後でちょっと「実は手を取り合えたんじゃないか」なんて思わせてしまうところがニクイですね。

15巻ほぼ一気読みでしたが、ほとんど「つまらないなぁ」と思うような展開もなく、時にシリアスもバトルも織り交ぜながら最後まで根っこはどこまでも「ご町内」で「アットホーム」な雰囲気を持ち続けたまま終わってくれたことが本当にうれしかったです。巻数の多さで尻ごみしていたシリーズだったのですが、思い切って手をつけてみて本当に良かった!

…それにしても、13巻以降はおそらく「ガーゴイルおるたなてぃぶ」とのクロスオーバーだろうなあと思われる空白がかなり多く…だいぶ雰囲気が違うと聞いたのでとりあえず本編だけ一気読みしてみたのですが、やはり「おるた」の方にも手をつけてみようかな?。

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吉永さん家のガーゴイル14

[著]田口 仙年堂 [絵]日向 悠二

百色とガーゴイルに静かな復讐の炎を燃やす男・レイジがやってきた。以前の小物ぶりとは打って変わって余裕の表情で吉永家に現れたレイジに、ガーゴイルと百色・ケルプ・デュラハン・オシリスという最強の面々で立ち向かうが軽くあしらわれてしまう。今までには無い強敵の出現に警戒を強める一同だったが、適確にそれぞれの弱点を突かれ…
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ちょっ……これは……なんという……。

シリーズは遂に完結編に突入したシリーズ第14弾。これまでのほのぼの暖か展開とはうってかわって重く、痛く、シリアスな展開。…というか、今までの13巻、時にシリアスも挟みながら基本的にほのぼの&あったかでやってきたという積み重ねがあったからこその重さと痛さ。ご近所アットホームコメディでこんな痛々しい展開を見ることになろうとは……

13巻で明確になったガーゴイルの弱点をレイジが適確に突いてきた形で、御色町に潜伏している間にご近所さんからの信頼を勝ち取り、「いい人」と認識させた上で攻撃してきたガーゴイル達が悪であるかのように錯覚ていく姿は敵ながらお見事と言わざるを得ない。今まで散々、長所として描かれてきた御色町の人々の人のよさがこんな風に裏目に出るとは…とにかくレイジ、悪趣味にも程がある…。

ガーゴイルや百色の御色町を護ろうとする思いが伝わらず、むしろレイジの手によって正反対の方向にゆがめられていく姿を読者として見る(読む)事しかできない事が、とにかくもどかしかった。そして文章の構成が悪趣味すぎる(※褒め言葉です)。つい数日前まで確かに存在していたはずの暖かい関係と、その関係がみるみる崩壊していく様子を交互に読んでいかなければならないのは正直かなり精神的にきつかった。なんかもう、13巻までずっとガーゴイルと吉永家とご近所さんたちの関係を持ち上げて持ち上げて持ち上げてきたのはここでどん底に突き落とす為だったんじゃないかと考えてしまうほどの、重く痛い展開。そして更に引きが凶悪すぎるっ!!!

泣いても笑っても、次が最終巻。
全員が笑って一発逆転・大団円なラストが見れることを心の底から期待してます。

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吉永さん家のガーゴイル13

[著]田口 仙年堂 [絵]日向 悠二

古科学者達の組織「ミズチ」の首領となったレイジが吉永家を狙っている。そんな話を怪盗百色から聞かされたその日にガーゴイルは初めて吉永家への侵入者を許してしまう。しかも、偵察のためミズチから送り込まれたその侵入者は双葉とそっくりの姿をしていて…!?ピクシーと名付けられた彼女はすっかり吉永家になじんでしまうが…
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本編残り3冊。7巻で対決したレイジが復活して不気味な動きを見せ始め、巻数的にもラスボスの姿が明確になってきた感じのシリーズ13弾。微妙にほっとかれたまま置いてきぼりな設定(つか、「ミズチ」周りの話)がありますが、このへんは「おるたなてぃぶ」の繋がりなんだろうなあ…

吉永家に不審者の侵入を許してしまった挙句、レイジの生み出した人工精霊・ピクシーが双葉と感覚を共有してしまうという大失態を犯してしまい、ショックを受けたガーゴイルが凹んでる姿が新鮮。実際、2年間も門番をしていたガーゴイルが殆ど感知できないまま吉永家に侵入されてしまったというのは考えてみるとかなりの大事件な気がするんですが、結局そんな侵入者も吉永家の暖かい雰囲気にすっかりなじんでしまう姿が微笑ましかったり。そして生まれたばかりのピクシーに色々と人間の常識を教えようとするガーゴイルを見て、2年間の成長に感慨深くなったり。

いつものように最後で畳み掛けるように感動させられるようなお話ではないんですが、ご近所さんや吉永家の暖かさが少しずつじんわりと効いてくるお話でした。弱点を突かれて攻撃をためらうガーゴイルに吉永家の家族達が鉄拳制裁を持って家族の絆を再認識させるくだりが熱すぎる。相変わらずのママ最強伝説ですね!
ラストで双葉がピクシーにかけた、さりげない歓迎の一言には胸を突かれました。

一難さってまた一難、次回からは遂に最終決戦に突入する訳ですが、なんとしても家族パワーで大円満な展開を勝ち取って欲しいです。っていうかラストは大円満だって信じてる…!!

ところで、個人的に一番ツボったのは実に11巻ぶりの登場となる梨々パパ。
親バカっぷり爆発させて百色をおろおろさせる姿に爆笑。うろたえる百色可愛いよ百色。

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ばけらの!

[著]杉井 光 [絵]赤人

ライトノベル作家としてデビューした杉井ヒカルは授賞式中の男子トイレでケモミミ尻尾の少女と出くわす。それだけではなく、そのレーベルに執筆している作家の殆どは人間じゃなかったのだ—!?株とギャンブル好きな管狼・イヅナ、エロコメ作家の座敷童子・つばさ、麻雀大好きアンデッド・屍鬼…などといった個性的な美少女達(ただし非人間)の同業者と共に、今日も愉快な騒動が巻き起こる!
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池袋にあるアパートを舞台に、何故か人間じゃないライトノベル作家達と普通の人間なライトノベル作家が巻き起こすどたばたラブコメディ。どうみても実在の作家がモデルだろう!?という方向で一部ラノベ好きさん達の話題の的だった期待の作品が遂に登場ですよ!

電撃の「遭えば編するヤツら」のような実名半分バレバレ内輪コメディ系ラノベを想像していたのですが、なんか普通に良いラブコメでありした。キャラ設定に各作者さんの作品のエッセンスがちょっと入ってたりするくらいで、あとはどちらかというと各作者さんのブログを読んでるとニヤニヤできるカンジの作品。知らなくても十分楽しめる一作だと思います。

キャラ的にはとりあえずイヅナかわいいよイヅナあああ
きさ…ま…男言葉で趣味がギャンブルと株でネトゲ廃人で料理はヒカルに作らせてばかりの駄目管狼でしかもツンデレだと…!!ヤキモチを焼いたりニブいヒカルの言動にスネたりするイヅナの姿を見てるだけで胸がきゅんきゅんします。なんという最終破壊兵器。これは普通にけもみみ好きと男勝りのツンデレ娘好きは買うべき。というかけもみみ萌え属性あまりないですが、マジでイヅナ可愛いよイヅナあああ!

あとお姉様スキーとしては風姫屍鬼おねえさんにきゅんきゅんです。大人の余裕!ヒカル達を破天荒に引きずり回す一方で時々暖かく見守ってるポジションが正直たまんねえ!!吸血鬼の男爵・ウーノに纏わるお話のラストが最高です。しかし名前がちっとも女性っぽくないのが残念なような…苗字と名前は逆でも良かったのでは…暫く名前になかなか慣れられなかったなぁ…。

コミカルなドタバタ騒ぎを中心にすえつつ、ラストはちょっといい話で締める短編を4編収録して、こういう話が普通に好きな私はど真ん中ストライクでした。特にクライマックスは「これなんてエロゲ?」な展開ではあるんだけど胸が熱くなるのをとめられなかったなあ。ネタ的なイミではなく、普通に面白かったです。いけぬこ会作家のラノベ作品を読んだこと無い人でも普通に読めばいいと思うよ!

逆に、各キャラクターの元ネタとなる作家さん達の作品ネタが薄い分元ネタが誰かというのはそれなりにラノベ詳しくないと難しいかも。ヒロインのイヅナが名前的にもグラフィック的にもどうかんがえてもわっちの人だろ!!というのとは対照的に、ほかの作家さんは「池袋いけぬこ会」というヒントがなければかなり難易度が高かった気がします。というか、2章に出てきた大物ラノベ作家の幽霊と、エムさんの元ネタが未だに判らないのですが……。たとえ「各キャラの正体なんか知らなくても楽しめるヨ!」といっても気になるものは気になるんだ!!

余談ですが、冒頭で比較対象にした「遭えば編する?」に登場するラノベ作家の一人が、「ばけらの!」にも出てます(…私の知識が正しければ)が、キャラクターの違いっぷりが地味に面白かったです。あっちでは新本格変態系全裸作家だったんだよなああの人…。

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シニガミノバラッド。アンノウンスターズ。

[著]ハセガワ ケイスケ [絵]山本 ケイジ

新トウキョウ王子花園学園に転校してきた少女・咲ヶ本モモ。背丈程もあるリュックと白いセーラー服姿で、クラスメイトの前では天然系ドジっ娘を演じているが本性はワガママで凶暴…な彼女の正体はなんと“死神”だった—!生徒たちに取り憑く“幻魔”を回収するため、使い魔の黒猫・ダニエルと今日も元気に愛の鉄・拳・制・裁☆の日々だけど!?
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つまり「学園モモ」ですね、わかりました。

白い死神・モモと黒猫のダニエルが織りなす優しい物語「しにがみのバラッド。」のキャラ名だけ借りたベツモノ番外編。イマドキの変身美少女魔女っ子アニメ風(鉄拳制裁なあたりが)。どうみても「学●キノ」の二番煎じですが、いつそういう方向に崩壊してもおかしくなさそう(あとがき的に)なキノと比べて、普段は完全シリアスな「しにバラ」がこれやると感慨深いものがある…ような。しかし「みずたま」といいこれといい、個人的にはハセガワさんのコミカル路線…私、嫌いじゃないぜ…?

本編とは正反対に狂暴でイマドキで猫かぶりでオトコマエなモモですが、根本を流れる優しさは同じ。御無体な行動の裏で時々覗かせる不器用な優しさに、ちょっとニヤっとしたりしなかったり。

まるで一発ネタのような物語だけど、新たなる敵の存在が提示されてたり、伏線っぽいものがいくつも未消化だったりと……ひょっとしてこれは続くのか?正直、最近波が激しい「しにバラ」よりもこちらのほうが好みだったりするので続きが出るなら楽しみかも。軽く(物語の雰囲気的な意味と、余白的な意味で)サラっと読めるも好印象なのでできればこのままコミカル路線を突き進んでほしいな?(意味ありげな間章が気になる…)

…それにしても、挿絵が本編の七草さんから山本ケイジさんに変更されているのは絵師の得手不得手的な問題?確かに七草さんのギャグ絵って見たことないような気がするけど…。確かに破天荒な「咲ヶ本モモ」に山本ケイジさんはピッタリな配役ですが。

最近の七草さんのイラストは時々猛烈にキャラがの表情が好みだったりするので時々ほんと困る…(神様ゲームの表紙とか、今回のゲストイラストとかゲストイラストとか)

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